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涙の飴は夢の味

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涙の飴は夢の味

1 - 涙の飴は夢の味

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2022年01月29日

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2秒でモーニング天宮

閲覧ありがとうございます、天宮です。

2秒でモーニング天宮

あ、名前は気にしないでください。

2秒でモーニング天宮

今回は、創作奇病です。

注意 ・一次創作です。 ・奇病要素あります。

2秒でモーニング天宮

ではどぞ。

幻夢病とは?

滅多にかからない奇病の一つ。

かかると、毎日唐突に眠り夢を見るようになる。 次第に夢と現実の境目が分からなくなり、最終的には_

永遠に眠るようになる。

治療法は、見た夢の内容を見た日のうちに現実にすること。 だが、夢の内容は複雑な為、メモしないとすぐに忘れる。

本当に所構わず寝る為、理解してもらえないと困難な病気。

涙飴病とは?

こちらもまた、滅多にかからない奇病の一つ。

かかると、涙が色とりどりな飴になる。 気持ちにより飴の味が違う。

嬉しかったらいちご味だったり、悲しい時は塩味だったり。

最終的には、涙が止まらなくなる。 治療法は、本気で愛している人の前で泣くこと。

この病もまた、理解を貰わないと困難な病気だ。

もし貴方の大切な人が。

“奇病”を抱えていたら?

貴方は、何をする?

退屈だ、この日常は。

藤田 玄

……ふぁぁ…今何時じゃ?

藤田 玄

あぁ昼過ぎね。えっと、夢なんだっけ。

藤田 玄

あ〜忘れた…

保健室にずっといて、一人で勉強する毎日は。 この「病」のせいでだ。親が理解してくれるだけマシだった。

藤田 玄

そもそも今現実だっけ。

藤田 玄

こう思えるってことは、もう進んじゃってるのか。

小学生の時、この病気である事がわかった。 最初はみんなにバカにされた。「いっつも寝てる」ってね。 でも、ある日それを変えてくれた人がいた。

小学生時代

藤田 玄

ヤバい、また寝てた…どうしよう、また何か言われる。

女子

あいつまた寝てたし…

男子

本当うぜぇ。

藤田 玄

…………

授業中に寝てしまい、私の悪口がクラス中に渡っていた時だった。

浮島 累

どこがうぜぇんだよ。

浮島 累

あのさ、何で藤田が寝てるのかは俺も知らんけど。
人が困ってるのに、その言い方はねぇと思うぞ。

藤田 玄

…浮島君…

浮島 累

これから、悪口言うな。あと先生。

先生

…えっ。

浮島 累

少しは、生徒のことも理解してあげてください。

先生

うん、そうだね…。みんなもそうしてあげてね!

女子

……

男子

……

藤田 玄

何で…?

何故か分からないけど、「一匹狼」の異名で知られていた浮島累が、私を庇ったのだ。 これ以来、全く馬鹿にされなくなった。

その一匹狼さは、今も健在らしい。 なにせ私と浮島は中学校は離れ、高校で謎の再会を果たし、同じクラスになったからだ。 クラスに行かなくとも…

浮島 累

よう、藤田。プリント。

藤田 玄

いつもありがとう。暇なの?

浮島 累

まぁ、友達いねぇし。

浮島 累

それにしてもよぉ、クラスの女子がガタガタうっさいんだよ。

浮島 累

「藤田さんって何で来ないんだろうね〜」とか言って。だから一発言ってやったら、途絶えた。

藤田 玄

さすが、一匹狼…

大体彼がどうなのかはわかる。 でも、本当に何で私のところへ来るのだろう。

藤田 玄

うわぁー…眠い。

浮島 累

おうおう、おやすみ。

藤田 玄

うん…

彼が出ていくと同時に、私は眠った。

浮島 累

…俺は、いつも一人…

浮島 累

唯一、話していられるのは藤田だけか。

浮島 累

何で俺、こんなダサいキャラなんだっけ。

校舎裏で、俺はぽつりと呟いた。 誰もいないここでなら、“泣く”ことができる。

浮島 累

どうしてみんな…俺に近づこうとしないんだ…

浮島 累

俺が話しかけても、みんな離れるじゃないかよ…!

涙を流そうとしたが、俺の目から出てくるのは涙じゃない。

浮島 累

そうか、俺には感情がないのか。

浮島 累

泣いてしまったら、飴が出てくるもんな…そりゃ感情を無くすよな。

地面に転がる飴。俺の昔からの難題だ。 親に隠しているけれど、いつかばれそうな気がする。

浮島 累

…しょっぱ。まぁいい。

浮島 累

帰ろ。

浮島 累

…おい、何で止まらないんだ?

浮島 累

何で…

浮島 累

ヤバい、まさか末期に!?

想定外の事態だったので、俺はここにいるしか無かった。

藤田 玄

……ハッ!!

藤田 玄

う、嘘でしょ今の夢って。現実に起こって…ないか。

藤田 玄

忘れない内に、メモしないと。

今私は、思いもよらない夢を見た。 その内容というのが…

藤田 玄

浮島の秘密を知って、その後!浮島になんて言ったんだ?

藤田 玄

待って、秘密ですら思い出せない。

「浮島の秘密を知り、その後私が何かを言う」夢だった。 時刻は夕方。あいつもう帰ってるだろ。

藤田 玄

ハァ、ようやく思い出せるような夢だったのに。
このまま永遠に眠るのか。オイ。

藤田 玄

さてと、もう帰るか。誰もいないから独り言めっちゃ言えるじゃん。

そう言って私は保健室を出た。

藤田 玄

ふぅ。えーっと、あったわ靴。帰ろ。

藤田 玄

疲れた〜。眠い。

その時。先生が通りかかった。

先生

あ!藤田!

藤田 玄

えと、先生。どうしたんですか?

先生

浮島を見かけてなくてな。お前にプリント渡せてないから…

先生

はい、これ。

藤田 玄

ありがとうございます。

先生

じゃ!

藤田 玄

さよな…ら?

藤田 玄

あれ…

ハッと見た浮島の靴箱には、浮島の靴が入っていた。

藤田 玄

これって…!夢と同じ?

藤田 玄

先生に話しかけられて、浮島は帰ってなくて。それで次は、探しに行ったんだ。

藤田 玄

なら探すか!

怒られそうなのは分かったけど、今がこの病気…「幻夢病」を治せるチャンスなんだ。

藤田 玄

よっしゃい、探そ。

藤田 玄

学校中くまなくだ!!

そうして私は、靴を靴箱に戻して走った。

藤田 玄

な…何でこんないないのよ。アイツがよくいるらしい、校舎裏にもいないし。

藤田 玄

もしかしたら、帰ってたのかも。私。

学校中を探し回ったが、浮島はいない。 夢が合ってなかったのかも、と思った。

藤田 玄

もう良いや、帰ろ。

藤田 玄

…あれ。飴?

諦めかけた矢先、奥にある階段の近くに飴が落ちていた。

藤田 玄

階段の先に続いてる?この階段って、屋上に続く階段じゃん。

藤田 玄

それじゃあ、浮島は屋上にいる?屋上って立ち入り禁止なのに…

でも、浮島を見つけるのに躊躇いはいらない。 私は飴に導かれ、屋上へと急いだ。

藤田 玄

浮島!!

浮島 累

…何で来た。というか何故分かった。

浮島 累

いいから帰ってくれないか。

藤田 玄

嫌だ、伝えたい事があるの!

浮島 累

帰ってくれって言ったら帰ってくれよ。

藤田 玄

帰らない。

浮島 累

もう…やめてくれよ…

浮島は、涙を浮かべたかと思ったら__何故か、飴が出てきた。 これが、階段の飴の正体だったのか。

藤田 玄

待って、まさか浮島って…

浮島 累

昔、幼稚園でこれでいじめられたんだよ!

浮島 累

それ以来、ずっと感情を封印してた。また、何か言われるのが嫌だったから。

浮島 累

でも…お前がいたんだ。同じように、悪口を言われるお前が。

藤田 玄

…………

彼は、私と違うようで同じだった。

浮島 累

俺は、そこに自分を重ねた…あの日助けたのは、そういう理由だ。

浮島 累

なぁ、お前は嫌わないでくれるか…?

藤田 玄

…あぁ…。

今まで、ずっと一匹狼ぶってるのかと思ってたけど……彼も私と同じく、この孤独に耐えていたんだ。

藤田 玄

そんなことで、嫌いにはならないよ。私も同じだし。

藤田 玄

いっつも馬鹿にされるっていう観点ではね!

浮島 累

おう…

どうしよう、何て言えば良いんだ? 夢でなんて言ったんだ、私は?

藤田 玄

…そうか、わかった…

あの日からそうだったのか。

藤田 玄

浮島。私さ。

藤田 玄

多分君が好きだから、嫌いになれないんだと思うんだ。

浮島 累

えっ…?

藤田 玄

毎日、プリント届けてくれたじゃん。普通ならそんな事受け持たないじゃん。

藤田 玄

でも、いつもいつも来てくれたよね。しかも、すぐ帰らずに私と話してくれてさ。

浮島 累

おう…

藤田 玄

その内にさ、好きになっていったのかも。というかあの日からずっと気になってた!

藤田 玄

だから…まぁ…その…

浮島 累

…嬉しいけど、俺のこの病気、治るか分からない。

藤田 玄

良いんだよ!治んなくても、絶対一緒にいるから。

そう言った途端、私が背負っていた何かが消える感覚がした。 浮…累は、また飴を出した。かと思いきや。

藤田 玄

え!?

浮島 累

あれ、俺…普通に泣けてる。

一粒飴を残してから、普通に涙が出始めた。

浮島 累

まさか、治療法って…。

藤田 玄

ふふふ、そういう事だったのね。

これで、互いに治ったってわけだ。 私はいつもの眠気がなくなっていたから、治ったんだろう。

浮島 累

何で一粒だけ残したんだ。

藤田 玄

分からん!ちょっと食べてみよ。

浮島 累

良いのかよ…。

藤田 玄

いいよ。

口の中に放り込んだが、味は本当に何とも言えなかった。 甘いのかしょっぱいのか分からないような味だ。まるで、夢を見ているときのふわふわとした感覚。

藤田 玄

うーん。不思議。

浮島 累

何だそれ。まぁ良いか。

藤田 玄

…ありがとう、累。

浮島 累

おう、玄。

思った。奇跡っていうのは、すぐに起こるものじゃない。

一回で大きく起こるんじゃなく、数回の小さな出来事を重ねて起こるのだ。 だから、もしあの日累が助けてくれなかったら?私がこの病じゃなかったら?

きっと、この結末は迎えてないだろう。

でも、私は一生孤独だったかもしれないのだ。 そう考えると怖いけど…今、隣には私と同じ思いをした仲間がいる。

今はただ、彼と一緒にいたい。

涙の飴は夢の味【完】

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