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美晴

ん〜…

美晴

ずっと座ってたから体が痛いぃ

ほな運動できるとこ行こうや

どっかある?

美晴

う〜ん

美晴

あ、私テニスしてみたいです

美晴

私の高校、そこそこテニスが強くて

美晴

興味はあるんですけど…

美晴

一緒にしませんか?

お、じゃあ行くか

だっはぁ〜!

きっちー!

体凍えそ〜

美晴

大丈夫ですか?

美晴

っふ…

あ、笑ってるやろ!

さっき俺がボールを顔面キャッチしたこと!

美晴

ふっ、わら、笑ってなんて…っ

なんや、笑った方が可愛ええな

そう言った彼は

目を細めて口を手で抑えながら クククッと笑った

美晴

美晴

えっ!!?

美晴

な、何言って…!

良かったわ、君がちゃんと笑える人で

いいかー?

笑っとけば大体の事はなんとかなるんやで

美晴

…!

美晴

わ、私だってちゃんと笑えます!

そっか!

てか、テニスめっちゃ上手かったわ

テニス部入らんの?

美晴

…まだ迷ってます

美晴

今から入るのは不自然だし、練習もきつそうだから…

なんや、入ってみたらいいやん

美晴

え?

不自然とかきついとかじゃなくて

君がテニスをやりたいかやりたくないかで決めや

美晴

さ、もう結構時間経つし

最後、どっか行こうや

美晴

どこに?

そうやなぁ…

冬ならではのプラネタリウム!

アナウンスのお姉さん

さて皆さん、こちらは夏の大三角形です

アナウンスのお姉さん

皆さんの目の前にあるのが…

美晴

うわぁ…

美晴

プラネタリウム初めて来たかもっ

滅多に来ないしなー

綺麗やろ?

美晴

うん、キレイ…

美晴

すごく綺麗

あっ、あの赤く光ってるやつあるやろ?

美晴

うん

あれはな…

エーミールも星を見るのが好きだったな

今みたいに、あの星はなんだとか…

泣きそう

美晴

…っ

せっかく楽しかったのに

エーミールを思い出すと

一気に現実に戻されて

落ち込んだ気持ちがずぅぅん…と入ってくる

アナウンスのお姉さん

次は、冬の大三角です

あ、オリオン座!

実はな…

オリオン座の中のひとつの星が、何億光年では爆発して死んでるらしいんや

そしたら地球でも何億年後かにオリオン座の1部が消えるんだって!

そうなったらどうなるんやろ

オリオン座って名前じゃなくなるんかな

ははっ数億年後も生きてみてぇわ

美晴

美晴

そう、だね

結局、男の人はずっと楽しそうにはしゃいでいたけど

私は楽しい気分にはならなかった

うお、もう夜になってたんか〜

あ、オリオン座!みっけたわ

美晴

この冬が終われば春やな

美晴

…うん

俺、今までずっと楽しかったよ

美晴

私もです

美晴

私も…今日1日楽しかったです

''今までずっと''、やで

と、言って男の人は私の顎をそっと持ち上げた

私はそこでやっとその人の顔を見た

透き通るような白い目

そして

イルミネーションの光でキラキラと輝く薄茶色の髪

すると、どんどん顔が近づいて

唇に温かい感触が伝わった

美晴

……

美晴

…え?

ハルちゃん、デート本当に楽しかった

ありがとうな

俺…ずっとハルちゃんのこと好きやった

ハルちゃんとずっと、こうしていたかった

…ハルちゃんの笑顔が見れて本当に嬉しかったで

だからさ、ハルちゃん

ずっと笑っとって…?

ハルちゃんが笑ってくれてたら、どこにいても見つけられるから

……

それだけ、伝えたかったんだ

じゃあね、ハルちゃん

元気でな

そう言った彼は私のおでこに軽くキスをして

寂しそうに笑った

そして、瞬きをした瞬間

目の前から、彼が消えた

ヴー…ヴー…

スマホに着信が入り、見てみると

美晴

ママ…

美晴ママ

美晴

美晴ママ

今…どこにいるの?

美晴

駅近くのイルミネーション街

美晴

何かあったの…?

美晴ママ

エミくん…

美晴ママ

…っ

美晴ママ

エミくんが、息を、引き取ったわ

カシャン…ッ

手に力が抜けて、スマホが地面に落ちる

こんな真冬なのに冷や汗が止まらなかった

……行かなきゃ

私も、君に伝えたいことがある

案内されたのはエーミールが眠る場所

そこに白い布を被って寝ている人がいた

私は布をそっと取ると

いつもと変わらない、目を閉じてかわいい寝顔をしたエーミールがいた

美晴

…エーミール

美晴

いい寝顔だな…ホントに

視界がぼやけて、エーミールの顔を見ることが出来ない

あぁ、私もあの時

エーミールのこと好きだよって言えば良かった

美晴

今言っても…エーミールに届かないじゃんかぁ

美晴

…っ

『俺…ずっとハルちゃんのこと好きやった』

『ハルちゃんとずっと、こうしていたかった』

彼の声が頭に響く

「ハルちゃん」ってずっと呼んでくれた

私ね、エーミール

エーミールにハルちゃんって呼ばれるの本当に好きだった

美晴

好きだったんだよ、エーミール

美晴

私も…ずっと

ほっぺたに生温かい雫がこぼれ落ちる

…だけど、泣くのはもうこれで終わりにしよう

だって君が笑えって言うんだから

指で涙を拭って、思いっきり笑った

エーミール、見てる?

美晴

私、世界で1番幸せな女の子だよ

月日は流れ…

春がやってきた

1年生たちが入学してもうすぐ1週間が経つ

そろそろ部活勧誘を始めたいと、先輩たちが言っていた

そう

私はテニス部に入部した

練習は確かにキツイけど、その分楽しかったし、自分に合っていた

そして今、先輩や同級生達と部活勧誘をしている

校門や中庭に立って、紙を配る作業

周りはみんな笑顔で

どの部活に入ろうか、楽しそうに話している後輩たち

だけど1人

その中で無表情の子がいた

1度その子に紙を配ったことがあるが

「勉強に集中したいので」って断られた

私はその子の笑顔が見たい

きっと可愛いはずだから

美晴

ねぇ!そこの子!

…はい?

美晴

テニス部に入部してみない?

今はどの部活も視野に入れてませんので

美晴

あなた、名前は!?

桐山、茜(きりやま あかね)です…

美晴

私、花岡 美晴(はなおか みはる)!

美晴

桐山さん!ぜひテニス部に入りませんか

美晴

きっと楽しいよっ

いつか

あなたを笑顔にしたい

この作品はいかがでしたか?

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コメント

3

ユーザー

繋がってる、、、 しかも茜ちゃんの話ちょーどさっき読んでたw

ユーザー

やばぁ、鳥肌立ったw まじですごいです!!!

ユーザー

本気で言ってます!? え?繋がってるんですかぁ!? 思い出せばこれ、番外編でしたね… あの、元気な花岡先輩にまさかそんな過去があるとは思いもしなかったです! エミさんが亡くなってしまったのは悲しいですが、花岡先輩と最後に遊んでいて花岡先輩もエミさんも楽しそうで!すっごいほっこりしました(?) 最後、茜ちゃんだとわかった瞬間に台パンしました☆今回も面白かったです!次の本編?も楽しみに待ってます!

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