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君の涙の理由

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君の涙の理由

4 - 好き

♥

61

2020年11月18日

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翌日。

直樹は成宮を屋上へ呼び出した。

成宮速斗

何だよ、話って

安田直樹

昨日、高井安奈さんから事情を聞きました

成宮速斗

……杏奈

彼女の名前を聞いて、成宮の表情が変わった。

安田直樹

どうして突然別れたんですか?

成宮速斗

……あいつ重いんだよ

成宮速斗

やたら結婚を迫ってきたりして

成宮速斗

こっちにはそんなつもりないのに

成宮速斗

別れた後もしつこくて

成宮速斗

俺、もっと遊んでいたいんだよね

安田直樹

……

成宮速斗

だから、杏奈に諦めさせるために、隣の受付嬢にアプローチしてるんだ

安田直樹

……じゃあ、本気で紗織さんを好きなわけじゃないんですね?

成宮速斗

もちろん、美人だから口説いてるけどさ

成宮速斗

そんな強い思いはないよ

成宮速斗

そういうもんだろ? 恋愛って

安田直樹

……そんな自分勝手な軽い気持ちでアプローチしたせいで

安田直樹

紗織さんがどれだけ迷惑したと思ってるんですか?

成宮速斗

迷惑?

安田直樹

あなたのせいで、紗織さんは高井安奈から嫌がらせを受けたんです

成宮速斗

そんなこと知るかよ

成宮速斗

杏奈が勝手にやったことだろう

安田直樹

とにかく、もう紗織さんを口説くのはやめてください!

成宮速斗

何でお前にそんなこと言われないといけないんだよ!

成宮速斗

誰を誘おうと、こっちの勝手だろう!

成宮速斗

お前は水瀬紗織とどういう関係なわけ?

安田直樹

……た、ただの同僚ですけど

成宮速斗

だったら口を出すな!

そう言って、成宮は帰って行った。

安田直樹

(……成宮を説得できなかった)

安田直樹

(どうやったら、解決できるんだろう……?)

仕事終わりに受付へ行くと、すでに成宮が紗織を誘っていた。

成宮速斗

一度くらい食事に行ってくれてもいいだろう?

水瀬紗織

……すみません

紗織は嫌がっている。

その二人を、隣にいる杏奈は睨みつけていた。

成宮速斗

ほら、行こうぜ

成宮は強引に紗織の手を掴んだ。

水瀬紗織

やめてください

直樹は二人の間に走って行って、成宮の手を振り払った。

成宮速斗

何すんだよ!

安田直樹

嫌がってるじゃないですか!

成宮速斗

お前には関係ないだろ!

安田直樹

関係あります!

成宮速斗

何でだよ!

安田直樹

……僕は

安田直樹

僕は紗織さんと付き合ってるからです!

成宮速斗

はぁ?

成宮速斗

お前、ただの同僚だって言ってただろ

安田直樹

……言ったけど

成宮速斗

じゃあ、あっち行ってろ

成宮は再び紗織に近づいた。

高井杏奈

もういい加減にして!

杏奈はそう怒鳴った。

高井杏奈

どうして私にあてつけるようなことするの?

杏奈は成宮を見つめながら言った。

高井杏奈

私、あなたのこと諦める

高井杏奈

もう、よりを戻して、なんて言わないから

高井杏奈

だから、これ以上紗織を困らせるようなことしないで

成宮速斗

……

杏奈は紗織の方を向いた。

高井杏奈

……ごめんなさい

高井杏奈

制服を破ったりして

そう杏奈は謝罪した。

水瀬紗織

……いえ、いいんです

高井杏奈

本当にごめんなさい……!

高井杏奈

うっ

杏奈はそう言うと、突然口をおさえた。

水瀬紗織

高井さん!?

杏奈は気持ち悪そうにしていた。

安田直樹

(え、どうしたんだ?)

水瀬紗織

大丈夫ですか?

紗織は杏奈の背中をさすった。

高井杏奈

……大丈夫

成宮速斗

どういうことだ?

成宮速斗

お前、体調悪いのか?

高井杏奈

……私、妊娠してるの

成宮速斗

妊娠!?

高井杏奈

だから、結婚を迫ったり、振られた後も付き纏ったりしたの

安田直樹

(……成宮のことを諦められなかったのは、そういう理由だったんだ)

高井杏奈

でも、もう迷惑かけないから、安心して

高井杏奈

私、一人で産むから

成宮速斗

……何でだよ

成宮速斗

そういうことは、早く言えよ

高井杏奈

私とは遊びで付き合ってると思ったから

成宮速斗

見損なうなよ

成宮速斗

俺は本気で好きだった

成宮速斗

ただ、突然結婚を迫ってきたから、驚いたんだ

成宮速斗

妊娠のことを知ってたら、別れるなんて言わなかった

高井杏奈

でも、もっと遊びたいんでしょ?

成宮速斗

子供ができたんなら、話は違う

成宮速斗

杏奈、結婚しよう!

高井杏奈

……本気?

成宮速斗

ああ

成宮は杏奈を抱きしめた。

高井杏奈

……嬉しい

杏奈はそう言って、涙を流した。

直樹は、思わぬ急展開に驚いた。

安田直樹

(……結ばれて良かった)

直樹は紗織の方を見た。

紗織は抱き合う二人を、見守っていた。

直樹は紗織と一緒に帰る途中、公園に寄った。

ベンチに隣り合って座った。

安田直樹

よりが戻って良かったですね、あの二人

水瀬紗織

はい。本当に良かったです

紗織はそう言って、微笑んだ。

安田直樹

(これで、悩みも解決して)

安田直樹

(紗織さんの笑顔も戻ってきた……!)

水瀬紗織

あの、今日はありがとうございます

安田直樹

お礼なんて

水瀬紗織

私のために、あの二人を説得してくれたんですよね?

水瀬紗織

それに、私と付き合ってるなんて嘘までつかせちゃって

安田直樹

勝手にあんなこと言って、すみません

水瀬紗織

謝らないでください

水瀬紗織

安田さんはいつも私のことを助けてくれて

水瀬紗織

感謝しています

安田直樹

とんでもないです

二人は少しの間、黙った。

安田直樹

(言うなら今だ……!)

直樹は勇気を振り絞った。

安田直樹

……あの

水瀬紗織

はい

安田直樹

本当の彼女になってもらえませんか?

水瀬紗織

えっ?

安田直樹

僕は紗織さんのことが好きなんです!

安田直樹

付き合ってください!

直樹は紗織を見つめて言った。

それを聞いた彼女は、とたんに切なげな顔になった。

そして、ポロポロと涙を流した。

安田直樹

ど、どうしたんですか!?

水瀬紗織

……すみません

安田直樹

それは、ダメってことですか?

水瀬紗織

……すみません

安田直樹

……そうですか

水瀬紗織

私……ごめんなさい

彼女は何かを言いかけたが、言葉は出てこなかった。

そして、立ち上がって、その場から走って行った。

直樹は一人でベンチに残った。

安田直樹

(……どうやら、振られたみたいだ)

安田直樹

(……あんなに涙を流すほど、僕と付き合うのは嫌らしい)

安田直樹

(……泣きたいのは、こっちだよ)

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