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サクラ

第3話 - 第3話:塗りつぶされた記憶

2025年07月19日

#ミステリー

#SixTONES

#Snow Man

著者

ラウール

「ねぇ……これ、ほんとに大我なの？」

広間に集まった一同の中心で、ラウールが手にした写真を差し出すと、全員がその一枚に視線を集めた。

京本大我

「……うん、間違いないと思う。左のほうにいるのが、僕だよ」

大我はおっとりとした口調のまま、でもどこか表情がこわばっている。

深澤辰哉

「その隣、たぶん慎太郎……だよね？」

ふっかが指を差すと、慎太郎が少しうなずいた。

森本慎太郎

「たしかに、オレだ。……でもこの写真、記憶にねえな」

田中樹

「それより──この右側。顔が塗りつぶされてるやつ……これ、誰？」

樹が真剣な表情で言った。

京本大我

「…………わかんない」

大我の答えに、沈黙が落ちた。

松村北斗

「ねぇ、大我。この館って……過去に何かあったんじゃないの？」

北斗が低い声で問いかける。

大我は、ゆっくりと視線を下に向けた。

京本大我

「この館で、昔──ひとり、行方不明になった子がいたって……母から、聞いたことある」

渡辺翔太

「は……？」

翔太の顔が青ざめる。

髙地優吾

「いやいやいや、そんな話、今初耳なんだけど？なんでそれ最初に言わないの！？」

髙地がツッコむと、大我は首をすくめた。

京本大我

「だって、ただの昔話だと思ってたし……まさか、こんなことになるなんて」

目黒蓮

「その子……誰なの？」

目黒蓮が静かに問いかける。

京本大我

「名前は……覚えてない。でも、昔、何度か遊んだ気がする」

松村北斗

「うわっ、ホラーじゃん……きょも、天然で済まされないよ……」

北斗が独り言のように呟く。

阿部亮平

「けど、その塗りつぶされてる子が行方不明になったとしたら……」

阿部亮平がそう言いながら、写真を細かく見つめた。

阿部亮平

「──誰かが、わざと塗った可能性がある。存在を消すために」

向井康二

「お、おいおい……じゃあ今の物音、そいつの幽霊だとか言わないよな……？」

康二が顔をひきつらせながらタイ語で何かブツブツ唱えだした。

深澤辰哉

「ていうか、その部屋の鍵、大我は持ってなかったんだよね？」

ふっかが尋ねると、大我はこくんと頷いた。

深澤辰哉

「じゃあさ、それっておかしくない？鍵のかかった部屋から音がするってことは……」

佐久間大介

「中に……生きてる人間がいた？」

佐久間の声に、全員の背筋がゾクリと冷えた。

田中樹

「ちょっと、人数確認しようぜ。オレたち、ちゃんと15人……？」

樹が言うと、皆が顔を見合わせた。

髙地優吾

「……きょも、北斗、樹、慎太郎、ジェシー、ふっか、阿部ちゃん、さっくん、ラウール、康二、しょっぴー、目黒、照、優吾、舘様……15人」

優吾が数え終えた瞬間、ジェシーが口を開いた。

ジェシー

「AHAHA！けどさ、オレ、さっき廊下で“誰かとすれ違った”気がしたんだよね」

田中樹

「……は？」

樹が声を上げる。

ジェシー

「誰にも話しかけられなかったし、服もなんか変だったから、館にいた人かと思ったんだけど……違うのかな？」

阿部亮平

「ねえ、その服って、どんなの？」

阿部ちゃんが問い詰めるように言った。

ジェシー

「黒っぽい……古い制服みたいな。あと、顔は見えなかったな。うつむいてた」

沈黙が落ちる。

ラウール

「ねえ、これってさ……“すでに15人じゃない”ってこと、ないよね……？」

ラウールの一言に、空気が凍った。

渡辺翔太

「それって──“誰かが、ここにいるはずのない人”かもしれないってこと？」

翔太の声が震えていた。

阿部亮平

「でも、それが幽霊だとは限らない」

阿部亮平が冷静に言った。

阿部亮平

「人間だった場合、その人は“ここにいる理由”を持ってる。復讐か、隠された過去か、あるいは──」

松村北斗

「ゲームの始まり、ってやつ？」

北斗が笑いながら言ったが、笑い声はすぐに消えた。

ガタン。

食堂の奥から、またしても物音がした。

岩本照

「……確認しよう」

照が立ち上がる。

阿部亮平

「今度は、みんなで行こう」

阿部亮平の声に、全員がうなずいた。

──閉ざされた記憶の扉が、ゆっくりと開き始めていた。

サクラ

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