「それでな!あいつあの後1人で 保健室行ったんやで?」
じゃぱぱ
「そうそう!それでさ〜…」
じゃぱぱ
申し訳ないが体育で クラスメイトが捻挫したという話 を俺は全く聞いていない。
俺の視線の端にいるゆあんくん。
誰に話しかけるでもなく 1人で本を読む彼。
俺はゆあんくんに 話しかけなければいけない。 謝るために。
わかっていた。
でもなんて声をかけたらいいのか。
俺はさっぱりわからず 前までできていたことが 急にできなくなるという事の 焦りと惨めさで意識が上の空だった。
そのまま休み時間終わった。
じゃぱぱ
ゆあん
じゃぱぱ
結局俺が彼に話しかけられたのは 今日の昼飯休憩の時だった。
1人で教室を出て行く ゆあんくんを見て走って追いかけ ゆあんくん引き留めた。
何とか飯には誘うことができたが 俺の拳は汗を握り喉は張り付いて 目線は泳ぎっぱなしであった。
今までこんなに緊張したことが あるだろうか。
なんだか…変な感覚だ。
ゆあん
いつも俺たちは誰もいない空間で 2人だけで昼飯を食べていた。
この学校の屋上は解放していないので ドラマとかでよく見る 青春的な感じにはどうもならないが 俺たちは階段を登って 屋上の扉の前に座る。
そこにある少しばかりのスペースで 俺たちは座り込み2人で昼食を取る。
人は来ない。静かで。 夏は暑いし冬は寒いこんな場所だけど。 俺たちは必ずここに来た。
じゃぱぱ
ゆあん
独特の空気が流れる中 ゆあんくんはコンビニで買った ななちきを1口食べた。
俺もそれに続き 自分の昼食に手をつける。
ここでご飯を食べるようになったのは 何故だったか。
あぁ…そうだ ゆあんくんが人混みが嫌い だと言ったから。
ゆあんくんはいつも人が沢山いる場所はかなり避けていた。 よく考えてみたら俺の他に仲の良い友達がいるようにも見えない。
じゃぱぱ
ゆあん
意識が遠くにいっていた俺を慌てて ゆあんくんの方を見た。
小さな窓から光が差し込んでいて その光はゆあんくんを控えめに 申し訳なさそうに照らした。
悲しげで寂しげなゆあんくんを見て 俺は泣きたくなる。
ゆあん
ゆあん
ゆあん
じゃぱぱ
じゃぱぱ
ゆあんくんの顔はより一層 悲しげに歪んだ。
なんでそんなに悲しいの。
何がそんなに、
なんで、
ゆあん
ゆあん
なんで怒ってるの。
どうして?
ゆあんくんに優しくしたらいけないの? かまっちゃだめ? もしかして…迷惑だった?
わからない。
わからない。 何もわからなくて色んなこと ぐるぐる考えてそれが辛くて どんどんと心臓はうるさくなっていく。
どこかに行ってしまいそうな ゆあんくんの手をつかむ資格が きっと今の俺にはないんだ。
ゆあん
ゆあん
消え入りそうなゆあんくんの声が 俺の喉を握り潰す。
何も言えない。 なんて言えばいいかわからない。
ゆあん
「お願いだから1人で行って。」
なんて小さく呟いたゆあんくん。
一筋の光に照らされてキラキラと 空間を舞う埃が少し動いた。
空気が震えた。
ゆあんくんの顔を覗く前に ゆあんくんは立ち上がり走って 階段を降りて行った。
床から階段まで。 ポタポタとゆあんくんが走った場所を 謎るように水が垂れていた。
それが汗だったのか。
涙だったのか。
俺にはわからないままだ。
俺はゆあんくんを何も知らない。
じゃぱぱ
じゃぱぱ
コメント
3件
もう大好きです
心臓がきゅ、となりました🥹
うわ....!!! 素敵な作品、またまたありがとうございます😭 【友達】って言う言葉がキーワードなのかな...と考察します✨️✨️ そして最後は涙で、友達じゃなくて恋人になりたいのかな...?と思います...! 考えるのが難しいです...!!でも楽しい。ありがとうございます😭 次の作品も楽しみに待ってます🥳💗頑張ってください💪🔥