君の涙の理由

翌日の朝。

受付の前を通りかかった。

目が合いそうになり、直樹は視線をそらした。

そして、足早に通り過ぎた。

仕事終わり、再び受付の前を通った。

朝と同じように、紗織と目を合わせそうになり、走って立ち去ろうとした。

呼び止められて、振り向いた。

直樹は不可解に思いつつも、紗織の誘いを受けることにした。

直樹と紗織は、カフェで向かい合っていた。

目の前にいる彼女は、切ない表情だった。

紗織は何かを言いにくそうに、迷っているようだった。

直樹の言葉を聞いて、紗織は決心したように口を開いた。

彼女は、おもむろに言った。

僕はその言葉を聞いて、絶句した。

紗織は、直樹の顔を見ながら、涙を流していた。

そう言って、彼女は店を出て行った。

直樹は呆然として、長い間そこにいた。