次の日の朝。
教室に入ると、緑はもう席に着いていて、窓の外をぼんやりと眺めていた。
私に気づくと、にこっと笑って手を振ってくる。
その何気ない仕草だけで、心臓が一瞬、強く跳ねた。
_あぁ、やっぱり。
私、緑のことが好きだ。
ようやく自分の中で、それをはっきり言葉にできた気がした。
思えば長かった。
感情を分析して、理屈で否定して、それでも拭えなかったこの気持ち。
緑 。
緑 。
橙 。
橙 。
緑 。
緑 。
ふとした一言に、ドキリとする。
橙 。
緑 。
橙 。
冗談まじりのつもりだった。
だけど、自分でも思ったよりずっと本気の声が出てしまって、慌てて誤魔化す。
緑は笑って、「ごめんごめん」と頭をかいた。
その無防備な姿に、また心が揺れる。
"好き"を自覚した日から、世界が少しずつ色づき始めた。
同じ言葉でも、表情でも、全部が意味を持つようになった。
たとえば、彼の笑顔。
たとえば、名前を呼ばれる瞬間。
それらすべてが、もう他の誰でもない、"緑"という人だからこそ、特別に感じる。
だけど__
好きと認めたからって、関係が変わるわけじゃない。
この気持ちを抱えたまま、私はこれからも"友達"として、彼の隣にいなきゃいけない。
橙 。
溜め息がひとつ、机に落ちた。
今日から私は、"片想いの自覚者"です。
コメント
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ついに橙彡が「好き」を認めた!! 長かったけど緑彡を落とせるように頑張れ!!!