賭ケグルイ 藍

チョイスポーカーは、基本的な ルールは普通のポーカーと同じ

5枚の手札を各自一度きり チェンジして、役の優劣を競う

使用するデッキは、ジョーカー 一枚入りの53枚で、ジョーカーは 常に最強の役を構成する ワイルドカードとして扱う

より高い金を積んだ方には、役の 強い順か弱い順かを選択する 権利が与えられる

選択権を得た方は、強い役が勝つか 弱い役が勝つかを選ぶことができる

強い順なら通常と変わらず、 より強い役を作った方の勝ち

けど弱い順なら、より弱い役を 作った方の勝ち

金さえ積めば、ブタでも 最強の役になり得る

一通り話を聞いて、 頭の中でルールを整理する

このゲームのポイントは、「選択」だ

選択権を得るには、相手より多く チップを賭けないといけない

つまり、資金力での勝負

オレらは双子、同じ家の生まれ

それだけなら、資金力に差は無い

けど、空喰はオレに 1円も出してくれないだろう

現に、今までギャンブルで稼いできた 金は、全て愛華凛に流れている

百喰当主との勝負に、うちの財産 全てを全てを賭けていると言っても 過言では無い

つまり、オレに金は無い

一応今は、家から増やせと言われて 渡された1億がある

そこから前にまた増やして、 合計は1億2000万になった

これで、いくら相手から チップを奪えるのか……

そうするとオレのチップ枚数はたった 12枚にしかならない

けど、まだこっちにも手はある

本当は嫌だけど、もしもの時の為に、 アレも持ってきた

オレの約10倍……だから、 相手の賭け金は10億

さらっとその額を出すあたり、 完全に金銭感覚が狂ってる

〜愛華凛 side〜

カナタ 12枚：愛華凛 100枚

　萌々花からカードを受け取って、 中身を確認する

K、J、10……これなら、 ストレートを狙った方が良さそう

これを聞いてきたってことは、 カナタはブタ狙い？

カナタが捨てたのは、KとJ…… わざわざ強いカードを捨てるのなら、 本当に弱い方狙いらしいわね

でも、それよりさらに強いカードを 持っている可能性もある

私がチェンジでもらったカードは、 クラブの2とスペードの9

これならブタね、一番強いカードはK

私からなら、とりあえず様子見で……

まだ、相手も出せる枚数で、優しくね

これで合計10枚……まぁ、この枚数は 痛くないから、選択権は譲ろうかしら

萌々花の掛け声と共に、 手札を開示する

私の手札はブタ、カナタの手札は……

同じブタ、だけど、 相手の最強カードがA

さっきの賭け金設定、選択権を 得るために、わざわざ5枚もレイズ する必要はなかった

相手より“一枚でも”多く積めば、 権利が手に入るから

今カナタがしたことには、 何もメリットがない

カナタは、「メリット＝損得」より、 「リスク＝スリル」を取った

今まで真都の報告で聞いていた、 彼方がしていたギャンブルもそう

いつも、普通の人なら損得を取る 場面で、彼方はスリルを取っている

それで稼げているんだから、 彼方にはいつも驚かされたわ

カナタ 17枚：愛華凛 95枚

また2枚……それも10のワンペア

弱い方狙いでワンペアを捨てたのか、 残りの3枚により強い役があるのか

例えば、もう一組ワンペアがあるか、 スリーカードが揃っているかね

私の手は、Qのワンペア

何もせず強い方狙いで行けば、 勝てる確率は高い

カードを手から離して、 机にパサリと置く

敢えてカードを晒して、 カナタを挑発してみた

すると、一瞬驚いた素振りを見せて から、目を閉じたカナタ

次に目を開くと、僅かに笑みを 浮かべながらそう言ってきた

そして、明らかにカナタの目つきが 変わっている

ここで、何をしてくるかしら

まさか、全額ベットしてくるとは 思わなかったけれど……

通常なら、全額ベットされれば、 相手は強い手を持っているだろうと 考えて、弱い方を選ぶ

けど、本当に強い手を持っているの なら、チェンジをせずに強い方を 狙った方がリスクは低い

そもそも、最初にツーペアや フルハウスができる確率なんて 極端に低いもの

カナタの手札は？

カナタのチップが、 全て私に流れてくる

これで、お互いのチップの枚数が、 0：112

カナタの言葉に被せて、そう言う

「お前は愛華凛に逆らえない」

カナタは、昔からそう教育されている

だから、私が名前を呼ぶだけで、 私の思うままに動いてくれた

自分で動くようになったからって、 それは変わらないはず

まさか今、口答えしたの？

今度ははっきりと、私の目を見て そう言ったカナタ