寛
太宰!おい、太宰!大丈夫か?
太宰
芥川先生!ここにいるんでしょ!?教えてください!ここはどこなんです?
寛
太宰、1度戻ろう。もう皆、やられてる……。
太宰
音が、聞こえるんだ。トカトントンって……。
芥川
太宰君、太宰君は、ここに来ちゃいけないよ。
太宰
芥川、先生!!
司書
太宰さん、大丈夫ですか?
太宰
お司書さん……。俺、は……?
司書
潜書のダメージがまだ残っているんです。だから、しばらく、横になっていてください。
太宰
芥川先生は、あそこにいた……。
司書
有碍書の中に、ですか?
太宰
そう……、なんだよ。菊池先生はなんて言ってる?
司書
なにも、見えなかった、と。
太宰
ごめん。俺、死にたい。お司書さん一緒に死のう。
司書
だ、太宰さん?
太宰
お願い、一緒に死んで……。
司書
嫌です。ダメですよ。横になって。
太宰
うぐ。
太宰
(芥川先生は、絶対あそこにいた。俺は、絶対、諦めないからな……)
太宰
あ、中也!
中也
あ、太宰じゃねーか!お前、傷はもう良いのかよ!?
太宰
あ、大丈夫です。はい。
中也
まったく、惨めったらしいなあ…。俺は食堂に行くけど、お前は?
太宰
あ、えーと、オダサク知らない?
中也
さっき玄関先で会ったけどよ、なんか思い詰めた顔してたぜ!
太宰
ねえ、中也。中也は死なないよね?また昔みたいに、病気になったりしないよね?
中也
お前、ホントに傷治ってんのか?
太宰
いや、なんかさ、芥川先生が消えてから、ずっと……。
中也
ずっと……?
太宰
いなくなった先生のことを考えると、もう胸が張り裂けそうで!
中也
汚れつちまつた悲しみに
今日も小雪の降りかかる
今日も小雪の降りかかる
太宰
いいよな……中也は。
俺はこの悲しみを……オダサクにぶつけたかったんだけど。
俺はこの悲しみを……オダサクにぶつけたかったんだけど。
中也
汚れつちまつた悲しみに
今日も風さへ吹きすぎる
今日も風さへ吹きすぎる
太宰
中也……。ぐすん。
太宰
ねえお司書さん。俺もう、消えてなくなりたい。
司書
菊池さんは、もうけじめをつけられていると、言っておられましたよ。
太宰
なんでだよ!薄情過ぎない!?
太宰
お司書さんは、芥川先生のことを、好きだったんでしょ!?なんでそんなに、落ち着いていられるんだよッ!!
司書
私はここにいる皆さんが大切です。だから、誰一人として居なくなって、欲しくないんです。
太宰
そうだけど!そうだけど!