男性が店内をキョロキョロと見渡している。その顔に俺は見覚えがあった。
???
よっ!
ロバート
すまんすまん、俺から誘ったのに遅れちまったわ!
クレイグ
まぁ、そんなに時間は経ってないし、俺も来たばかりだから平気だぞ
ロバート
そうか、それなら良かった
ロバート
んで、本題だが
ロバート
お前に頼みたい事があるんだ
クレイグ
頼みたいこと?
ロバート
あぁ、近くで見てきたお前がよく知ってると思うが、俺って変な案件に引っかかりやすいだろ?
クレイグ
それはそうだな、キモイほど変な案件に引っかかる
ロバート
キモイって言い過ぎだろ……
ロバート
でも、ま、まぁ、そうだろ?
だから今回受けた依頼をお前にも見てもらいたいんだよ!
クレイグ
ふむ、そういう事か
ロバート
んで今回の資料がこれだ
そう言ってロバートは俺に膨大な資料を見せてくれた。
《重要参考人》
《事件詳細》
《目撃情報》
その他諸々の情報の資料がある
クレイグ
これ……
今巷で騒いでる事件……か?
ロバート
その通り、あちらこちらで話題になっている例の事件だ
ロバート
報道では『〇〇県の住民が相次いで行方不明となっている』だが、実際は違うらしい
ロバート
だから俺に依頼が回ってきたんだろうな
クレイグ
すまんけど、俺は興味無さ過ぎて詳細知らないわ
ロバート
マジで言ってんの!?
ロバート
お前ライターだろ?メシウマ案件じゃないんか?
クレイグ
いや、俺こういうの好きじゃないんだよね
クレイグ
仕事には繋がるけど、好きじゃないものを書くのって案外苦痛なんよ
クレイグ
仕事くらいは選びたいじゃん?悪い記事は書きたくないから書かない。それが俺の理念ってやつ
ロバート
まーた意地張って……
クレイグ
違う、嫌いなもんは嫌いなんだよ
ロバート
知ってるよ
クレイグ
じゃあなんで聞いた……
ロバート
あはは!すまんすまん!
クレイグ
声うるさいぞ……
ロバート
ゴホン……すまんすまん
ロバート
んで、この案件どう思う?
クレイグ
どう思うって言われてもなぁ……
俺この事件全く知らないんだよ
クレイグ
でもいつもよりはまともだし、お前が興味あるなら引き続き調査しても良いんじゃないか?
ロバート
そうか……
ロバート
じゃあ正式に引き受ける事にするよ
ロバート
……でだな
クレイグ
なんだ?
ロバート
手伝ってくれないか?
クレイグ
……は?
ロバート
だから、この案件手伝ってほしいですって事!
クレイグ
いやそれは分かってるけど、普通俺に頼むか!?
クレイグ
俺刑事でも探偵でもないド素人だぞ?
ロバート
知ってる知ってる
ロバート
でも頼むよぉ〜こんなに頭下げれるのお前しかいないんだ……
ロバート
成功報酬は山分けだ!それでもダメか?
クレイグ
言い出したらキリがない
クレイグ
分かった、乗り気じゃないが少しばかり手伝ってやる
クレイグ
だが俺が飽きたらその時点で打ち切りだ、いいな?
ロバート
了解、頑張って気乗りさせるよ!
クレイグ
違う……そうじゃない……
ロバートは「え?」と言いたげな顔をして此方を見つめている。
クレイグ
まぁそういう事だから、手始めに俺は何をしたらいいんだ?
ロバート
そうだな、この資料一通り目を通してくれ。話はそれからだな!
クレイグ
うし、了解した
クレイグ
了解したが……このとんでもない量を今此処で読み込むのは難しいぞ?
ロバート
そういうと思ったので、御手元の資料は全てコピー品です。本物は流石に持って来れないので、事務所に保管してあります!
ロバート
個人情報とか色々乗ってる重要書類をコピーするのは余り気が乗りませんが、こればかりは致し方ないと思います……
クレイグ
本当にそんな管理で良いのか……
ロバート
多分大丈夫!だからそれは持って帰って家で読んで!
クレイグ
多分って……
クレイグ
まぁ、家でじっくり読ませてもらうよ
ロバート
そういう事で今日はこの為に呼びました
ロバート
忙しいのにごめんね
クレイグ
ん、あぁ、気にすんな
クレイグ
んじゃ少し飲んでから帰ろう
ロバート
そうだな