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『君と僕の忌避進路』

第53話 - 一ノ瀬の家

2023年10月16日

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縁（エニシ）

彼方

あの人たちは、俺の…

彼方

…俺の、父親の部下だと思う

真冬

部下？

彼方

そう、俺が家になかなか帰らないから、俺のこと追ってるんだと思う

確かに、彼方さんはかなり早いうちから一人暮らしをしているような感じだった

彼方

俺のこと攫おうとしてたのも、多分あいつが『多少強引でいいから戻せ』って命令したんでしょ

真冬

…………

真冬

その、お父さんは何の仕事を…？

彼方

あぁ、会社の1番上…だと思うけど

真冬

へぇ…

真冬

…って、え？

会社でトップに立つ役職といえば『社長』……？

真冬

社長！？

真冬

なんでそんな重要情報サラッと言っちゃうんですか！

彼方

そんなに重要じゃないと思って

彼方

それに父親って言っても、本当のじゃなくて義理の父親だし

本人は慣れているのか、まるで当たり前かのように話している

彼方

……話、続けていい？

真冬

あっ、どうぞ！

彼方

……元々、親の都合で一人暮らしはしてたんだけど

数年前　中学校

同級生

おーい彼方、今日一緒に帰ろうぜ！

彼方

あ、今日はちょっと……

同級生

なんか用事か？じゃあまた明日な！

彼方

うん、また…

中学校のときは、それなりに知り合いも多かった

主に相手からやってくるんだけど、積極性のなかった俺にはぴったりな性格で

よくこうやって、話しかけてくれてはたまに物をくれるときもあった

でも、この日を境にその幸せは消えた

何年も経った今でも覚えてる、進路希望の用紙を提出する少し前のこと

彼方

（……また、ついてきてる）

部下

…………

彼方

（バレてないって思ってるのかな、あんなんで隠れてるつもりだったら笑えるね）

あいつらは、登下校のときや休日によく俺の動向を監視していた

何か逃げ出すようなことをしたときに、いつでも止められるように

そう、上司で社長の俺の父親に頼まれたら引き受けるしかないのだろう

彼方

ただいま……

彼方

……っ

その日は、少し違った

一人暮らしのはずの俺の家に、1人の来客がきていた

部下

彼方さん、お帰りなさい

彼方

…何しに来たの

部下

最近お友達と帰っているのを多く見かけるので、少し部屋の中を見に来たんです

彼方

見に来た…？

部下

はい、それで調べたら案の定…

彼方

っ…それ…！

そう言ってそいつが出したのは、学校の定期テストなどの用紙

部下

社長が『もしかしたら成績に影響するかもしれない』と懸念していまして、そしたら前回より少し下がっていましたよ

彼方

下がった、って…たったの2点とかそのぐらいだって…

部下

とにかく、これからのお友達付き合いには注意してくださいね

いつもなら自分が折れて、頷くその言葉

ただ今日は、その言葉に頷くことは出来なかった

彼方

…なんで、父さんに友達まで制限されないといけないの

部下

お父様は、あなたを心配してのことですよ

彼方

心配なんてしてないでしょ、ただ俺を自分の元から行かせないつもりなだけ

部下

っ…！

部下

とにかく、次また成績が下がっていたら、今度は強行手段に出ますからね…！

そう言って、そいつは部屋を出ていった

そして、俺は同時に決意した

彼方

（…出てってやる）

彼方

（こんな家、こんな環境から逃げてやる…）

俺は、受ける予定だった高校への受験をやめて、遠くにある高校へ進学することを心に決めた

『君と僕の忌避進路』

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そらるさんのお父さん、社長なのか… でもさすがやりすぎ…強引でいいから連れ戻せって…だから攫おうとまで強引にも程がある…… ただ2点…そんなんで成績は下がったなんて言わない！友達は親が選ぶもんじゃない！そらるさん自信が選ぶもの！そらるさんの人生なんだからそらるさんのすきにさせてあげてよ！そらるさんの自由を縛って、奪うな！！続き楽しみに待ってます！