コメント
2件
雑居ビルの中の一室
電子タバコの煙が漂う
ここはしがない金貸し
陰鬱な空気の漂い方から見て
今月の進捗は芳しくないようだ
外回りの人間と連絡を取りながら
所長の素平(もとひら)カグチは
黙々と作業を進めていた。
素平
森沢
素平
森沢
素平
森沢
素平
森沢
森沢
素平
素平
森沢
素平
森沢
素平
そう言って素平は
"ニヤリ"と笑みを浮かべた。
主
さぶろう
主
主
さぶろう
主
主
さぶろう
主
三郎
三郎
辺りを見渡すと
四方を囲むのは
綺麗に紅葉した山々
吹き下ろす風は冷たく
三郎は首をすくめ
足早に病院に入った
病院らしい消毒液の匂いと
白衣のナース
しかし
廊下を歩く人の姿はまばらで
病院内は驚くほど静かだった
三郎
事前情報では303号室に入院しているとのことだった
軽くノックをして
返事があったのを確認してから中に入る
三滝誠
三郎
三滝誠
三郎
三郎
三滝誠
言われるままベッドに近づく
一人部屋の病室は
思いの外広く
置かれているベッドも
クイーンサイズと大きかった
だが
そこに横たわった少女は
あまりにもか細く
幾つもの管が繋がり
実に痛々しい姿をしていた
三郎
三滝誠
三郎
三滝誠
三滝誠
三郎
三滝誠
三滝誠
三郎
三滝誠
三郎
三郎
三滝誠
三郎
三滝誠
三郎
三滝誠
三滝誠
三郎
三郎はニヤッと笑う。
三郎
三郎
そして、
どこか自慢げに言い放った。
銀行のATMから出てきたところで
梶山芳江(かじやま よしえ)は
嫌な男と出くわした
森沢
梶山
そう言って足早にその横を通り過ぎる
その後ろを森沢はついてくる
梶山
森沢
梶山
森沢
森沢
梶山
森沢
梶山
森沢
森沢は大股で歩いて梶山を追い抜かすと
その前に出て立ち止まる。
その横を抜けようとした彼女の腕を掴んだ。
梶山
森沢
梶山
森沢
森沢
森沢
森沢
梶山
梶山
森沢
森沢
森沢は親指と人差し指で0を作り
その穴を通して梶山の困惑した顔を見る
梶山
森沢
梶山
森沢
森沢
森沢
そういうとわざとらしくスマホを取り出して操作するような素振りを見せる。
梶山
森沢
森沢
森沢
森沢
それだけ言うと森沢は
梶山を掴んでいた手を離し
軽い足取りでどこかへ行ってしまった。
梶山
梶山
梶山
安請け合いしてしまったような気がしたが
今さら引き返せない。
そもそも
彼女には
仕事を拒否するという
選択肢そのものが
思考から
呪術によって無くなっているので
仕事を受ける以外の
選択肢など
思い浮かぶはずがないのだ
三郎
三郎
三郎
三郎
三郎
三郎
三郎
三郎
三郎
三郎
三郎
三郎
三郎
三郎
三郎
三郎の目の前には今
三滝夏子がいるはずなのだが
その姿はドロドロとした
真っ黒で巨大なナメクジのようなモノが覆いかぶさっていた。
それが三郎に見える「脳腫瘍」という名の病魔だった。
本来ならば頭に乗っかる程度の大きさなのだが、
病魔の影響が全身に出ているため、これほどまでの大きさに見えるのだろう。
三郎は一つ息を吐いて
ゆっくりと術式を組む。
それは三滝夏子の体から病魔を引き剥がす術式。
そして、剥がした病魔を封印する術式。
どれも三郎が得意とする術式なので
そう時間がかかることはなかった。
梶山
素平
梶山
素平
梶山
素平
梶山
素平
素平
素平
素平
梶山
梶山
梶山
素平
素平
素平
梶山
素平
梶山
梶山
目の前に広がる田園風景。
無人駅を降りて辺りを見渡しても
人の姿は無い。
梶山
梶山
視線を右へ左へ動かすと
色褪せた看板を掲げた
古びた木造の民家を見つけた。
近づくと看板にはかろうじて”住吉酒店”と書いてあるのが見て取れた。
立てつけの悪い引き戸を開けて
中を覗き込むと老婆が一人、
椅子に座ってウトウトしていた。
梶山
老婆
梶山
老婆
老婆
梶山
梶山
老婆
梶山
老婆
梶山
老婆
老婆
老婆
梶山
梶山
老婆
差し出されたのは小さな木箱だった。
手のひらにすっぽりと収まるサイズだ。
その木箱に何やら意味深な札が貼りつけてあった。
文字なのか模様なのかわからないものが書かれていて見るからに怪しげだ。
梶山
老婆
老婆は嬉しそうな笑みを浮かべた。
老婆
老婆
梶山
梶山
老婆
老婆
梶山は無言で首を横に振った。
梶山
梶山
梶山
梶山は老婆に礼を言って来た道を戻った。
三滝誠
三郎
三郎
三郎
三滝誠
三滝誠
三郎
三滝誠
三滝誠
三郎
三郎
三郎
三郎
三滝誠
三郎
三郎
三郎
三滝誠
三郎
梶山
見上げた先には
まだまだ山道が続いていた。
梶山
その山道の先にある家が
荷物の届け先。
梶山
肩で息をして
初秋なのに額から汗が垂れる。
それを袖口を拭って
梶山は歩き続ける。
梶山
梶山
梶山
一時間後
梶山
民家を見つけて梶山は嬉しそうな声を上げた。
梶山
それは茅葺屋根の立派な古民家で
その奥には畑があるように見えた。
梶山は古民家に近づき声をかけた。
梶山
ほどなくして縁側から女性が顔を覗かせた。
女
梶山
梶山
女
女
梶山は縁側に腰を下ろし
眼前に広がる山々を見つめる。
梶山
どこまでも広がる山々。
太陽は傾き、辺りは夕日に染まっている。
女
梶山
梶山はよく冷えたお茶を飲み、
そしてリュックから例の木箱を取り出した。
梶山
女
女性は木箱を受け取る。
梶山
女
梶山
女
梶山
女
梶山
女
女
梶山
梶山
女
梶山
女
梶山
女
女
女
梶山
梶山
女
女
女
梶山
女
梶山
女
女
梶山
女
女
梶山は激しく首を横に振った。
梶山
女
女性は嬉しそうに笑い、古民家に招き入れた。
それからお風呂の用意をしてくれて、
お風呂から上がったら夕飯の用意が出来ていて
至れる尽くせりで梶山は申し訳ない思いがした。
梶山
敷かれた布団の上に座り、
女性に頭を下げた。
女
女
梶山
女
梶山
”パタリ”と障子を閉じて女性は部屋を出て行く。
足音が遠ざかり、梶山は布団に潜り込む。
山道を上って来たからだろうか、
目を閉じるとあっという間に眠りに落ちてしまった。
それは夢だ。
でも、妙にはっきりとした夢だった。
狭い和室に梶山と
目の前にあの小さな木箱が鎮座している。
貼りついていたはずの札が
”ペリペリ”と
ゆっくりと剥がれる。
(いけない)
そう思っても体は動かなかった。
(開いてはいけない)
しかし、
札は外れ
何もしていないのに
蓋が”パカッ”と開いた。
(っ!!!)
小さな木箱の中から現れたのは
黒くドロドロとした
巨大なナメクジのようなモノ。
小さな箱の中に
どうやってそれが入っていたのか
理解出来なかった。
それが
ゆっくりと
近づいてきて
何か叫ぼうと
開いた口の中に
”ズブッ”と
入っていた。
「うぶっ…」
氷のように冷たく
何とも言えない苦味があったそれは
そのまま
”ずぶずぶ”と
喉を通り
胃に入り
全身に冷えと
苦味が行き渡り
涙が自然と溢れて
こぼれ落ちた
「あ…あ…ああ…」
全てを飲み込み
寒さに震えながら
梶山は
空っぽになった
木箱を見つめることしか
出来なかった。
(これは…)
(これは…夢…)
(そう…夢なの…)
・
・
帰ってきてしっかり寝たはずなのに
頭がズキズキと痛んだ。
布団から這うように出て痛み止めを飲む。
梶山
それでも仕事に行かなければならない。
重怠い体に鞭打って家を出ると、
素平カグチが家の前にいた。
素平
梶山
素平
梶山
素平
そして差し出されたのは茶封筒。
梶山
素平
素平
梶山は受け取り中身を確認すると、
そこには札束が入っていた。
梶山
素平
素平
それだけ言うとあっさりと素平はどこかに行ってしまった。
梶山はもう一度茶封筒の中を覗き込んでほそく笑んだ。
梶山
梶山
梶山が抱き着いたのは若いホストだった。
龍二
龍二
梶山
龍二
梶山
龍二
梶山
龍二
今朝あった頭の痛みは嘘のように消えていた。
久々に大好きなホストに囲まれ飲み明かす。
それは彼女にとって
何よりも幸せな時間だった。
・
・
龍二
梶山
梶山
龍二
泥酔した状態で梶山は店を出る。
一人フラフラと歩くが
途中で疲れたのか
ベンチに腰を下ろす。
梶山
梶山
梶山
再び強い頭痛が襲い掛かる。
梶山
梶山
梶山
梶山
嘔吐を繰り返しながら
フラフラと歩きトイレを目指す
が
しかし
突然糸が切れたように
地面に倒れた。
・
・
主
さぶろう
主
さぶろう
主
さぶろう
主
さぶろう
主
さぶろう
主
さぶろう
主
さぶろう
主
さぶろう
さぶろう
主
さぶろう
主
さぶろう
主
さぶろう
さぶろう
さぶろう
主
さぶろう
主
さぶろう
森沢
素平
森沢
素平
森沢
素平
素平
森沢
森沢
素平
素平
素平
森沢
素平
森沢
素平
素平
素平
素平
森沢
素平
森沢
素平