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あぁ、俺はもう、 君とは一緒に居られない。

それでも最後まで、君の前ではかっこいいままの自分でいたいから。 絶対に泣いてはあげない。 元から泣けない体質ではあったけれど、どうか、この目から涙が溢れ出す時は、君だけには見られたくはないな。

蘇枋

あ、そうそう桜君、
大事な話があるんだけど。

蘇枋と付き合ってから暫く経った頃、 放課後の学校帰り。 隣に凛とした顔で歩いている恋人と2人きりで帰路を歩いた。 目の前で赤く染っている大きな夕日は、蘇枋と付き合って間もない頃のあの時に見たものと重なって見えた。 自分たちの足から伸びる陽炎は 見ているだけで仲良さげだ。

そういえば、あの時蘇枋も、この時、この場所で大事な話を、蘇枋自身の話をしてくれたな。と、懐かしくなって目を細める。 付き合ってからこんなにも時間が経っているのに、桜は未だ蘇枋の涙1つみられていなかった。

どうかしたのか?

蘇枋

あのね、俺たち、

蘇枋

別れよう__

世間話でもする様に、 蘇枋はなんでもない顔でそういった。 その顔はニッコリと胡散臭い笑顔を貼り付けて笑っている。 目の前の男は正気なのだろうか。 真相を確かめようと、片方の赤い目を覗き込もうとするが、蘇枋は顔をふいっと桜から逸らしてしまった。

正気か?

蘇枋

俺の頭がおかしい様に見える?

蘇枋は桜が語りかける間ずっと俯いて、自分たちの足元に伸びる陽炎をじっと見つめていた。

ならせめて俺と目ぇ合わせろ。

桜も、蘇枋に負けじと平静を装った。頭の中はずっと混乱していると言うのに。 信じられなかったのだ。あの男が、蘇枋隼飛が、なんの理由もなく別れたいと言うなど。おかしいと思ったのだ。桜に愛情を溢れ出す程に注いだこの男が、 桜を簡単に切り捨てるなど、信じたくなかったのだ。 藁にも縋る思いで、桜は蘇枋の反応を待った。

蘇枋

嫌になったんだ。恋人ごっこが。

蘇枋

もう疲れたんだよ。誰かと一緒にいるのがさ。

淡々と蘇枋が告げる。 疲れた?恋人ごっこ? この男は一体何を言っているんだ。 恋人同士になったのは、紛れもない、この男のせいなのだぞ? 此奴が、諦めず桜にアタックしたせいなのだ。 それなのになんだ?この言い方は。 別れたいと言われたショックよりも、 怒りの方が勝ってしまい、 桜は蘇枋の胸元を掴み引き寄せた。

至近距離に蘇枋の顔が桜の視界いっぱいに映り込む。 桜は思いっきり蘇枋を睨みつけた。 それに動じることなく、蘇枋は目をほめ こちらを鋭く見つめた。

蘇枋

なに?桜君。

嘘だろ。

蘇枋

君がそう信じたいだけだろ?

確かにそう信じたい気持ちもある。 だが、桜の直感が、 ここで蘇枋を逃がすなと。 これは嘘だと。 2人で積み重ねてきた思い出が、 そう訴えかけていた。

じゃあ、疲れたってどういう事だよ。

蘇枋

そのままだよ。

蘇枋

誰かと一緒にいると疲れる時ってない?たしかに楽しいけれど、時々嫌になるって言うかさ。

今までずっと1人で居た桜は、確かにずっと人といると疲れてしまうし、 偶に一人の時間が欲しくなる。 でもそれは、慣れていないから疲れてしまうのだ。 あの場所が、たくさんの人に囲まれるあそこが、何より心地いい。 何より、いちばん安心する場所は、蘇枋の隣なのだ。

蘇枋

飽き性?みたいな感じなのかな。
だから飼っていた猫が死んじゃった時も泣けなかったのかもね。

もうその時には、飽きてしまっていたのかも。そうニッコリと笑ってみせる蘇枋の表情は、嘘ひとつありません。とでも言っている様だった。 この男の洗礼された表情を見抜くのは、桜では難しい。 きっと蘇枋と近しい人間もそうだろう。それでもこれは嘘だって、何故かそう思える。 桜は蘇枋を挑発する様に笑ってやった。

はっ、そうかよ。

言いたいことはそれだけか?

蘇枋

そうだね、俺から言うことはもう何も無いよ。

だから別れよう。 その言葉を、蘇枋が全て言い終える前に、桜が声を出し遮った。

ぜってぇやだ。

蘇枋

はぁ、君は何も分かってないな。

蘇枋が深くため息を着いた。 服が伸びるから離せと言わんばかりに桜の腕を振り払う。

分かってないのはお前だろ。

蘇枋

どういう事?

俺がどれだけお前が好きなのか。 お前がどれだけ俺のことが好きなのか。 自惚れている。そう言われるかもしれない。 それでも桜はそう思えるほど、蘇枋にたくさんの愛情を貰ったのだ。 口に出すのは恥ずかしくて、さっきまでの威勢はどこへやら。頬が少し赤く染まってしまっているけれど。

蘇枋

……。

蘇枋

もう君のことなんてなんとも思ってないよ。

蘇枋

ほんとうに。

早くこの場から立ち去ろうと、蘇枋は歩みを進める。 どこか早歩きで、 一分一秒でも桜と離れたい。そういう雰囲気だった。

にげるのかよ。

俺、まだお前のこと泣かせてねぇんだけど。

桜に後ろ姿を向けた蘇枋は、振り向くことなく、 歩みを進める。

蘇枋

それは君の都合だろう。

蘇枋

俺は逃げたとか思われてもいいよ。

どこいくんだよ。

蘇枋

かえるんだよ。

そのためにここにいるんでしょ? 蘇枋の言葉はどこまでも桜を切り離そうとしてくる。 この間まで、2人で手を繋いで歩いていたのに。ドタキャンされた時だって、2人でどこかへ行こうと約束したのに。それだって、まだ叶っていない。

蘇枋の砂糖を甘く煮詰めた様なドロドロの甘い笑顔は、今桜に向けられていない。赤い瞳は、今何を見て、何を思っているのだろうか。

どんどん桜から遠ざかって行く背中は、 どこか寂しげにみえた。

〜日目、 失敗?

星降る涙を掬いたい。

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コメント

5

ユーザー

この話の、最終回って出ますか?もし出るなら楽しみに待ってます

ユーザー

今回も素敵なお話ありがとうございます✨ わ、不穏な雰囲気loveです🫶 終始ドキドキしっぱなしでした😳 お久しぶりです。 最近ずっと忙しくて中々お話読めておりませんでした😢 どっかの誰かさん。のお話、とっても癒しとなっております🥰 こんな不穏な中もうすぐ終わってしまうなんてドキドキします。 最終話の更新、気長にお待ちしております🍀ˎˊ˗ これからも頑張ってください💕

ユーザー

多分このお話、もうちょっとで完結になります!最後まで書き切りますので、その時をお楽しみにお待ちくださいませ🙇🏻‍♀️‪‪ なぜ蘇枋くんは、急に別れを切り出したんでしようね。

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