目的が違う男子高校生

歯医者の待合室にて

少年の背中に柔らかい感触が当たる

少年は生まれて初めて味わう その感触にとてつもない興奮を覚えた

不思議とその瞬間だけは 歯の痛みが無くなった

少年は唾を飲み込むと横目で誰も いない事をチラチラと確認し よだれ掛けをわざと外した

そして歯科助手が再び戻ってくると 少年は待ってましたといった顔で こう言った

少年は全神経を背中に集中させた

少年は再び味わうその柔らかさに 思わず吐息が漏れてしまう

少年の目の上にタオルが覆い被さり 目の前が真っ暗になる

ドクターが歯の治療を始めようとすると すぐさま左手が上がった

少年は即座に頭の位置を上へ モゾモゾとずらしベストポジションに セッティングした

少年の頭が柔らかい感触で包まれる

ドクターが歯を削り始めたにも 関わらず、少年には不思議と 痛みは感じなかった

歯を削る音が歯医者内に響き渡る

あれだけ嫌だった歯医者だったが 少年は毎日でも通ってもいいと 思う様になってきた

少年の顔は口以外全部 ドクターの胸の中に埋もれた

少年は違和感を感じた

なぜか顔の上から加齢臭が匂い そして若干湿っている

少年の頭に嫌な予感がよぎる

目隠しが外され少年は後ろを振り向く

するとそこにはみるからに巨漢な 化け物の姿があった