天月
ふー……

こうして今でもみんなの前に
出ていられるのは、あの時僕を
救ってくれたあの2人のおかげ
きっと昔の僕は、こうなることを
願っていても、本当に実現するとは
思ってもいなかっただろうな
実のところ、僕は今でも、
外にそびえ立っている高いビルに
びっくりしたりするんだ
昔はあんなに高い建物はなかったし、
スカイツリーができた時なんかは、
実物を見るまで信じられなかった
天月
……いやぁ、人間ってすごいよね〜……

背もたれから起き上がりながら、
ついぽつりとそう呟く
>急に人間の話?w
>たしかにそうですねw
>突然どうしたw
呟きがみんなに聴こえていたのか、
そんなコメントが来ていた
天月
ん〜……例えばの話だけど、みんなが江戸時代くらいの人だったとするじゃん。

天月
そこからずーっと生きて、今の東京を見て……。

天月
そこで、ふと昔を振り返ったらさ。その時からは、こんな街になるなんて考えられなくない?

例えば、というより、そのまま僕が
体験してきたことだけど
>なぜ江戸時代w
>昔と今って結構違うもんねw
>江戸の人びっくりするだろうなーw
江戸から明治に代わった時も、
ガラッと街が洋風に変わって
いったのにはびっくりした
今では、AIやロボットの技術がもっと
進展してて、無人とかセルフとかも、
全く珍しい話ではなくなってきた
天月
僕さ、人って本当に面白いと思うんだよね。

天月
最初は何の知識もなかったのに、自分達で色々学んでいって、言葉も作っちゃって……。

天月
それがこうして歌になったり、ゲームにもなったり、色んなものに発展していってるんでしょ?

>たしかに……
>そう考えると人ってすごいなぁ……
>あれ、これ勉強配信?w
天月
……あ、そうじゃん。僕ゲームしてたのに何の話してんだろ

久しぶりの配信だし、こんな話
じゃなくて、もっと楽しい話をしよう
天月
よーし、じゃあ次の試合……

天月
……え?

天月
──ゔっ……!?

突然心臓の辺りに痛みが走って、
思わず両手で押さえる
天月
っぐ……あ……!? ……はっ、はぁっ……!

痛みで呼吸がままならなくて、
上手く体に力が入らない
天月
(何なの……急にっ……!)

天月
った……!

盛大に音を立てて、座っていた
椅子から転げ落ちてしまった
>えっ、何……!?
>天月くん!?
>どうしたの!?
天月
ゔぁ……げほっ、げほっ……!!

天月
はあっ、はあっ……う、……

また突然痛みが消えたと思ったら、
今度は強烈な眠気に襲われる
天月
っ……?

天月
(……あれ、は……もしかして……)

天月
……“ベル”……?

???
……!

天月
っ……ごめん……僕が、悪かったから……!

天月
おねがい……だから……。

天月
……いか、ない……で……
