原田に呼ばれ、台所へ来た千尋。
原田右之助
手伝ってくれねぇか?
口ではそういうものの、料理を教えてあげようと
風間千尋
満面の笑みで答える。
そして、少しすると、千尋が包丁で指を切ってしまう。
風間千尋
原田右之助
風間千尋
舐めておけば治りますから。
原田右之助
風間千尋
原田右之助
手で傷口を抑えている千尋の手を優しく退け
風間千尋
原田右之助
原田は千尋の傷口を見て何か思ったのか驚いた顔をしている。
千尋は気まずそうに目を逸らす
風間千尋
いたたまれなくなったのか千尋は台所から走り去って行く
原田右之助
原田は千尋を追いかけるが、途中で見失う。
千尋は自分の部屋へ逃げ、縮こまる
風間千尋
違うの…
血相をかき、震えながら耳を両手で抑えている。
風間千尋
夜
真選組の幹部達は天皇の屋敷に来ていた。
沖田総(はじめ)
斎藤肇(はじめ)
仕事をいただけたのだ、ありがたく思え。
原田右之助
原田は夕方の事を思い出し、黙り込んでいた。
藤堂平次
永倉新一
原田右之助
小さく口角を上げ。
藤堂平次
永倉新一
原田右之助
ん?
前から見慣れた顔が歩いてくる。
永倉新一
鈴鹿千秋
天皇様からのお達しかしら?
土方影歳
斎藤肇(はじめ)
鈴鹿千秋
天霧花菊
永倉新一
元気なさそうでよぉ
鈴鹿千秋
藤堂平次
鈴鹿千秋
千秋が軽く睨む
沖田総(はじめ)
あ、もしかしたら僕のせいかも
沖田はケラケラ笑う
原田右之助
鈴鹿千秋
様子がおかしい原田に気付いたのか尋ね
原田右之助
天霧花菊
鈴鹿千秋
千秋は花菊の言葉を遮るように言う
天霧花菊
鈴鹿千秋
真選組の皆さんも
そう言うと原田と千秋は去っていく
鈴鹿千秋
原田右之助
鈴鹿千秋
原田は黙って首を縦に頷く
鈴鹿千秋
原田右之助
鈴鹿千秋
原田右之助
鈴鹿千秋
原田右之助
鈴鹿千秋
原田右之助
千尋は隠してたんだぜ?
鈴鹿千秋
原田右之助
鈴鹿千秋
潮時だし…
鈴鹿千秋
原田右之助
鈴鹿千秋
原田右之助
鈴鹿千秋
真選組の幹部、そして千秋と花菊が屯所へと戻ってくる。
風間千尋
え?千秋ちゃん?それに花菊さんまで
千尋が出迎えると千秋と花菊がいるのに驚いた
鈴鹿千秋
今から話さないといけない大事な話があるの。
風間千尋
鈴鹿千秋
土方影歳
鈴鹿千秋
今からする話は今後の貴方達にも関係してくる話ですから。
藤堂平次
天霧花菊
永倉新一
藤堂平次
近藤生士
『は、はぁ〜い…』
伊庭三郎
伊庭の言葉に千秋は頷く。
鈴鹿千秋
土方影歳
近藤生士
鈴鹿千秋
永倉新一
天霧花菊
かくいう私(わたくし)と姫様も"鬼"なのです。
風間千尋
鈴鹿千秋
戦国、いや平安…もっと前でしょうか。
天霧花菊
天霧花菊
鈴鹿千秋
花菊は"天霧千里"の姉、そして私は"不知火翔"の妹です。
沖田総(はじめ)
原田右之助
斎藤肇(はじめ)
土方影歳
……話を続けろ。
千秋と花菊が頷く
鈴鹿千秋
天霧花菊
鈴鹿千秋
東国では"雪村"、そして西で最も大きな鬼の家は………"風間"…
風間千尋
藤堂平次
風間千尋
千尋は手をぎゅっと握り締める。
伊庭三郎
千尋の隣で伊庭が心配そうに千尋を見つめている。
鈴鹿千秋
風間千尋
鈴鹿千秋
風間千尋
鈴鹿千秋
千尋へと近寄り、千尋の手に己の手を優しく乗せ、言う。
その後、新撰組のみんなに向き直り話を続ける
鈴鹿千秋
私が何を言いたいか分かりますか?
土方影歳
鈴鹿千秋
純血の鬼の特徴としては名前に"千"の字が入っているという事です。
近藤生士
鈴鹿千秋
天霧花菊
永倉新一
天霧花菊
千尋様、申し訳ありません。
風間千尋
鈴鹿千秋
風間千尋
……千秋ちゃん!まさか!
千秋は千尋の言葉に頷く
風間千尋
鈴鹿千秋
天霧花菊
風間千尋
伊庭三郎
本人が嫌がっているのに無理強いは良くないと思います。
鈴鹿千秋
彼女が隠している秘密を。
伊庭三郎
真剣な顔で千秋に言う
鈴鹿千秋
ごめんなさい、千尋ちゃん。
貴方が嫌がっているのに無理強いしてしまったわ。
でも、もし貴方がこの人達に明かそうと思った時は包み隠さず教えて差し上げて?
天霧花菊
2人は優しく微笑んで千尋に言う。
風間千尋
鈴鹿千秋
千尋に優しい笑みを向け
鈴鹿千秋
千尋ちゃんの事、何卒よろしくお願い致します。
新撰組のみんなに丁寧に頭を下げる。
近藤生士
鈴鹿千秋
後1つだけよろしいかしら
近藤生士
鈴鹿千秋
鈴鹿千秋
永倉新一
藤堂平次
鈴鹿千秋
そんな噂聞いた事も無いわよ!
原田右之助
こいつらが勝手に憶測で言ってただけなんだ。
鈴鹿千秋
天霧花菊
鈴鹿千秋
夜分遅くに失礼致しました。
ではまた明日。
微笑むと霧のように姿を消し
斎藤肇(はじめ)
藤堂平次
土方影歳
藤堂平次
天皇様の屋敷に行く時、毎回あいつら居るしさ?
原田右之助
原田が、ははっと笑う
伊庭三郎
千尋にやっと聞こえる程の音量で尋ねる
風間千尋
伊庭三郎
伊庭は千尋の顔にかいている大粒の汗を自身の着物の袖で拭く。
伊庭三郎
風間千尋
伊庭三郎
優しく微笑む
伊庭三郎
土方影歳
……風間、無理はするな。
頼ればいい。
土方の言葉の後、幹部隊士たちも同じ気持ちだと言うかのように口角をあげている。
風間千尋
千尋はそれを見て小さく微笑む