渡辺
やっぱり、あなたが殺したのは1人だけではなかったのですね。
渡辺
母親には恐らく明確な殺意があって、そしてあなたの罪を隠蔽しようと奔走してくれた兄は、そのつもりはなかったのに、結果的に殺してしまった。
芒尾
……おっしゃる通りです。
芒尾
井戸に落ちた兄と目が合った時、恐ろしい考えが頭に浮かんでしまった。
渡辺
兄が遺書を書いたことにして、罪を全て兄になすりつけようと考えたんですよね?
芒尾
えぇ、慌てて家に戻って遺書を作成し、井戸のそばに置きました。
芒尾
兄が母を殺害してしまったと思われるような供述も添えて。
渡辺
それを水道業者が発見して、事件が発覚した――ということですよね?
芒尾
えぇ、もしかしてどこかで綻びが出るかもしれないと思っていましたが、思ったよりもうまい具合にことが運びました。
芒尾
やはり、兄が関与した大人達は、兄のことを不審に思っていたらしく、駐在さんの証言も追い風になってくれましたよ。
芒尾
これが事件の真相です。
芒尾
渡辺さんに話して良かったと思います。
芒尾
ずっと、胸の奥でつかえていたものが取れたような気がします。
渡辺
問題なのは、それが事実なのかどうか、私には分からないというところですか。
渡辺
この作品はノンフィクションかもしれないし、フィクションかもしれない。
渡辺
このサイトを利用したメタ作品なのかもしれないけど、あなたが人殺しだという証拠はないんです。
渡辺
あくまでも、あなたが書いたものに従って、こちらが勝手に出した答えですので。
芒尾
……そうですね。
こちらとしては、誰かに話を聞いてもらえただけで充分なのですがね。
こちらとしては、誰かに話を聞いてもらえただけで充分なのですがね。
渡辺
それで芒尾さん……いえ、日比野さんとお呼びしたほうがいいですかね。
渡辺
もし良かったら、今後ともこちらのサイトをご利用いただけると幸いです。
芒尾
それは、こちらからお願いしたいものです。
芒尾
次の話の構造も練ってありますから。
芒尾
チャットノベルというものは、実に手軽でいいですね。
芒尾
小説の裾野を広げるものになるのではないかと思います。
渡辺
ありがとうございます。
渡辺
もしかすると、また連絡をさせていただくことがあるかもしれませんから、その時はよろしくお願いします。
芒尾
それはお仕事の話――ということですね?
芒尾
商業ベースになるような作品を書けるよう精進します。
渡辺
はい。よろしくお願いします。
渡辺
この事件のことは、フィクションだった――ということにしておきたいと思います。
渡辺
あなたを詮索するつもりはありませんから。
芒尾
そう言っていただけるとありがたいです。
芒尾
それではまた、いつかの機会に。
渡辺
はい、失礼します。
渡辺
……回らない寿司からのスイーツで終わりかと思ったら、焼肉まで行くか?
普通。
普通。
進藤
だってぇ、結果的に進藤大手柄ですぅ。
進藤
これでも足りないくらいだと思いますけどぉ。
渡辺
確かに手柄なのは間違いないが、お前と事件を追ってたら、そのうち俺が破産する。
進藤
あ、先輩。
そのカルビ、私がキープしてますから、食べちゃだめですよぉ。
そのカルビ、私がキープしてますから、食べちゃだめですよぉ。
焼き上がったものをトングで拾おうとするが、しかし目の前の自称焼肉奉行がそれを許さない。
渡辺
じゃあ、俺は何を食えばいい?
進藤
……すみっこのほうで焼け焦げてる玉ねぎとかですぅ。
渡辺
お前、俺のことなんだと思ってんだよ?
進藤
……恋愛対象ではないことだけは先に言っておきますぅ。
変に勘違いされても嫌なのでぇ。
変に勘違いされても嫌なのでぇ。
渡辺
それはこっちからも願い下げですぅ。
お前と一緒にいたら、金がいくらあっても足りない。
お前と一緒にいたら、金がいくらあっても足りない。
わざとらしく進藤の口真似をすると、進藤は明らかにムッとしながらも、カルビを口に放り込む。
渡辺
まぁ、事件なんてものはそうそう起きるものじゃないし、そもそも警察に任せておけばいいんだ。
渡辺
今回は知的好奇心を満たすための代償だと考えれば、まだ安いか。
進藤
そうですよぉ。
先輩はあんまりそういうことを気にしちゃだめですぅ。
先輩はあんまりそういうことを気にしちゃだめですぅ。
渡辺
奢られる側が言っても説得力ないんだよ。
進藤
あー、でも作品を読んでてひとつだけ謎が残りましたね。
進藤
結局、日比野響さんは何者なんですかぁ?
渡辺
……ただのススキオアキノリさんだよ。
進藤
なんですかぁ?
その意味深な返しかた。
その意味深な返しかた。
渡辺
まぁ、多分これは、この作品を読んだ人に向けての、あの人なりの挑戦状なんじゃないかな。
渡辺
もしかすると、本人がいずれ公表するかもしれないし、俺の口からはあえて言わないでおこう。
進藤
えー、そんなこと言われたら気になって、上カルビ追加しちゃいますぅ。
渡辺
気にならなくても追加してただろうが。その大盛りごはんを見りゃ分かる。
進藤
ぐえっへっへっへ……。
ばれましたぁ。
ばれましたぁ。
渡辺
え?
進藤、お前笑い方変じゃなかった?
進藤、お前笑い方変じゃなかった?
進藤
へ、変じゃないですう。
進藤
おほほほほほっ……ですぅ。
渡辺
いや、絶対に変だった。
渡辺
お前、もしかしてその間抜けそうな口調……キャラを作ってるんじゃ……。
進藤
先輩、世の中、踏み込んではいけない領域があることをご存知ですか?
急にドスのきいた声を出した進藤に驚く渡辺。
渡辺
そ、そうだな……。
改めて考えたら、そこまで変ではないわ。お前の笑い方。
改めて考えたら、そこまで変ではないわ。お前の笑い方。
進藤
……なら良かったですぅ。
進藤
それじゃあ、生ビールも追加しちゃいますかぁ。
渡辺
もうなんとでもなれ!
俺にはクレジットカードという魔法のカードがあるからな!
俺にはクレジットカードという魔法のカードがあるからな!
進藤
わー、頼もしいですぅ!
渡辺と進藤。
このコンビ、実はこの後様々な事件に巻き込まれることになるのだが……。
それはまた、ご要望あれば別の機会に……。
―完―