最近、桜がどんどん傷ついている。 腕も、顔も。
やっぱり、通信制に編入しよう。 その方が、桜も傷つかない。
日向
桜、これ……良ければ見てくれない?
桜
……なにこれ
桜
通信制…編入?
日向
そう、前はまだ様子見だったけど…
日向
……これ以上、桜が傷つくのを見たくない。
日向
だからさ……行こ?
桜
いいけど……兄ちゃんは?
日向
俺? 俺は別に平気………
桜
嘘。
桜
兄ちゃんだって、俺と同じだろ。
日向
まぁ……最近、ちょっと荒れてる…な。
日向
でも…俺はバレーが大切…だから。
桜
なら、自分も大切にしろよ。
日向
……驚いた、前まで桜に言ってた事を言われるとは……
そうだ、俺だって…… 桜と同じなんだ。
今の俺には、学校に居場所がない。
原因は桜と同じ理由。 俺が普通より変、それだけだ。
教室に入って、 ヒソヒソ話を無視して、 大人しくしておく。
煩い雑音は聞こえないフリで 平気だけど、何となく辛い。
俺の心に釘が歪に、 抜けないように入ってくる。
笑えない事しかない。 小学校の頃の思い出に クラっとする。
躊躇わずに旅立ちたい、 何度思って、とどまったか。 もう、数えてない。
今の俺の生きる意味、それは桜だ。 桜が、いつか信頼出来る人を見つけるまで、 それまでは俺は生きる。
逆に、桜に親友が出来たら、 俺は消えよう。 こんな情けない兄、 申し訳ない。
日向
……そうだね、俺も、少しは大切しなきゃ。
桜
……通信制に行くのはいい。
桜
ただ、兄ちゃんも一緒に通信制じゃないと行かねぇ。
日向
………そう。
日向
…………そうだね、俺達は兄弟だったね。
日向
ごめんね、俺1人で抱え込んで。
両の視界が湿っていく。 それを察してくれたのか、 桜が俺を抱き寄せてくれた。
暖かい。 春の日差しのように、 少し、救われた気分。
日向
うん、行こっか、通信制。
日向
じゃあ、手続き、勧めてくる。
桜
……おぅ。
桜
………良かった。
桜
兄ちゃんが俺の説得を聞いてくれて。
桜
………通信制ならほとんど人と関わらない。
桜
だから兄ちゃんに着いて来る虫が来ない。
桜
これで、兄ちゃんはまだ独占できる。







