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彼らは私の上をゆく

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彼らは私の上をゆく

1 - 彼らは私の上をゆく

♥

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2019年08月22日

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……

雨だ

冷たい雨が肌にあたる

曇っている空を見上げ

傘を持ってこなかったことを悔やむ

こんな天気だと

元気というか

やる気がなくなる

雨宿りした方がいいと思い

とっさに屋根の下へ行く

……

雨はだんだんと強くなる

弱かったうちに移動すればよかった…

後悔しても遅い

ふと隣をみると

いつのまにか知らない少年が 私の隣に立っていた

……

……

まだ小学生かな…と

あどけない顔を眺める

ねぇ

……?!

おねぇちゃんはなにしてるの?

え…

えっと…雨宿りだよ

そうなの?僕もだよ

ねぇおねぇちゃん

おねぇちゃんは算数できる?

え…算数?できるよ…?

そうなの?教えて

ここで?!

と思った

少年は背負っていたリュックから

算数ドリルをとりだして

ここがわからないと説明を求めてきた

暇だし、せっかくだから教えてあげようと

算数ドリルを覗き込む

ここはね?

こうやって、ここをひいてたらできるよ

ほんとだ!!すごい!!

無邪気な少年はとても可愛らしい

はじめてあった人にこんなことできるなんて…

子供だから?

もしそうなら、子供というのは素晴らしい盾になる

子供嫌いな人を除いて

大体は許されるから

すごい!!ありがとう

おねぇちゃん!!

うん

……

あのさ

問題だしてもいい?

…いいよ?

あのね

どうして雨が降るか知ってる?

雨?

えっとね、めにみえない水蒸気ってのが、

くもになって、

雲の中で凍って氷になるの

それで…

ブッブー

……え?

ハズレだよ

雨はね

雨が降りたいときにふるんだよ

……!!!

驚いた

どうして子供はこうも純粋なのだろう

この世の当たり前は彼らにとって

『知らないこと』又は『不思議』なのだ

彼らは難しい理屈や論理を必要としない

彼らはただただ

降りたいときにふっているのだ

思いたいときに思う

笑いたいときに笑う

簡単そうにみえて

実は難しい

彼らはそれを成し遂げる

彼らは私たちのうえをゆく

無限の想像力で

『常識』という名の呪縛から逃れる

でも、

いつか、私のように

『常識』の呪縛に囚われて

『常識』を基準として考えるようになるのだろう

それは悲しいことだと

そう思った

晴れたね

…そうだね

通り雨だったのかな

とーりあめ?

……ううん

なんでもないよ

不思議と私の心も雨が上がるとともにスッキリした

どうしてかはわからない

私は

あおい あおい空をあおいだ。

END

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