コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
スズ
もったいつけてくる彼女。
僕は少しためらったが、ゆっくりとうなずく。
すると彼女はほんの少しだけ、困ったような表情を見せた。
視線を右に逸らし、考え込むように虚空を見つめ--
スズ
そんなことを、言った。
スズ
スズ
ユウヤ
スズ
スズ
ユウヤ
ユウヤ
ユウヤ
スズ
逆光に照らされ、表情はよく見えない。
でもその雰囲気は、冗談を言っているようには思えなくて--
スズ
時間が、止まった気がした。
スズ
ユウヤ
ユウヤ
スズ
スズ
スズ
ユウヤ
ユウヤ
どちらかというと彼女は、真っ白な羽衣を身にまとった天使か……、
あるいは女神と言う方がしっくりくる感じもするけど。
ユウヤ
ユウヤ
スズ
スズ
ユウヤ
ユウヤ
ユウヤ
ユウヤ
ユウヤ
スズ
スズ
爆笑しながら、僕の左胸の辺りをペシペシと叩く立花さん。
スズ
ユウヤ
ひとしきり笑い終えた彼女はそう独りごちながら、目尻を拭っている。
そして数秒かけて呼吸を整える。
スズ
スズ
ユウヤ
彼女はいきなり僕の前から姿を消し、小走りで歩道橋の上を駆け出す。
スズ
あっという間に半分ほど駆け抜けてから、片手をメガホンにして僕に呼びかける。
特に予定もないんだから、急ぐ必要なんてないのに。
だけどそんなところも立花さんらしい。
ユウヤ
前方を見据えると、歩道橋の上から望む街並みが広々と開けていた。
天高く聳え立つ高層ビルたちが、僕たちを歓迎しているみたいだった。
僕は、右足を踏み出す。
彼女に置いていかれないよう、大きく、一歩。
彼女の華奢な肩にかかったハンドバッグが、ゆらゆら揺れていた。
手招きするみたいに、ゆらゆらと。
なぜだか脳裏に、さっきのダイヤル付きのおかしなケースの映像が浮かんだ。
こっちだよ、と。
バッグの隙間から、そう聞こえたような気がした。
--この時、僕はまだ知らなかったのだ
立花さんの秘密も。
僕を待ち受ける運命も。