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ドゴーン!!

苗穂 すうあ

きゃああああああ!!!

るいのがこの世界で起こったことを話そうとした時、大きな物音と悲鳴が聞こえた

吟羽 舞夢

何?!

六月 真奈

ねぇ、あれ…!

真奈は上を指差す

白町 凪紗

上がどうし──

その場の全員、上を向いて固まる

何故なら、見上げた先には青空が広がっていたから

優來 はる

……は?

るいのの家は、上半分が吹き飛んで屋根が無くなっていた

ぐおおおおお!!

無くなった屋根に気を取られていると、雄叫びが聞こえる

吟羽 舞夢

もしかして影?

舞夢達が雄叫びの方を向くと、予想通り影が見えた

影はこちらに向かって腕を伸ばしており、手からは煙のようなものが少し出ていた

白町 凪紗

魔法を使って吹き飛ばしたのかもね

吟羽 舞夢

まあ、だろうね

風音 るいの

あの化け物、こんなところにまで来るとは…

るいのは少しため息を付きながら部屋の隅へ向かい、弓矢を取り出す

そして、すうあも弓矢を手に取り、影に向かって矢を射ち始めた

吟羽 舞夢

私達も応戦しよう

白町 凪紗

もちろん!

舞夢達も影の元へ向かう

吟羽 舞夢

【スィリカー】!

白町 凪紗

【ヴォルミア】!

ぐあああああ!!

舞夢と凪紗がそれぞれ風で切り裂く魔法と火炎魔法を放つと、影は衝撃波のようなものを放つ

白町 凪紗

ぐっ……

吟羽 舞夢

うわっ…!

影の近くにいた2人は吹き飛ばされる

優來 はる

凪紗!

六月 真奈

舞夢ちゃん!

パシュッパシュッ

風音 るいの

くそ…当たらない……

るいのとすうあは弓矢を射っているが、それは当たらなかったり、当たっても掠る程度だったりしていた

優來 はる

俺達も行くぞ

六月 真奈

うん!

優來 はる

【ゼクロスへリム】

はるは雷を誘発させる魔法

六月 真奈

【ヴォスティンバ】!

真奈は水を勢いよく放射する魔法を唱えた

……!

防ぐつもりなのか、影の目の前にはシールド魔法が形成される

白町 凪紗

【スォーム】

その背後から凪紗は投石魔法を唱える

投石魔法によって形成された石はクナイのような形になり、勢いよく影の背後に迫る

……

そして、それぞれの魔法が影に直撃した瞬間

ドゴーン!!!!

六月 真奈

きゃっ!

白町 凪紗

何っ?!

爆音と地響きが鳴り、舞夢達は全員数メートルほど飛ばされた

吟羽 舞夢

何が…

舞夢達は起き上がり、辺りを見渡すと

吟羽 舞夢

──!!!

風音 るいの

苗穂 すうあ

ぐ…ぅ……

るいのの額にはクナイのような形をした石が刺さっており、すうあは舞夢達同様衝撃により吹き飛ばされ、怪我を負っていた

ただ、魔力を持たず魔力による攻撃に耐性が無いためか、舞夢よりも酷い怪我を負っていた

吟羽 舞夢

すうあ!!!

舞夢と真奈がすうあに駆け寄り、それぞれ回復を試みる

優來 はる

【ヴィンボゥ】

白町 凪紗

【ゼクロスへリム】!

舞夢達がすうあを回復している隙にはると凪紗が影に魔法を放つ

はるの放った爆発魔法と凪紗が放った誘雷魔法は影の近くで大きな爆発を起こし、ようやく影の動きが鈍くなる

ぐ……が……

優來 はる

……

白町 凪紗

……

はるは鎖を影に鞭打つように叩きつけ、凪紗は大鎌を振り下ろした

そして、影は消滅する

白町 凪紗

舞夢!真奈!

優來 はる

そっちはどうだ?

2人が駆け付けると、舞夢達は青ざめた顔をしていた

六月 真奈

……だめ…

吟羽 舞夢

魔力が…入らない……

それはつまり、回復が意味を成さない状況──死を意味していた

白町 凪紗

……!

優來 はる

頼りになりそうな人が亡くなってしまったか…

六月 真奈

どうしよう…

六月 真奈

この世界のこと、誰に聞けば…

吟羽 舞夢

……

白町 凪紗

とりあえず、死体をこのままにする訳にも…

舞夢達は、るいのとすうあの死体を埋め、悠穂と風亜のいた山に戻ることにした

これからどうしようと考え、とぼとぼと歩いていると小さな石像の前にしゃがみこむ人影があった

石像とは言っても、立方体の石がいくつか縦に積み上げられているもので、何かを意味してはいるのだろうが、文字もなければ何かが描かれているわけでもなく、何を意味しているのかはわからなかった

六月 真奈

あれ?なんか人がしゃがみこんでる!

白町 凪紗

具合でも悪いのかな?

人影に近付いてみると、その人はただしゃがみこんでいるのではなく、何かを食べているようだった

吟羽 舞夢

何か…食べてる?

優來 はる

よく見ると、赤いもので汚れてないか?

六月 真奈

スイカ…とかかな?

さらに近づくと、人影が食べていたものは人間の手足や臓器であるのが見えた

六月 真奈

ひっ!

吟羽 舞夢

あれって…

白町 凪紗

人の…手足…

六月 真奈

うっ…

真奈は気持ち悪さのあまりしゃがみこんでしまう

吟羽 舞夢

真奈…!

4人がただ呆然と立ち尽くしていると、人影は舞夢達に気が付いたようだった

食べるのをやめ、ハンカチで口元と手を拭き、立ち上がって舞夢達の方を向いて言った

由叶

やあやあ、ようやく会えたね

由叶

異世界を旅する者達よ

白町 凪紗

誰……?

凪紗が呟くと相手は胸に手を当てながら言う

由叶

私は、この世界の神である“ルン・リドール”様の神聖な眷属である、“由叶”だ

優來 はる

リドール…教……?

はるは目を見開きながら呟き、直後跪いた

由叶 ユト

《神の眷属》 はるが信仰しているリドール教の神である“ルン・リドール”の眷属。 神は神の世界から出ることはできず、眷属である由叶が各世界に赴いて宗教を広めたり、お供え物を食べて力を付けている。

六月 真奈

は、はるくん…?!

真奈は突然跪いたはるに驚きながら声をかける

由叶

ふふ、熱心な信徒だ

由叶

きっといい事が待っているよ

由叶ははるの頭を撫でる

優來 はる

お褒めに預かり、光栄です

何故はるがこのような態度を取るのか

それは、はるの信仰する宗教こそが、ルン・リドールを崇めるリドール教だからだ

由叶

それはそうと、君達

由叶

この世界の情報を聞きそびれたんだろう?

由叶

もし良ければ、この私が特別に教えてあげようか?

吟羽 舞夢

それより──

それよりも、さっき食べていたものはなんなのか?

舞夢が聞こうとするよりも早く、はるが口を開いた

優來 はる

由叶様にご継受頂くなんて、滅相もございません

白町 凪紗

……

普段と様子の違うはるの言動に、3人とも困惑を隠しきれなかった

由叶

ふふ、謙虚でいい子だ

由叶

でも遠慮しなくていいんだよ

由叶

少なくとも君達3人は聞きたいでしょ?

由叶は舞夢達3人の顔をじっくりと見た

吟羽 舞夢

……!

白町 凪紗

……

六月 真奈

っ…

少しの間沈黙が流れ、舞夢がコクリと頷くと、由叶はフっと息を漏らして近くの空き地を指さした

由叶

それじゃあ、そこに座ってよ

由叶

立ったままだと辛いだろうしさ

六月 真奈

え?

六月 真奈

地面…に?

ベンチがある訳でもない空き地を指さしたことに大して困惑を抱く真奈達

由叶

ああ、失礼失礼

由叶

“まだ”何も準備していなかったね

勿体ぶるように言うと、由叶は指をパチンと鳴らす

すると、何も無かった空き地に木製のテーブルと、5脚の椅子が現れる

由叶

さ、座って

舞夢達は戸惑いながら、由叶に誘導されるまま椅子に座る

由叶

それじゃあ、話そうか

由叶

この世界の歴史を──

この世界も昔は他の世界同様魔法が使えたんだ

だけど、それによって魔法戦争が起きた

それに大変遺憾した巫女が魔力を封じた

その巫女は月影神社の巫女だったそうな

だから、この世界では、二度と戦争が起こらないように、魔法で世界が壊れないように

人々の魔力を封じている月影神社を守ってきたんだ

ただ、それも何百年も前の話

今の人々はなんで月影神社を守るのかも、魔法の存在も知らないだろうね

六月 真奈

そんなことが…

吟羽 舞夢

だから悠穂も風亜も魔法について知らなかったんだ…

由叶

そしてある日、黒いもやのような影が大量に発生し始めた

由叶

君達もよく知っている“影”だね

由叶

影は不思議な力を使って彼等人類を殺戮していったんだ

由叶

それは他の世界で言うところの魔法

由叶

魔法を知らない使えない人々は武器で対応しようとしたが、無惨に殺されていくばかりなんだよ

六月 真奈

そんな…

吟羽 舞夢

この世界も、救わないと

白町 凪紗

そうだね

舞夢達が決意を固めると、由叶はニヤッと笑みを浮かべながら言った

由叶

きっと、月影神社に封印されていた力が影によって解き放たれて、影がその力を使ってるんだろうね

由叶

気になるなら神社に行ってみなよ

由叶

君達もよく知ってる、あの現象が起こっているよ

由叶はそう言いながらとある方向を指さした

その方角に月影神社があるのだろう

吟羽 舞夢

…よし、行こう

六月 真奈

うん!

白町 凪紗

由叶さん!ありがとうございました!

優來 はる

感謝いたします

由叶

ふふ、これくらい礼にも及ばないよ

由叶

頑張ってきてね

舞夢達は月影神社へ向かう──

由叶

……

由叶

……ふふ

由叶

非常に勇敢だなぁ

由叶

この調子だったら、我が神の願いも…

由叶

ふふっ

異世界旅路〜失われゆく世界を旅する少女〜

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