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『君と僕の忌避進路』

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『君と僕の忌避進路』

45 - 煌めく世界に君と

♥

50

2023年10月02日

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時は流れ、2年生の夏

げっ!

真冬

どうしたの優?

優が掃除の当番表を見て、顔をしかめた

あ〜、なんとなく想像つく…

真冬

え、何々気になる…

僕たち3人の担当場所は『プール』と書いてあった

真冬

え……

僕はスマホを取り出して、今日の気温を調べてみる

今日は29℃と、かなりの真夏日

真冬

(こんなのやばいでしょ…)

当番だからしょうがない、ほら2人とも行くぞー

わぁぁ渉さん引っ張らんで〜!!

真冬

今行く、行くからちょっと待って…

 暑さに弱い僕にとって、このプール掃除は地獄としかいえない

真冬

(生きて帰れるかなぁ……)

プールに行くと、すでに人がいた

真冬

………彼方さん?

彼方

あ、真冬

なんでここに彼方さんが?

彼方

今日は当番だったもので…

そう言ってるが、まわりには彼方さん以外の人は見当たらない

真冬

他の人はどうしました?

彼方

…バックれた

ま、まじですか……

こんな暑い中彼方さんを取り残すなんて、酷い人たちもいたものだ

真冬

とりあえず、僕たちも一緒に協力しますから頑張りましょう!

彼方

ん……

そういうと、制服のブレザーを頭の上でフードのようにして被った

真冬

…何ですか、それ

彼方

日除け、暑いじゃん

真冬

(そっちの方が暑そうなのは、気のせいですかね…)

真冬

とにかく、4人でさっさと終わらせましょう!

数分後……

あ〜あっつい〜!!

あんまり暑い暑い言うな、余計暑く感じるから…

真冬

はぁ…こんなに日差し強いなんて

彼方

……あいつら本当に許さない

少ししか経っていないのに、僕たちは暑さのせいか疲労感でいっぱいだった

真冬

(彼方さんに至っては、バックれた同じ班の人への恨みつらみを呟いてるし…)

なあなあ見て見て!なんか裏にあったやつ持ってきた〜

そう言って優が持ってきたのは、プールや海でよく遊ぶのに使う水鉄砲だった

…それ勝手に持ってきてよかったのか?

わからんけど、多分大丈夫!

どこから水入れれんの〜?

真冬

もー2人とも、早く終わらせて…

バシャっ!

真冬

うあっ!!

水鉄砲から水を打ったのは、優でも渉さんでもなくて…

真冬

何するんですか、彼方さん!?

彼方

楽しくないと、こんな地獄やってられるかよ

そう言って、水鉄砲を漫画の銃のように構えた彼方さん

ブレザーを被ったままだからか、謎にアニメの強キャラ感がすごい……

彼方

ほら、打つから避けてみなよ

ほれほれ、俺もホースで加勢しちゃうよ〜?

真冬

ちょっ、それは僕が不利でしょ!!

真冬

渉さん助けて…!

大丈夫、俺は遠くで見守ってるから

真冬

いやそれは2体1で僕がもっと不利だって…!

真冬

わっ!冷たっ!!

やった当たったぁ〜!

真冬

…………

僕はびしょ濡れになった前髪を少し整えてから、端の方にあったホースを構える

お〜何だ?やる気かまふ!

真冬

そんなに僕のこと見てていいの?味方の彼方さん守れないよ〜?

彼方

…お前、そんな煽りどっから…

バシャっ!

彼方

わっ!

彼方さんの言葉を無視して、僕は思いっきりホースの水をかけた

彼方さん!大丈夫ですか…!?

真冬

ほら、ガラ空きだからそうなって…

彼方

……ふふっ

彼方

あはははっ!

真冬

っ!

彼方さんはずぶ濡れになったまま、その場で思い切り笑った

真冬

(な、なんか…かわいい…!!)

彼方

よくもやったな真冬…

そして彼方さんは、被っていたカーディガンを腰のあたりで結んでシャツの袖を捲った

さっきの笑った顔とは違って、僕と戦う気満々で邪悪な笑みを浮かべていた

彼方

真冬、一騎打ちするぞ

え、俺はどうしたら…

優、お前はこっちで俺と見てろ

は、は〜い……

彼方

もう容赦しないから、覚悟しろよ

真冬

そっちこそ、油断は禁物ですからね?

それから僕らは、まるでアニメの最終話かのような接戦を繰り広げた

真冬

はぁっ…疲れた〜!

僕たちは、濡れた制服や髪を絞って乾かしていた

ちなみに戦いの結果は、彼方さんのとんでもない命中率と冷静さにより、僕の負けとなった

すげぇ接戦だったよ!

本当に、なんかのアニメでも見てる気分だった…w

彼方

どうすんだよこんなに濡れて…

真冬

言っときますけど、先に仕掛けたのは彼方さんですよ?

彼方

こんなに白熱するとは思ってなかったから……

ガチャっ

教師

コラ!お前ら何やってる!?

げっ…!

すると、プールの扉から先生が出てきた

そりゃああんなに派手にやってたらバレるよな…w

真冬

(これは、みんなまとめて説教かな…w)

教師

まったく、掃除の時間だというのに…!!

すんまーせん……w

彼方

……真冬

すると、僕のすぐ隣で説教を受けていた彼方さんが小声で話しかけてきた

彼方

すごい楽しかった

彼方

…ありがと

真冬

っ!!

教師

一ノ瀬!聞いてるのか!

彼方

聞いてます

真冬

っふふ…

彼方さんから出てきた『楽しかった』という言葉は、僕の心に響いた

真冬

(彼方さん、楽しいって思ってくれたんだ…)

真冬

(たまにはこういうのも、悪くないかも)

水浸しの僕たちへ、プールサイド照り返した日の光が日光を当てていた

その光は、水滴と混ざってとてもキラキラしていた

真冬

(僕もかなり楽しかったし)

真冬

(…まあ、いっか)

僕は楽しかった気持ちがいっぱいで、先生の説教はほとんど聞いていなかった

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