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俺には夢があった
誰かにとってのヒーローになる
親父が警察官として働き 人々に感謝されているのを見て
そう思った
けど
現実は甘くなんてなく
もっと現実的な夢を持てだのと
周りの大人達に言われた
そんなことを言われて はいそうですか、と納得できるほど
俺は軽く考えてはいなかった
そのつもりだったのだ
そんな俺も高校生
ヒーローなんてものを 夢見る年齢ではなく
ただ惰性で毎日を過ごす愚者がいるだけ
霊也
暗い部屋にずっと居るのは億劫だと
俺は散歩に出かけることにした
朝のそよ風が心地よい
こういう時だけ 俺は気分が晴れやかになる
そんな気分で道を歩いていると
ある男の子が目に留まった
周りに人がいるかどうかを確認し 俺は男の子に近づく
霊也
霊也
そう言って男の子は泣いた
異様な状況だが
これを一言で説明するならば
この男の子は生きていない
つまり幽霊だ
まぁ、要するに
俺は霊が見えるのだ
霊也
霊也
霊也
霊也
そう男の子が言うと 彼の体が段々と透けていく
透けていった部分は光の粒子となり 天へと昇っていく
霊也
そう言って男の子は消えた
まるで最初から居なかったように
霊也
霊が見えるようになったのは6才の頃
俺は人助けと思い 彼らの成仏を手伝っていた
でも、そんな俺の様子は 周りからは不気味に見えたのだろう
そのことに気づいてからは 周りを確認してから行うようにした
そうして 霊と出会いと別れを繰り返していく内に
俺の心は段々とすり減っていった
霊も人のように 多様な考えで現世に留まっている
恨みをはらしたい
家族に会いたい
何かを伝えたい
そんな願いを抱いて現世に留まる
俺はそんな霊の願いを叶えようとした
でも、そんなに上手くいくはずがなくて
恨みを溜め込み過ぎて悪霊と化させてしまったり
願いを十分に叶えられなかったり
そんなもんだ
俺はヒーローには成れなかった
出来損ないの何かが俺だ
それでも この行いは続けている
人助けなら俺より優秀な奴がやるだろう
でも霊だけは
霊を助けることは俺にしかできない
そんな淡い期待を抱いているのだ
少し休憩しようと公園に向かい
着くと
公園に生える木々から こぼれる木漏れ日を浴びた少女の姿を
とても幻想的な光景を
俺は見た
そして
この少女が霊だということに気づいた
霊也
霊也
俺がそう言うと少女は
そう言った
霊也
霊也
俺の疑問に少女は肯定を返す
玲奈
霊也
玲奈
霊也
俺は率直に聞く
霊也
玲奈
玲奈
霊也
霊也
玲奈
霊也
玲奈
彼女は少し逡巡して
玲奈
霊也
玲奈
霊也
一応明日は休日だ
しかし、彼女はここでと言った
霊也
玲奈
少し躊躇ったが俺は了承した
玲奈
そう言って彼女は俺を急かす
霊也
その彼女の喜びように 俺は少し満たされた気がした
玲奈
霊也
かれこれ三時間が経っただろうか
彼女の口は未だに止まらず、俺に様々な出来事を話す
霊也
俺は一旦彼女の話しを止め、聞く
霊也
霊は一番思いが強い場所に留まる
地縛霊なんかがいい例だ
しかし、ここは公園
俺はここで事件が起きたという話は 聞いたことがなかった
玲奈
玲奈
玲奈
そう言って彼女はイチョウの木を指す
霊也
玲奈
玲奈
玲奈
玲奈
霊也
玲奈
玲奈
彼女は俺の目を見る
玲奈
玲奈
玲奈
玲奈
玲奈
霊也
彼女の口から発せられた感謝の言葉
それはずっと俺が聞いてきた感謝とは、違って
心からの感謝 俺を必要としてくれたものだった
玲奈
霊也
玲奈
玲奈
玲奈
彼女の体が透け、光となっていく
玲奈
玲奈
玲奈
玲奈
玲奈
体の部分はもう光の粒子となっている
玲奈
玲奈
玲奈
霊也
そう言って彼女は消えた
霊也
俺の手は宙をつかむだけで
彼女はもう消えてしまった
霊也
霊也
霊也
視界がぼやける
夜の公園に独り
月明かりが俺を照らしていた