マキリ
“冒険者ギルド”
かぁ~
マキリ
ファンタジーだと
定番中の定番な
施設だよねっ!
私とスライで相談し、 『オークの集落』で手に入れた 大量のアイテムのうち、
試しに一部を 本日中に売却することに。
かさばらないアクセサリーを 中心に、持てるぶんだけ リュックの中に詰め込んで、
私は1人で 冒険者ギルドへと やってきたのだった。
マキリ
マキリ
あれかな?
スライからは――
「売却希望だと 窓口に伝えれば OKなはず」
――的な ざっくり説明 しか 聞いてない。
詳しくは、 カウンターにいる人に 聞くのが早そうだ。
マキリ
マキリ
って、ここで
大丈夫ですか?
ギルドの女性スタッフ
営業スマイルで 対応してくれたのは、 若い女性スタッフ。
ギルドの女性スタッフ
冒険者ギルドのご利用は
初めてでしょうか?
マキリ
ギルドの女性スタッフ
当ギルドのサービスを
簡単にご案内させて
いただきますね
マキリ
お願いします!
ギルドの女性スタッフ
冒険者の皆様の支援を
目的とした組合です
ギルドの女性スタッフ
ギルドの女性スタッフ
『戦利品の換金』
『冒険者への情報提供』
『ギルド便の運営』
ギルドの女性スタッフ
なりまして――
女性スタッフの説明によれば、
この窓口には 依頼クエストが多く寄せられ、 冒険者ギルドが それを仲介しているらしい。
依頼は、大半が 魔物討伐やアイテム採集。
他にも 要人や旅人の警護・荷物の運搬など 様々な種類があるんだって。
剣と魔法のファンタジーだと
『冒険者= 猟師+傭兵+何でも屋』
――が 王道の定義っていう 印象だけど、
この世界の冒険者も そんな感じだと思って よさそうな気がするな!
ギルドの女性スタッフ
以上となります
ギルドの女性スタッフ
アイテムをお預かりしても
よろしいでしょうか?
マキリ
あるんですけど…
ギルドの女性スタッフ
ギルドの女性スタッフ
並べていただければ、
ギルドの女性スタッフ
買取希望価格を
計算しますよ
マキリ
お願いします!
マキリ
マキリ
ブレスレットと…
マキリ
2つに…
マキリ
コレとアレとソレと…
マキリ
色々あって…
マキリ
ギルドの女性スタッフ
待ってくださいっ!
しばらくテンポよく 並べ続けたところで、 慌てたスタッフに 制止された。
マキリ
マキリ
売りたいアイテムの
半分も出してない
んですけど――
ギルドの女性スタッフ
あるのッ⁈
ギルドの女性スタッフ
あなた、まさか――
反射的に目を見開き、 “何か”を言いかけた彼女。
だが言葉の終わりを 発することはなく――
ギルドの女性スタッフ
と、小さくつぶやき、 私を見つめて固まってしまう。
――突き刺す ような 無言の視線。
マキリ
マキリ
しましたか?
ギルドの女性スタッフ
失礼しました!
耐えきれなくなった私が たずねると、 ようやく女性が我に返った。
ギルドの女性スタッフ
ギルドの女性スタッフ
なのですが
ギルドの女性スタッフ
ギルドの女性スタッフ
お話をさせて
いただけないでしょうか?
マキリ
私には、 後ろ暗いことは 特に無いはず。
魔物である スライも 2号も 家に置いてきたし、
敵意を向けられる理由は 見当たらない。
だけど――
マキリ
ような心当たり、
何もないんですが?
心当たりがない以上、 急にそんなこと言われると 不安になるよね??
ギルドの女性スタッフ
女性スタッフは何も答えず、 手元の紙に “何か” を書くと、 そっとこちらへ差し出す。
そこには、ただ一言 こう書かれていた。
あなた、 別世界の人間 ですよね?
マキリ
――瞬間、私は 息を呑んだ。
マキリ
ギルドの女性スタッフ
マキリ
マキリ
行きます
私は、提案を 受け入れることにした。
この女性、 悪い人じゃなさそうだし、
なんで私が別世界の人間だと 分かったかも 聞いてみたいしね!
ギルドの女性スタッフ
ステファニー
ステファニーと
申します
マキリ
マキリです
ギルドの女性スタッフ
ステファニー
いったんバッグへ
お戻しいただいてから、
ステファニー
参りましょう
ステファニー
ステファニー
エイバス冒険者ギルドの
ステファニー
『応接スペース』です
マキリ
いらっしゃらない
ようですが、
マキリ
どちらに?
ステファニー
ちょっと出かけてまして…
ステファニー
ソファーに
お座りください
マキリ
お邪魔します
2人とも 席についたところで 聞いてみる。
マキリ
マキリ
違う世界から
来たって、
マキリ
分かったんですか?
ステファニー
ステファニー
必要でしたか…
マキリ
言いますと?
ステファニー
“スキル”の
おかげですよ!
ステファニー
【鑑定】スキルを
所持しておりまして
マキリ
マキリ
マキリ
“鑑定したものの
詳細が分かる”
っぽい能力ですか?
ステファニー
ステファニー
対象のステータスを
解析できるスキルであり、
ステファニー
生き物や魔物や
アイテムなど
多岐に渡ります
ステファニー
アイテムの買取を行う
ギルド窓口担当スタッフは、
ステファニー
買取希望価格を算出する
ためにも【鑑定】スキルが
必須なんです
【鑑定】って 異世界ファンタジー作品だと 定番の能力だよね。
作品によっては チート扱いされるやつ。
この世界にもあったんだ…!
マキリ
持ってるなんて、
マキリ
すごいんですね!
ステファニー
珍しいほうでは
ありますが…
ステファニー
ないですよ
マキリ
マキリ
魔法とかスキルとか
マキリ
全然ダメみたい
なんですよねぇ
マキリ
ステファニー
ステファニー
ステファニー
のほうが
格段にレアだと
思いますよ?
マキリ
――私が レアスキル持ち だと…??
マキリ
まさかっ!
マキリ
来てから
1ヶ月経ちますけど、
マキリ
っぽい実感
ないですって!
マキリ
『戦闘センスは皆無』
って言われたし、
マキリ
使える気配なくて
ステファニー
マキリさんの基本能力が、
ステファニー
事実でしょう
マキリ
ステファニー
初めて見るものばかりですし、
効果も素晴らしいと思います!
ステファニー
『世界を渡りし者』
という称号ですが――
マキリ
マキリ
そんな称号
あるんですか?
ステファニー
間違いないかと
ステファニー
『世界を渡りし者』は
2つ以上の世界を訪れた者に
与えられる称号、
ということですよ!
マキリ
私が別の世界の人間だ
って分かったの、
マキリ
ですか?
ステファニー
きっかけでは
ありますね
ステファニー
称号だけではそこまで
分からなかったのですが、
ステファニー
加味して考えると、
ステファニー
思いまして…
ステファニーは 小さく溜息をついてから、
私をこの部屋に呼んだ理由を 語り始めたのだった。