──────僕は知っているよ。
君が 『今を大切に"生きている"』事を。
ねぇ、今、君は生きていて 楽しいかい?
お友達が出来て、お空が見れて、 何より『自由になれた』んだ。
きっと…… 楽しいんだろうな。
でも、君は『自由になる』代わりに 『感情』を失ったんだね。
だから、 『楽しい』が分からないのかな?
僕ね、本で読んだ事あるよ。
人間は『喜怒哀楽』が 『感情の元』なんだって。
でも、君は、それを失った。
僕、凄く悲しいと思ったよ。
でもね、生きようと 思ってくれて、嬉しかったよ。
だって、僕は特病のせいで 十歳には、死んでしまうって 聞かされたから。
死ぬって怖いよ。
死ぬって 何も見えないし、感じないし、 聞こえないから。
生きている君が とても羨ましいよ。
……って言っても、 君は覚えていないだろうね。
『記憶を失った』から。
でも、その代わりに 『今を大切に生きてほしい』な。
君の時間。君の仲間。 君の親友。君の居場所。
そして、 君という存在。
全てを大切にしてほしいな。
僕の事は思い出しても 思い出さなくても良いよ。
とにかく、 今を、思うように生きて。
僕は、君の心の中から 応援するから。
そして……。
いっぱい笑ってね。
いっぱい怒ってね。
いっぱい泣いてね。
いっぱい楽しんでね。
西園寺 冬麻
西園寺 冬麻
冬麻は、小さく微笑みを見せると ウラヌスの夢の中で 静かに眠った。
〜小さな記憶と…〜 【終わり】
コメント
1件