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また。また来てしまった。兄ちゃんを連れて行った夏が。 俺の一番嫌いな季節が。
お母さん
お母さん
赤
お母さん
お母さん
赤
お母さん
お母さん
お母さん
お母さん
俺を慰めるような口調の母さん。 そういう母さんも、あの頃より随分瘦せたな…
俺の兄ちゃんは、8年くらい前、持病が悪化して、 帰らぬ人となった。 学校には引っ越しって嘘をついて、入院した。 あと少しで治るって言ってたのに、急に死んでしまったんだ。
俺はとびきりの笑顔を作り、
赤
と言った。 母さんはどこかほっとしたような顔をしている。 それにも気づかないふりをして、二階にある自分の部屋に行った。
少し座って、気分を落ちつかせる。 そうしてから、準備をはじめた。
準備を終えて一階に降りていき、引き締まった顔で言う。
赤
お母さん
電車の中、母さんは真顔だった。 どこか遠くを見ているようで、俺が話しかけても反応が遅かった。 まだ時間はあるし、少し寝ようかな。 そう思ってまぶたを閉じた。