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【第一章】WT色に染まりたかった。

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【第一章】WT色に染まりたかった。

1 - #1 WT色に染まりたかった。

♥

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2021年11月02日

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柑無

(灰色の自分なんて

柑無

つまんないよ。)

柑無

私は柑無。 蜜柑の柑に無で、柑無(かんな)。

どれだけ色味のない名前で生まれ、 どれだけ色味のない日々を送ってきただろう。

そんな無色が今日、終わる。

私の計画はこうだった。

人気のない裏山の崖まで登って、 そして飛び降りる。 とても簡単だ。

柑無

(早く放課後になれ〜…)

柑無

(……だって)

「最後の色くらい自分で 創り出してもいいだろう?」

柑無

こうするしかなかった。

いや、これ以外に方法はあった。

でも嫌だった。 自分が、親が、友達が、世界が。

柑無

柑無

……さよなら

あぁ、

透明な空の中、あと少しで、 きっと私は赤に染まる。

柑無

……

あはは……… 嬉しい…染まれる……

満たされ……る…

そこで、私の意識は途絶えた。

柑無

……なのに

柑無

なんでこうなっちゃったの?

柑無

私はまた、生きなくちゃいけないの?

柑無

自分の色も見つけられずに?

柑無

…嫌だ

柑無

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ

柑無

……もう、いやだ

私の透明な命が助かってしまった。

飛び降りた翌日、私は病室で 目を覚ました。

…しかし様子がおかしい。

柑無

…うっ

柑無

え……っ?

急な頭痛。

まぁ、飛び降りた直後の深夜なんかに 起きてるから、痛くて当たり前か。

柑無

……寝…よう……

柑無

Nakamu

……な…ん

Nakamu

…ん……ちゃん

Nakamu

……柑無ちゃん!

柑無

わっ…!

柑無

え!?

柑無

だ、誰!?

Nakamu

あ〜ごめんね!‪w

Nakamu

びっくりした?

柑無

びっくり……しました

柑無

というか

柑無

あの…

Nakamu

こっちにおいで

Nakamu

話を聞かせてよ

柑無

は、話……!?

柑無

誰の?

Nakamu

君のだよ

Nakamu

柑無ちゃん

柑無

わ、わっ、私は…

柑無

話すことなんて

Nakamu

ない?

柑無

……はい

Nakamu

でも、君の"それ"

柑無

え?

Nakamu

君の点滴

柑無

え、点滴…ですか?

私は、パンダのパーカーを来た男の人 に指さされた自分の点滴を見る。

私の手首からチューブで繋がっている 点滴の容器は、廃れた灰色だった。

柑無

これが何か?

Nakamu

それ見て何か感じない?

柑無

何か…?

Nakamu

僕はNakamu

Nakamu

僕は君の点滴に

Nakamu

色を与えに来た、

Nakamu

一夜限りの幻だよ

柑無

色?一夜限りの?

柑無

…ま、幻……?

柑無

……Nakamuさんはこの世には存在しないんですか?

Nakamu

そうでもないよ?

Nakamu

ただ、君には現実で会えないね

柑無

そう、ですか

Nakamu

それで、

Nakamu

君はどうして飛び降りたりしたの?

柑無

柑無

……色

Nakamu

え?

柑無

色がなくて…

柑無

どこにも見当たらなくて。

柑無

それで……

柑無

自分の色が欲しくて

柑無

必死で…

Nakamu

そうだったんだ…

Nakamu

でも、君の色を満たすのに、

Nakamu

飛び降りは必要なの?

柑無

……分かりません

柑無

……ただ

柑無

何かの色に染まりたくて

あれ?なんで私…

柑無

必死で勉強とか、頑張ってたら

……なんで、

柑無

気付いたら、…っ

柑無

みんなの楽しそうな色に着いて行けなくなってました…

なんで、泣いてるの?

柑無

(。•́ωก̀。)…グス

Nakamu

そっか…

Nakamu

君は何かに染まる為に

Nakamu

必死になっていたら

Nakamu

もっと自分の色が分からなくなったんだね…

柑無

……えっ……?

柑無

私、それ、まだ話してない…

柑無

どうして分かるの……?

Nakamu

君の点滴を見れば分かる

Nakamu

水色になってるから

Nakamu

僕らはWTって言ってね

Nakamu

夢の中なら、

Nakamu

その人の所有物に色を吹き込めるんだ

柑無

…っ!

柑無

じゃあっ、私に

Nakamu

まだ完全には無理だ

柑無

どうして……?

Nakamu

君は、心から感情を感じる事ができなくなってる

Nakamu

色が欲しいあまりにね。

Nakamu

だから、時間が必要だ

柑無

……何日ですか!?

Nakamu

必死になったらダメ

Nakamuさんは、 私の口元に指を当てた。

柑無

……!

柑無

あ、…

Nakamu

ゆっくり、

Nakamu

僕達の話を聞いて、

Nakamu

自分の気持ちを知ろう

Nakamu

まずはそれからだよ

柑無

……離して…

柑無

自分の気持ち……

柑無

私にも"特別"が欲しい

Nakamu

お!

Nakamu

それだよ、それ!✨

柑無

え?

Nakamu

君に"特別"をあげよう

Nakamu

"特別"…僕があげられるのはこれだけ………

柑無

え?

Nakamuさんの身体が 透明になっていった。

柑無

消えちゃうの……?

柑無

私の、やっと私の思いを知ってくれた人に会えたのに…

Nakamu

明日もまた来なよ

柑無

え!?

柑無

柑無

待って!!

そこで、目が覚めた。

柑無

何…だったの?

柑無

夢……?

柑無

夢にしては、

柑無

鮮やかだったな…

柑無

……?

柑無

私の点滴、

柑無

こんな色だったっけ?

それは、端が僅かに 水色に染まった点滴だった。

こんなにも白黒の病室では、 やけにそれは光って見えた。

To be continued…

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