祟
き、鬼怒川さん...‼︎

メア
ああ?いきなり飛び出してきて階段転がって何がしてーんだ?

メア
しかも訳分かんねー音が流れるわ...ホント腹立つな...

祟
おい‼︎鬼怒川さんに近付くな‼︎

メア
あ?何命令してんだ...よぉッ‼︎

するとメアさんは
床で寝ている鬼怒川さんの
みぞおちに蹴りを入れた。
薊
ぐぇ...ッ‼︎

祟
やめろッ‼︎

メア
うるせーな...てかお前、コイツのこと殺したいって思わねーのか?

祟
何だと...?

メア
お前はこの女に殺されそうになったことがあるんだろ?

メア
だったら今、この瞬間‼︎この女のこと殺せよ‼︎

祟
俺は...そんなことは絶対にしない...

メア
はあ?お前どこまでお人好しなn

祟
黙れ...

祟
彼女が俺を殺そうとした理由は、俺がメアさんみたいな事件を起こしたと思い込んでいたからだ‼︎

祟
そんな憎い相手...もし俺が鬼怒川さんの立場だったら殺したくもなるよ...

祟
だから俺は鬼怒川さんを責めることはしない、絶対にだ‼︎

メア
ほーん、そうかそうか。なら...ッ‼︎

メアさんは右足に
勢いをつけると
先程よりも激しく
彼女の体を蹴り飛ばした。
薊
がは...ッ‼︎

祟
やめろって言ってんだろがッ‼︎

俺はとっさに彼女を守ろうと
近付いたが顔面に重い一発を
食らってしまいその場に倒れた。
祟
うぐッ...いっつ...

祟
きぬ...がわ...さ...

そして彼女は何発も蹴りを
入れられ苦しそうに
か弱い息を吐いていた。
メア
あー、うぜぇわ。もう殺そ

そう言うと彼は
力なく彼女が手放した
包丁を手に取ると
思いっきり振りかぶった。
祟
やめ...ろ...ッ‼︎

メア
あ?誰d

突然、メアさんは誰かに
強烈な右ストレートを
食らったかと思うと
壁へと叩きつけられていた。
祟
あ...あなたは...

涙
大丈夫か?鵠沼

祟
六道...さん...どうして...

涙
“被害者はペナルティー以外で殺されてはならない”からな

祟
“ペナルティー”...?

涙
...何でもない

涙
それより鵠沼、何か縛るものはないか?

祟
縛るもの...あっ‼︎

俺はとっさに鞄を探ると
家から使えそうかと持ってきた
縄跳びを2本出した。
祟
これで...いいか...?

涙
十分だ

涙
では私はこの殺人鬼を縛る、貴様は鬼怒川を縛れ

祟
なっ...し、縛るって...

涙
暴れられたら手をつけられないだろう?

祟
確かに...

そして俺と六道さんは
それぞれを縛ると
階段の手すりに結び付けた。
メア
クソ...ッ‼︎解けよ...ッ‼︎

メア
てかお前誰なんだよ‼︎

涙
貴様に名乗ったところで疑問が増えるだけだ

メア
いいから教えろよッ‼︎

涙
鵠沼、ガムテープ持ってないか?

祟
あ、一応あるけど...

すると六道さんは
一切躊躇することなく
彼の口にガムテープを
貼り付けた。
メア
んーッ‼︎んーんーッ‼︎

祟
容赦ないな...

涙
そうは思わないがな

祟
....

俺は六道さんの恐ろしさを
痛感しながらも
火災のことを思い出し
ここから避難することを
彼女に提案した。
涙
火災...ああ、そのことなら大丈夫だ

涙
既に“無くなっている”だろう

祟
“無くなってる”って...そんなことある訳...

祟
な...何だよこれ...

祟

祟
2階が...無い...

六道さんの言葉は
比喩でも何でもなく
2階から上の階が
ブラックホールのような
漆黒の闇に包まれていた。
涙
だから言っただろう、無くなった...と

祟
....

涙
何をそんなに驚くことがある?貴様はこの世界が現実世界ではないことを知っているだろ

祟
知ってるよ...知ってるけど...

祟
あの...目に焼きついた“残酷な光景”は無かったことにできねーよ...ッ‼︎

涙
....

祟
六道さんって...確か俺の監視役だったよな...

涙
ああ、そうだが?

祟
それじゃあ、知ってるよな...この世界に俺らを送り込んだ“首謀者”の正体を...ッ‼︎
