柘榴
と言っても大体みんなが話してくれたんだけどね笑
柘榴
蘭丸君が言ったとおり私は君達を研究所から逃がした張本人だよ。
柘榴
そしてさっき琥珀ちゃんが言った“大蛇森 安曇”は私が遺伝子の研究をしていたところに研究部署の異動でやって来た男だった。
柘榴
私達は研究の方向性の違いでいつも仲が悪くて、次第にあの男は私の研究を妨害し、挙げ句の果てに私が創った“君達”を実験台にして残虐な“人体実験"を繰り返すようになった。
柘榴
そのとき私はこのままじゃ確実に“君達は殺されてしまう”と思ったから、こっそりと君達を研究所から逃がしてあげたんだよ。
柘榴
それから数ヶ月後、食料が切れて街に出向いたんだよ。
柘榴
すると凛ちゃんとバッタリ会って“仮想空間”に記憶を送り込む話を聞いたから私はこの悲劇を繰り返さないように私もその計画に参加することを誓った。
柘榴
ザッとこんな感じかな〜。
琥珀
全て話してくださってありがとうございます。
柘榴
だって、君達の圧力が強いから...
凛
あと安曇さんが開発した【DRIZZLY】は“仮想空間”で使用されましたが、あれは改良されたものなんですよ。
黒野
改良?どういうことだ?
凛
実は皆さんが“あの中”にいる間、私は“現実世界”で化け物を討伐していました。
燐堂
“ここ”に化け物がいたの⁉︎どうして⁉︎
凛
研究所内ではなく外ですけどね。
翠
どうして分かったんですか?
凛
私達の身体には中性子への抗体が備わっていて微量の中性子でも感じ取ることができるのは知っていますよね?
凛
そして外を歩いていたら蘭丸さんが風に少し中性子のようなものが含まれていることに気がついたんですよ。
凛
でも反対に“仮想空間”でドローンが人間に液体を噴出した後に吹いた風は全く中性子を感じるようなことがなかったんです。
柘榴
その通り。
柘榴
あの液体は初めて使われたものじゃなくてこの“現実世界”で使われたものを改良したものなんだよ。
柘榴
まず“現実世界”で使われたものは空気感染がある非常に厄介なヤツだったんだけど、“仮想空間”で使われたものは直接感染のものになったんだよ。
翠
いや、普通に考えて逆の方が効率がいいだろ。
柘榴
確かにね。でもアイツは敢えて逆にしたんだよ。
柘榴
空気感染の場合はすぐに人間が化け物になってつまらないから、接触感染にして逃げ惑う人間の姿を見たい的な理由なんじゃないかって思うんだ。
燐堂
はぁ...ホントどいつもこいつも狂ってるわ。
蘭丸
兎隠さん、俺達を殺そうとした理由の説明も一応しておいた方がいいんじゃないっすか?
柘榴
それは...
柘榴
柘榴
研究所の所長に頼まれたからだよ。
燐堂
頼まれたって...?
柘榴
アイツの死後、私に研究所から一通の手紙が届いたんだよ。
柘榴
内容は、お前が創ったガラクタの処理は完璧に遂行しろってね。
黒野
ふざけてんな...
柘榴
だから私は仕方なく君達を消すべく動いたってわけ。
柘榴
どう?簡単だったでしょ?
燐堂
そんなの...あんまりよ...
蘭丸
...辛い話をさせて申し訳なかったっすね。
柘榴
別に大丈夫だよ〜。でも...
柘榴
柘榴
もうそれも終わりかな。
燐堂
終わりって...
バッ
チャキッ
ズズッ カランッ
黒野
なっ...
燐堂
何してんのよアンタッ⁉︎
柘榴
今私は時限式のウイルスを投与した。これは数分後に化け物になるもので、特効薬はない。
翠
バカかテメェはっ‼︎
蘭丸
ちょっと待つっすよ。今俺が暗黒物質で腕を...
ガシッ
柘榴
やめて、蘭丸君。...君達は普通の人間に生まれたかっただろうに、私が遺伝子操作をしたからこうなっちゃったんだよ。
柘榴
この悲劇の物語は私が生み出した。だから私はその終止符を打たなくちゃいけない。
柘榴
だから残りの時間は君達と話していたい。それでもいいかな?
琥珀
...博士がそう望むなら。
柘榴
ふふっ、ありがと。
柘榴
じゃあ残りの時間、少し雑談でもしようか。