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きゅうりの一本漬け
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あの日から僕らは
第2章
第2話
秋の夕暮れ時 空を見る君は
もふ視点
俺は、この世に生まれた時から
この世界の音が聞こえることはなかった
生まれつきだった 、 仕方がなかった
聴覚障害
音を感知する器官、神経の経路に 何らかの、影響で 耳が、音が聞こえなくなる障害である
両親は深く悲しんだ
それでも、他の子と同じ様に育ててくれた
mf
そんな俺は今高校1年生
立派な一人の人間となった
俺は、数少ない友達がいた
たっつんとゆあんくん
そして、もうこの世にはいないじゃっぴ
今年の夏、じゃっぴは不慮な事故でなくなった
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たっつんが笑顔で俺に近付いてきた
もちろん、声なんて 聞こえない
mf
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たっつんは手話を交えながら 身振り手振りで何があったのか説明してくれた
どうやら、テストの補習を受けないとらしい
mf
mf
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たっつんはどうやら怒ってるみたいだ
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ya
mf
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ya
もうひとりの友達 、ゆあんくん まだまだ手話なんて出来ないけど 頑張って習得中らしい
おれのために覚えてくれるなんて、 なんだか申し訳ないな
mf
ya
どうやらただ俺達がいたから 話しかけただけらしい
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ya
mf
楽しかった、学校は とても楽しかった
高校に、上がる前までは
ザバーーーーーーーーン ッッッッッ " ' !!!!!!
mf
tt
ya
俺は頭から バケツに入った氷水を被ってしまった
典型的な " 虐め " だった
mf
どうやら、同じクラスメイトの数名が 俺目掛けて、バケツを投げたようだ
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たっつんが怒鳴る、顔を見たら分かる
ya
ゆあんくんが俺に声をかける 心配そうに、しゃがんだ俺の顔を覗いた
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たっつんは、奥歯を噛み締めた
どうやら、かなりご立腹のようだ
何を言われてるのか、自分でも分からない
けど、酷い事を言われているのは目の当たりだ
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mf
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たっつんは悲しそうな顔をした
ya
ya
ゆあんくんは俺の肩を掴み 首にかけていたタオルを俺の頭に被せた
多分、立ち上がろうとしている
mf
tt
この感じだと、保健室かな
ya
こんな感じで、俺は虐められている
理由は単純、「障害者だから」だ
普通じゃないと虐められ 、
普通だと、除け者にされる
それが人間のする事だ
クラスメイトの俺への虐めは悪質で、典型的だ
靴に画鋲を入れたり
授業中に、ゴミを投げてきたり
聴覚障害のある俺に聞こえない事がわかっている上で
悪口を大声で叫んだり
そして、補聴器を取られたり
補聴器は聴覚障害の人が唯一 音が聞こえる機械だ
学校では、イヤホンの持ち込みは校則違反
でも、補聴器はイヤホンのような形をしている
先生の特別で俺だけっていうのが 気に食わなかったのだろう
ただそれだけで
補聴器を隠して、壊されて、水没させられて
何度も何度も、何度も何度も破壊されてきた
補聴器は高い、それなりには
だから、これ以上親に迷惑をかけるのも悪いので
俺は、補聴器を付けるのを止めた
いつか、そのうち
俺は、死にたいと思った
人生に疲れていた
救いの手は少なく、クラスメイトに虐められ
なんの音も聞けなくて、歌えなくて
ただ、見ることしか出来なくて
ゆあんくんの声も
たっつんの声も
じゃっぴに限っては、聞くことすら出来ずに
もう、疲れたんだ
いやだった、俺のこの トクベツ が
でも、死ねなかった
怖かった
苦しんで死ぬのが嫌だった
親が、友達が悲しむのが嫌だった
そんな俺は、紅葉の見える 美しい公園で 1人寂しく本を読んでいた
紅葉の木の下のベンチで 推理小説を片手に 、
ふと、肩に感触を感じた
mf
dn
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肩に触れたのは、人だった
長髪の白髪で 、目がまんまるで スラッとした細身な体型 左右で違う目の色
mf
こんな人に俺はあった事がなかった
初対面だ
それから、白髪の彼?彼女?は 何も言わずに気まずそうに固まった
ああ、俺が返答しないから
何を言ってるか分からないから
俺の耳が 聞こえないから …
それでも、彼女は頑張って話そうとしてくれた
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mf
口の動きで何を言ってるのか 頑張って知ろうとした
dn
違う口の動き 、話題を変えたのか ?
dn
気まずそうに笑った
mf
たっつんやゆあんくんは 手話やジェスチャーをしてくれる
それは、俺が聴覚障害だっていうのを知っているから
でも彼女は知らない 、何も知らない
今ここで、伝えてしまおうとも思った
素直に「僕は耳が聞こえないんです」 そういえば良かった
そう言えば、良かった物を
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彼女は悲しそうな、今にも泣きそうな顔をして 公園を出ていこうと走り出した
いかないで
俺は、不意にそう思っていた
mf
俺は引き留めようとした
声を振り絞った
でも、
彼女に届く事は、なかった
mf
…どうしてだろう
どうして、俺は彼女を引き留めようとしたんだろう
赤の他人だ、今初めて会った人だ
mf
でも、それでも
彼女に、傍にいて欲しいと思った
mf
また、明日来よう
絶対、ここに
mf
mf
家に帰って早々、出迎えてくれたのは母さんだった 手を胸あたりから脇下に、開いた手を窪ませ 「おかえり」の手話をした
母さんの手には、いつも 紙のペンが握られていた
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母さんが、多分無言で その紙にペンで何かを書き始めた
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母さんは、心配そうな顔で 俺のことを見ていた 心がきゅっと苦しくなった
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mf
mf
mf
そんなのもちろん嘘だ、大嘘だ
でも、これ以上心配して欲しくないから 真実を知って欲しくないから 俺はいつも、母さんに嘘をついている
補聴器なんて、数ヶ月前から行方不明だ
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部屋は物凄く静かで どこか寂しいものだった
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彼女に、会いたい
そんな気持ちと 気まずくて会いたくない気持ちが混ざって 心がずっと落ち着かなかった
mf
恋煩い 、自分がなるとは思いもしなかった 誰かを愛してやまなくなり、体調とか心が悪くなるやつ
mf
でも、こんな恋実るわけなくない ?
耳の聞こえない俺と
何も知らない彼女は
どう足掻いても、つり合う気がしない
それに、彼女の顔は誰が見ても整っている
そんなの、ますますつり合いっこない
mf
mf
耳の聞こえない俺が 唯一聞こえる、誰かの声
その声は、いつでも俺を慰めてくれる
姿が見えずとも、感じられずとも
mf
きっと、すぐそこに居るんだって
次の日、俺は いつもの公園へ足を運んだ
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やっぱり、いた 白髪の美しくなびく髪の彼女は 俺がいつも座っているベンチに座っていた
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その人は、口を開いた
けど
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すぐに口を引っ込めてしまった
わかる、気持ちが凄くわかる
俺だって同じ気持ちだ
初めて会った時、 あんな態度着いて、つかれて 話しかけれる訳がない
でも、俺は言うよ
だって
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貴方が恋しくて、もどかしいから
dn
彼からの助言の 笑顔 で 偽りすぎない、優しい声で
きょとんとした顔で 俺の事を見ていた顔は 愛おしくて
ずっと見ていたかった
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彼女は頷いた 少し照れた顔で、焦りながら ちょっと横にずれて、俺の席を空けてくれた
よかった、嫌われなくて
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mf
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いつも持ってきていた本を開いて 本を読むふりをしていた
彼女の姿勢はなんだか硬くて、ぎこちなくて 緊張してる様子が伝わってきた
可愛い
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何か話題を振るべきなんだろうが なかなか出てきやしない
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身体を身震いした 風が吹いたようだ 秋の終盤に差し掛かって 秋の終わりを告げる、そんな気がした
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彼女も身震いした お互いあんまり着込んでなくて 風は冷たいし、空気も冷たい
秋か
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彼女はふと 視線を俺に向けた
自分でも、なんでこの話題を出したのか分からない
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笑った
笑った顔が素敵だ
優しく微笑んでくれて
俺の話をしっかり聞いてくれて
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これは、伝えなきゃ行けない大切なこと
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彼女は目を見開いた
驚いてる…?もしかして、引いた?
流石に飛ばしすぎたかもしれない
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俺は無理矢理話題を変えた
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彼女はまた、優しく微笑んだ
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この心がざわっと 紅葉の木と一緒に動いた
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彼女の顔が真っ赤に日照った
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彼女の笑った顔と口の動きで 「ありがとう」と言ったのが分かった
その日から
俺は彼女と 、 どぬくさんと
毎日会うような仲になっていった
どぬくさんが男性って事も知った
不思議と、気持ちが揺らぐ事は無かった
今日も、俺は会いに行く
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mf
どんな時、この公園に居ても どぬくさんは来てきれた
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それでも、どぬくさんの声を聞く事はできない でも、無邪気に頑張って話しかけてくれるどぬくさんが ものすごく可愛くて、大好きだ
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前まで1日数ページ読めていたペースが どぬくさんが来た事で乱れたけど それほど、どぬくさんに夢中ってことかな
こんな幸せが、ずっと続けばいいと思ってた
でも、無理だった
mf
医者から手話で伝えられた内容だ
どうやら、俺の聴覚障害の症状が 悪化していっているらしい
母さんは悲しい顔をしていた
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絶対に虐めだ
でも、今言ったら 今言っても、何が変わるんだ?
それに、母さんに心配かけたくない
今の物事を大きくさせたくない
これ以上、虐められたくない …
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mf
医者に伝えられた手話に 思わず声を上げた
入院…?なんで?
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mf
mf
これから入院なんてしたら
どぬくさんに、会いに行けないじゃないか
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医者は深々と頭を下げた
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入院してそうそう たっつんとゆあんくんがやってきた
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ふたりは紙とペンを持って 俺とコミュニケーションをしていた
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ya
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すぐ喧嘩するんだから…
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2人には、伝えておいた方がいい
絶対
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ゆあんくんの文字を書くスピードは早かった 殴り書きで、手が震えてて
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俺は開いた口が塞がらなかった
普通こういうのは オッケーを出すものだと思っていたから
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ya
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ya
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秋の夕暮れ時 空を見る君は
耳の聞こえない少年が想いを馳せる
大切な存在だ
第2章 fin
コメント
10件
初コメ失礼しますっ!めっちゃ感動しました…😭すごい儚い書き方で、めっちゃ好きです!続き楽しみにしてます😊
たつゆあのほっこりだったり いじめの残酷さだったり 感情が忙しいけど 耳の聞こえないっていう世界がどれだけ切ないか…っていうのを表現できてるのすごいですね✨ 次、待ってます!!
いじめは本当にやってはいけないこと、耳が聞こえない人がどれだけ苦労しているのかとても分かりやすく表現されていて感動しました🥹💗続き、待っています❗。