病院の帰り道。春に差し掛かる冬の太陽は夏よりも気が悪い。
こんな所で止まっていたらだめ。その気持ちが僕を動かしていた。
最寄りの駅では降りなかった。
僕は躊躇いもなく大きな一戸建ての前で足を止めた。
ヒロくんの家。
2年の頃。いじめの対象だった僕は生徒会に推薦された。だから、ヒロくんの家はたまたま資料を通して知っていた。
大きな家。立派に立っているドアの前で 手を伸ばした。
ぴーんぽーん
その音が大きなドアの小さな空間で鳴り響いた。
灰川 洋
インターンホンからの声に耳を傾け、直ぐにヒロくんだと気がついた。
蒼田 直輝
蒼田 直輝
灰川 洋
灰川 洋
もう少し拒絶する物だと思っていたが、意外とあっさりと了承してくれた。
灰川 洋
蒼田 直輝
ドアを押して出てきたのはヒロくん。その顔を見て2度目の挨拶を入れた。
灰川 洋
そう言ってヒロくんは僕を家へと手招いた。
家の中は広々としていて僕の家とは全くと言っていいほど違った。
両親から受け継いだあの家。一戸建てだが少し小さい。
灰川 洋
その言葉に甘えて目の前にあった足の長い椅子に腰掛けた。
灰川 洋
蒼田 直輝
目の前に座ったヒロくんの言葉で思い出した。
蒼田 直輝
蒼田 直輝
真剣な眼差しを向けて口を開いた。
灰川 洋
灰川 洋
当たり前だ。この前と全く同じことを言っても結果は変わらない。どんなに足掻いても意見が変わることも無し。
蒼田 直輝
灰川 洋
蒼田 直輝
蒼田 直輝
灰川 洋
灰川 洋
灰川 洋
ヒロくんが家から出てきた時から目が潤んでいた。
耐えきれなくなったのかそんなヒロくんの目からは溢れて止まない大津の涙が溢れていた。
蒼田 直輝
トーンを下げて幼稚をあやすように言い放った。
その言葉にヒロくんは相槌を打った。
蒼田 直輝
言おうか迷った。だけどこれもゆあんくんと約束したから。
大きく息を吸って口を開けた
蒼田 直輝
蒼田 直輝
灰川 洋
ヒロくんはバッ!っと顔を上げて目を曇らせた
蒼田 直輝
灰川 洋
顔を俯き、震えるヒロくんを前に更に口を開いた
蒼田 直輝
蒼田 直輝
自分でもこの言葉だけは言いたくなかった。
そんな自分が怖くて、ゆあんくんが居なくなる恐怖心も勿論あって。
その瞬間、僕を保っていた鎖が解けて涙が溢れだした、
蒼田 直輝
蒼田 直輝
肩を揺らして言った。
その間もヒロくんは無言で涙を流していた。
♡110 NEXT……
コメント
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文書力スゴすぎないか!? どういう感じなのか想像がつきやすい!!