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いわふか
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side.💛
手当てを終え、席に戻る。
最初に思ったことはただ1つだった。
岩本.
そう真面目に呟く。
真面目なつもりなのに、バーテンダーさんの様子がおかしい。
深澤.
深澤.
俺が視線を向けた先のバーテンダーさんは、今までに見たことないくらい笑って、笑顔だった。
岩本.
そんな顔、するんだ。
いつも1つの芸術作品のように美しかった横顔が、笑うことによって崩され、可愛らしくなっている。
…すごく、愛おしい。
元から彼に惹かれていた俺は、たった今、彼に堕ちた。
深澤.
深澤.
深澤.
岩本.
あの笑顔を俺だけのものにしたい。
独占欲が先走りする。
深澤.
彼の手が肩に触れる。
岩本.
岩本.
岩本.
深澤.
…言えるわけないよ。笑
貴方のその笑顔を、
貴方のその包み込むような優しさを。
愛したい、なんて。
岩本.
深澤.
深澤.
岩本.
また巻き起こった沈黙。
突然と口を開いたのは、バーテンダーさんだった。
深澤.
いつもより低い声。
いつもと違う一人称。
深澤.
深澤.
深澤.
彼はそう顔を赤らめる。
岩本.
岩本.
深澤.
まだ少し顔が赤く、目線も合わないため、そうとう慌てていることが読み取れる。
岩本.
深澤.
岩本.
岩本.
自分でも変な日本語だなと思った。
恥ずかしい。
けれどバーテンダーさんは微笑んだ。
深澤.
岩本.
深澤.
今からでもいいよ、なんて言われないことはわかってた。
けれど、少し言ってくれることを期待していた自分がいて、
“いつか”
という3文字が何気に苦しかった。
岩本.
岩本.
岩本.
さようならと言いかけたその時だった。
深澤.
今までで一番鋭い、彼の声。
深澤.
思わず驚く。
バーテンダーが客の名前を覚えるだなんて、普通ならありえない。
岩本.
岩本.
岩本.
深澤.
岩本.
岩本.
彼の名を知れたことにより、俺の感情は高ぶっていた。
深澤.
深澤.
なぜ逃げようとしてしまったのだろう。
この幸せな時間を終わらせたくない。
深澤.
深澤.
そう呟く彼の目は今度こそ、暖かくて、火が灯っていた。
コメント
1件
「独占欲が先走りする」って一文にぐっときました……! それまで美しい芸術作品と見ていた人に向ける視線が、笑顔で崩れて可愛らしくなった瞬間に恋に堕ちる岩本さんの心理、すごく繊細で好きです。お互いの素の名前を知るラストの温かさもよかった。終わらせたくない、って気持ち、わかります。