渡辺
……回らない寿司からのスイーツで終わりかと思ったら、焼肉まで行くか?
普通。

進藤
だってぇ、結果的に進藤大手柄ですぅ。

進藤
これでも足りないくらいだと思いますけどぉ。

渡辺
確かに手柄なのは間違いないが、お前と事件を追ってたら、そのうち俺が破産する。

進藤
あ、先輩。
そのカルビ、私がキープしてますから、食べちゃだめですよぉ。

焼き上がったものをトングで拾おうとするが、しかし目の前の自称焼肉奉行がそれを許さない。
渡辺
じゃあ、俺は何を食えばいい?

進藤
……すみっこのほうで焼け焦げてる玉ねぎとかですぅ。

渡辺
お前、俺のことなんだと思ってんだよ?

進藤
……恋愛対象ではないことだけは先に言っておきますぅ。
変に勘違いされても嫌なのでぇ。

渡辺
それはこっちからも願い下げですぅ。
お前と一緒にいたら、金がいくらあっても足りない。

わざとらしく進藤の口真似をすると、進藤は明らかにムッとしながらも、カルビを口に放り込む。
渡辺
まぁ、事件なんてものはそうそう起きるものじゃないし、そもそも警察に任せておけばいいんだ。

渡辺
今回は知的好奇心を満たすための代償だと考えれば、まだ安いか。

進藤
そうですよぉ。
先輩はあんまりそういうことを気にしちゃだめですぅ。

渡辺
奢られる側が言っても説得力ないんだよ。

進藤
あー、でも作品を読んでてひとつだけ謎が残りましたね。

進藤
結局、日比野響さんは何者なんですかぁ?

渡辺
……ただのススキオアキノリさんだよ。

進藤
なんですかぁ?
その意味深な返しかた。

渡辺
まぁ、多分これは、この作品を読んだ人に向けての、あの人なりの挑戦状なんじゃないかな。

渡辺
もしかすると、本人がいずれ公表するかもしれないし、俺の口からはあえて言わないでおこう。

進藤
えー、そんなこと言われたら気になって、上カルビ追加しちゃいますぅ。

渡辺
気にならなくても追加してただろうが。その大盛りごはんを見りゃ分かる。

進藤
ぐえっへっへっへ……。
ばれましたぁ。

渡辺
え?
進藤、お前笑い方変じゃなかった?

進藤
へ、変じゃないですう。

進藤
おほほほほほっ……ですぅ。

渡辺
いや、絶対に変だった。

渡辺
お前、もしかしてその間抜けそうな口調……キャラを作ってるんじゃ……。

進藤
先輩、世の中、踏み込んではいけない領域があることをご存知ですか?

渡辺
そ、そうだな……。
改めて考えたら、そこまで変ではないわ。お前の笑い方。

進藤
……なら良かったですぅ。

進藤
それじゃあ、生ビールも追加しちゃいますかぁ。

渡辺
もうなんとでもなれ!
俺にはクレジットカードという魔法のカードがあるからな!

進藤
わー、頼もしいですぅ!

このコンビ、実はこの後様々な事件に巻き込まれることになるのだが……。