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コメント
1件
うわぁ…これもう映画化しよ。神過ぎるし違和感ない(は?) 一つ一つの言葉選びと臨場感、感情の表現が上手い! 次も楽しみに待ってる!頑張って~♪
マンションのエントランスを出た瞬間、深緒は何気ない顔で周囲を見た。 まるで散歩に行くだけかのように。
道路脇の黒いセダン。
松田深緒
やっぱりいる。でも、深緒はそのまま気づいていないふりをして歩き出した。
視線を巡らせる。三人だ。 車側に一人。 少し離れた歩道に一人。 そして背後に一人。
自然を装っているけど、視線の置き方で分かる。完全に尾行だ。
松田深緒
ぽつりと呟く。
科捜研採用でも、1か月間警察学校に通う。その1か月は、深緒が教官達を唸らせるには十分だった。
体術。観察眼。追跡。そして、“勘”。 松田陣平の妹として、その存在を嫌というほど見せつけた。科捜研ではなく刑事にならないか。そう何度も声をかけられたほどの実力者。
松田深緒
路地へ入る。曲がる瞬間、ショーウィンドウへ映る後方を確認。
来てる。 深緒は歩幅を変えない。そのままコンビニへ入る。飲み物を一本手に取って、戻す。雑誌コーナーのガラスで背後を見る。
松田深緒
店を出る。さらに細い路地へ。
松田深緒
横断歩道を渡る直前で立ち止まり、スマホを見るふり。向こうも止まる。
松田深緒
静かに息を吐く。相手も距離の取り方が上手い。
深緒は駅へ向かった。改札を通り、ホームへ降りる。電車が来る。
乗る直前で足を止めた。扉が閉まる。向こうの男が一瞬迷った。
その数秒で十分だった。
深緒は反対側ホームへの階段を駆け下りる。 次の駅で降りた。着いてきているのは1人。
が、
駅を出て数秒後。尾行役が角を曲がった瞬間には、もう姿は無かった。
モブ
男が無線へ手を伸ばす。
モブ
ーーーーー
松田深緒
小さく呟く。本職相手に通用したのは、相手が“深緒は素人”だと思っていたからだろう。
尾行を全員撒き、深緒は神奈川行きの電車に乗った。そして、スマホを取り出す。
【千速ねえ】
少し迷ってから、メッセージを打つ。
松田深緒
送信。数秒後。
萩原千速
即レスだった。深緒は少しだけ笑った。
ーーーーー
萩原千速
神奈川県警近くのカフェ。向かいに座った萩原千速が、呆れた顔をしている。
萩原千速
松田深緒
ニコッと笑ってみる。
萩原千速
即答。 深緒が視線を逸らす。千速はため息を吐いた。
萩原千速
松田深緒
言えない。警視庁の科捜研のことは、取り調べの時公安に口止めされている。
松田深緒
萩原千速
鋭い。やっぱり誤魔化せない。
その時。カフェのテレビからニュースが流れた。
【東京•神奈川 連続殺人事件】 【神奈川県警・警視庁合同捜査 開始】
深緒の視線が上がる。その瞬間。店の中に、見覚えのある三人が入ってきた。
目暮達だ。深緒は反射的に立ち上がる。
萩原千速
松田深緒
高木刑事
最初に気づいたのは高木だった。
高木刑事
佐藤刑事
言いかけて止まる。”業務停止“その言葉を飲み込んだのが分かった。
目暮警部
目暮警部が深緒を見る。その目は心配そうだった。
目暮警部
松田深緒
答えられない。目暮達は何も知らない。ただ、突然科捜研が止まって、関係者が死んでいることだけ知っている。
佐藤刑事
優しい声だった。深緒は少しだけ笑う。
松田深緒
その時。背後から低い声が飛んだ。
横溝重悟
振り返る。横溝重悟が立っていた。
萩原千速
横溝重悟
深緒の目が少し逸れる。
横溝重悟
呆れている。でも、本気で追い返す顔じゃなかった。
松田深緒
横溝重悟
即答。佐藤が不思議そうに二人を見る。
横溝重悟は小さく息を吐いた。
横溝重悟
松田深緒
横溝重悟
高木刑事
そう言って歩き出す。深緒達はその背中を追った。
ーーーーー
横溝は、深緒達を神奈川県警の一室へ通した。会議というほどでもない。紙コップのコーヒー。
横溝は資料を机へ置いた。
横溝重悟
空気が変わる。高木が眉を寄せる。
高木刑事
横溝重悟
資料を捲る。
横溝重悟
深緒も覗き込む。そこに並ぶ鑑定データ。 薬剤反応。 医療機器ログ。 時系列。 そして。
松田深緒
全員の視線が集まる。深緒は資料へ手を伸ばした。
松田深緒
目暮が目を見開く。
目暮警部
松田深緒
即答だった。
松田深緒
横溝が頷く。
横溝重悟
佐藤が腕を組む。
佐藤刑事
横溝重悟
深緒は静かに資料を見つめる。 十年前。そこで何かがあった。
高木が小さく呟いた。
高木刑事
その瞬間。横溝の表情が変わった。
横溝重悟
低い声。
横溝重悟
全員が顔を上げる。横溝は一枚の紙を出した。
横溝重悟
松田深緒
横溝重悟
空気が止まる。
警察庁公安部。
横溝重悟
横溝重悟
佐藤が静かに息を呑む。
佐藤刑事
横溝重悟
高木刑事
深緒は無意識に拳を握る。
横溝重悟
横溝重悟
目暮警部
横溝重悟
資料を閉じる。
横溝重悟
横溝重悟
沈黙。空気が凍る。高木が小さく息を呑んだ。
高木刑事
佐藤刑事
横溝は苦い顔で頷いた。深緒は言葉を失う。
つまり。今の所長は、隠蔽側じゃなかった。むしろ。真実を明かそうとしていた。なのに。
殺された。
花梨
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