主
主
主
主
主
長くなります
私の名前は内藤ないこ
どこにでもいる普通の中学一年生。
好きなのは、絵を描くことと静かな場所。
苦手なのは、目立つことと…………男の子。
悠莉
朝。学校の近くで、親友の悠莉ちゃんと会った。
悠莉ちゃんとは、小学五年生のころからずっと仲良しの友達。
ないこ︎︎ ♀
悠莉
ないこ︎︎ ♀
笑顔でうなずいて、ふたり並んで歩いた。
私は、私立天空学園と言う中学校に通っている。
校舎がきれいで
お城みたいな学校。
制服も可愛くて
女の子から人気みたい。
私がここを選んだ理由は校舎や制服じゃなく、
学校推薦をもらうことができたから。
学費が高い中学校だけど
特待生として学費免除で通うことができているんだ。
もちろん、勉強は頑張らなきゃいけないから
学年三位の成績をおさめるという
特待生の条件を守るため勉強を頑張っている。
学校が大好きだから、毎日が楽しい
悠莉
学校の隣に立っているおうちを見て
悠莉ちゃんが顔を引きつらせていた。
お城みたいな学校の隣には、本物のお城があるんだ。
ここには、理事長が住んでいるとか…………
こんなおうちに住めるなんて、理事長は、お金持ちなんだろな……。
そんなことを思いながら、正門をくぐった。
ふたり並んで、一緒に教室に向かう。
悠莉
悠莉ちゃんは手でパタパタと風をつくるようにあおいでいた。
今年は例年より暖かく、
まだ五月の下旬なのに
夏本番くらいの暑さだ。
ないこ︎︎ ♀
私も暑さに強い方ではないけど、
真っ青な空を見るのは好き。
今日も、一点の曇りもない青い空が広がっていた。
ないこ︎︎ ♀
廊下の窓から空を見ながらそんなことを思っていたとき、誰かとぶつかった。
ないこ︎︎ ♀
悠莉
思わずふらついたけど、悠莉ちゃんが支えてくれたからころばずにすんだ。
男の子(なんでぶつかってんねん💢
ぶつかった相手は、男の子だった。
男の子だと気づいた瞬間、
私の身体が金縛りに会ったみたいにこわばってしまう。
怖いという感情が浮かんで、思わず視線を下げた。
ないこ︎︎ ♀
相手と目を合わせないまま、私も謝る。
ないこ︎︎ ♀
悠莉
ないこ︎︎ ♀
悠莉
悠莉ちゃんははっきり言えるタイプの女の子だから
そう言ってさっきぶつかった子をにらめつけていた。
悠莉
悠莉ちゃんが私の手を引っ張って、歩きだす。
ないこ︎︎ ♀
ないこ︎︎ ♀
ないこ︎︎ ♀
悠莉
そう言って微笑んでくれる悠莉ちゃん。
私はいつも、悠莉ちゃんに助けてばっかりだ。
男の子(なんでぶつかってんねん💢
さっき、ぶつかった男の子の声がうしろから聞こえた。
男の子(なんでぶつかってんねん💢
男の子2(何、喋ってるんだよ💢
男の子(なんでぶつかってんねん💢
こそこそとはなしてる会話の内容に、ちくりと胸が痛んだ。
悠莉
悠莉ちゃんも聞こえていたのか、
鬼の形相で振り返った。
ほうっておいたら、このままあの男の子たちに
つかみかかっていきそうな勢いだ。
ないこ︎︎ ♀
私は、ぎゅうっと悠莉ちゃんに抱きついて
必死に悠莉ちゃんをなだめる。
私のために怒ってくれるのはうれしいけど、
悠莉ちゃんが誰かとケンカしちゃうのはイヤだっ……!
悠莉
ないこ︎︎ ♀
そう言えば、悠莉ちゃんは納得してくれたのか、
振りあげていた腕を下ろした。
悠莉
悠莉ちゃんが言っているのは、このメガネと、シンプルにふたつくくった髪型のことだと思う。
私はいつも、分厚いメガネをかけているから。
ないこ︎︎ ♀
このメガネも伊達メガネ。
悠莉
ないこ︎︎ ♀
実は、悠莉ちゃんとふたりきりのときはメガネを外している
家でもつけないし
つけるのは外に行くときと、学校にいる間。
悠莉
ないこ︎︎ ♀
ないこ︎︎ ♀
悠莉
ないこ︎︎ ♀
このメガネは、私にとってお守りみたいなものだ。
ないこ︎︎ ♀
私はいつもクラスメイトの男の子たちからからかわれたり
いじめられていた。
男の子(何悪口言ってんねん💢
って言われたり
ないこ︎︎ ♀
スカートをめくられたり……
そんなイヤがらせを受けて、
いつの間にか男の子が怖くなってしまったんだ。
学校に行くのも怖くなって、一週間家に引きこもった。
そんな私に、お母さんがこのメガネをくれだんだ。
お母さん(ないこ)
次の日メガネをかけて学校に行くと、少しだけ恐怖心が薄れていた。
この一枚が、私と男の子たちの間に壁をつくってくれているみたいで
安心できたんだ。
ないこ︎︎ ♀
悠莉
悠莉
瞳の奥に、メラメラと怒りの炎を燃やしている悠莉ちゃん。
ないこ︎︎ ♀
ないこ︎︎ ♀
と、感じた。
悠莉
悠莉ちゃんが、ぎゅっと私を抱きしめてくれる。
悠莉
ないこ︎︎ ♀
本当は口に出して言いたかったけど、また言いすぎだって怒られる気がしたから
心の中でお礼を言った。
教室に着くと、仲のいいクラスメイトたちが集まっていた。
クラスメイト
みんなに
ないこ︎︎ ♀
と挨拶を返して、席に着く。
クラスメイト
クラスメイト2
みんなが話を始めて、私はその話題に首をかしげた。
ないこ︎︎ ♀
ってなに……?
ないこ︎︎ ♀
クラスメイト
友達のひとりが、驚いた顔で私を見ている。
クラスメイト2
クラスメイト2
ないこ︎︎ ♀
悠莉
そのとおりだけど、興味がないとはいえ友達から聞いた話を
忘れていたことに、申し訳ない気持ちになった。
クラスメイト
クラスメイト2
ないこ︎︎ ♀
クラスメイト
くわしく知らない私に、みんながあらためて説明してくれる。
クラスメイト2
ないこ︎︎ ♀
ないこ︎︎ ♀
どうやらみんなそのグループに夢中らしく、「いれいすの話?」とほかのクラスメイトたちも集まってきた。
クラスメイト
クラスメイト2
ないこ︎︎ ♀
口々にみんなが言う単語に、また首をかしげる。
クラスメイト
クラスメイト
ないこ︎︎ ♀
ないこ︎︎ ♀
クラスメイト
ないこ︎︎ ♀
男の子が苦手だからか、男の子に関する話題には昔から無頓着というか……
ないこ︎︎ ♀
ないこ︎︎ ♀
(もう忘れないように、覚えておこう)
クラスメイト
急に変わった話題に、びっくりして肩が跳ねる。
ないこ︎︎ ♀
レインというのは、女子中高生に大人気の少女漫画雑誌。
クラスメイト2
クラスメイト
ーギクッ。
さっき以上に身体から大きな効果音が鳴った気がした。
ないこ︎︎ ♀
クラスメイト3
クラスメイト3
みんなが、スマホを取り始めた。
ちなみに、私の中学校は私立で、スマホの持ち込みはオッケーだ。
ただ、授業中は電源を切っておかなきゃいけなくて、スマホがなったら没収になっちゃう
クラスメイト
ひとりの友達が、そう言って"凪衣"のイラストを見せてきた。
ないこ︎︎ ♀
と、思わず心の中で悲鳴をあげる。
クラスメイト2
完全に凪衣の話題になってしまって、私は耐えきれず立ち上がった。
ないこ︎︎ ♀
近くの空き教室に入って、
ないこ︎︎ ♀
と息を吐く。
ないこ︎︎ ♀
ないこ︎︎ ♀
ないこ︎︎ ♀
本名ではなく、『凪衣』というペンネームで活動している
さっきみんなが話していたのは……まさに私のことだった。
昔から絵を描くことが好きで、
趣味で漫画を描いていた。
そして、小学生コンテストが開催されていたから応募してみたら……なんと、賞を受賞して
デビューできたんだ。
ないこ︎︎ ♀
SNSでもイラストをアップしていて、気づけばいつの間にか、フォロワーは十万人規模になっていた。
ないこ︎︎ ♀
だって……私があの漫画を描いているって知ったら、恥ずかしいから……!
べつに恋愛漫画ではないけど、バレちゃうこと自体が恥ずかしいんだ。
ああやって自分の作品の感想を聞けるのはうれしいけど……同時にバレないかなってひやひやしちゃう。
ないこ︎︎ ♀
ないこ︎︎ ♀
そう思ったとき、突然教室の扉が開いた。
りうら
現れたのは……クラスメイトの男の子だった。
ないこ︎︎ ♀
大神 りうらくん。彼は唯一私に話しかけてくれる男の子。
クラスで一番身長が高くて
さわり心地がよさそうな赤い髪がトレードマーク。
笑うとえくぼができる
人あたりのよわいさわやか系の男の子。
りうら
ないこ︎︎ ♀
ないこ︎︎ ♀
大神くんは、ほかの男の子とは少し違う。
ないこ︎︎ ♀
だから、男の子たちはわざわざ地味な私には話しかけてこない。
でも、大神くんだけはいつも挨拶をしてくれるし、こうして声をかけてくれる。
ないこ︎︎ ♀
ないこ︎︎ ♀
りうら
笑顔を浮かべた大神くんは、そのまま教室から出ていくかと思ったらなぜか空き教室の中に入ってきた。
りうら
ないこ︎︎ ♀
ないこ︎︎ ♀
大神くんが優しい人だってことはもちろんわかってる
けれど、ただ男の子ってだけで……どうしても怖いと思ってしまうから。
りうら
ないこ︎︎ ♀
ーキーンコーンカーンコーン
まるで、私に助け舟を出すみたいに、
ちょうどいいタイミングで予鈴のチャイムが鳴った。
ないこ︎︎ ♀
わざとらしいくらい大きな声でそう言って、逃げるように空き教室を飛び出した。
ないこ︎︎ ♀
それにしても……今日は逃げてばかりで疲れたな……
ないこ︎︎ ♀
続き ♡=1000(欲張りすぎ?)
コメント
2件
好き💕 やっぱウタイテ!おもろいしキュンキュンするわぁ! パロ最高!