〜愛華凛 side〜
予想外の事態に、思わず困惑する
今カナタは、はっきりと 私の目を見て言った
「オレは忌子じゃない」
カナタは、自ら動くことはしないはず
ましてや、反抗なんてするはずがない
愛華凛
思えば1時間前、生徒会室に 来た時から、既におかしかった
私はそんな命令を出していない、 だから、誰かが命じたと思っていた
「お前に公式戦を申し込む」
来て早々、まるで宣戦布告の様に 突き出されたポチの名札
今と同じ、鋭い目つきでそう言われた
愛華凛
何にしろ、私はカナタの「怒り」に 触れてしまったらしい
愛華凛
カナタ
私の言葉を遮って、 カナタがそう言ってくる
赤石萌々花
カナタ
一体何をするつもりなのかしら
日下部真都
不意に、舞台裏から真都の声が 聞こえてきた
冬真
あれは……カナタとよくいる冬真ね
一緒にいる中でも、白髪赤眼が 珍しいから、よく覚えている
冬真
冬真
持っていた鞄から、何かを 取り出し始めた冬真
赤石萌々花
赤石萌々花
冬真
愛華凛
私の記憶が正しければ、 彼は少し前まで家畜だったはず
それなのに、一体どこからこんな 金額を用意してきたのかしら……
カナタ
カナタ
赤石萌々花
萌々花が承諾するなら、仕方ないわね
愛華凛
カナタ 100枚:愛華凛 112枚
赤石萌々花
萌々花から手札を受け取って、 中身を確認する
8のワンペアに、Aが一枚
愛華凛
残りの2枚を変えて……っと、 もう一枚8が来た
愛華凛
カナタ
そう言って捨てた2枚は、 Qのワンペア
今度こそ、本当に弱い方狙い?
カナタ
冬真
カナタが冬真に手札を見せた
愛華凛
……まぁ、少し様子見を してみましょうか
赤石萌々花
愛華凛
カナタ
ここで、合計が100枚になった
愛華凛
カナタはここでチップの上限に達した から、これ以上レイズはできない
それなら私は、リスクを犯さずに、 着実に選択権を取ればいい
カナタ
冬真
まさか、またチップを増やすつもり?
カナタ
合計、201枚
お金に換算すると、20億1000万円
愛華凛
赤石萌々花
愛華凛
これで、301枚
冬真
カナタ
カナタ
401枚
愛華凛
501枚
ここまでして選択権を取りに来て いるんだから、カナダの手札が弱い方 狙いなのは、きっと間違いない
カナタ
……本当に、その通りみたいね
赤石萌々花
何故か萌々花が、 私達のやりとりを遮ってきた
冬真
赤石萌々花
冬真
赤石萌々花
冬真
そういえば、少し不思議だったわね
冬真
愛華凛
チラリと横目でカナタを見ると、 あちらも分からないという様な 顔をしていた
冬真
愛華凛
冬真
カナタ
冬真
今の話……つまり、 昔はあったということ?
冬真
冬真
白髪赤眼で、過去に存在した 百喰一族の、“あいばみ”?
愛華凛
全てが繋がって、納得する
赤石萌々花
そう声を上げながら、 私と冬真を交互に見た萌々花
冬真
冬真
約100年前、相川家は、 名は違えど百喰一族であり、 元々はとある神社に使える一族だった
ある日、当時の当主が、 神からのお告げを聞く
「藍、眼色が特徴の、 隱れし人の子を見つけなさい」
「片割れの空に、喰い切られる前に」
これが相川家の伝承として残って、 少しずつ形も変わり、 後の『空の隱れ雲』になるもの
そのお告げを聞いた当主は、言葉の 意味を理解しようと、試行錯誤する
そして、一つの答えに辿り着いた
百喰一族
当主は家の名を変え、神使ではなく、 百喰一族として生きることを決めた
「藍喰家」 稼業は“服従”
その稼業を利用し、様々な百喰に仕え お告げの「人の子」を探した
藍喰家の人間の特徴は、“藍”という 名前とは異なる、白髪に赤眼
百喰一族の中でも、 少々異彩を放っていたと言える
それから数十年、 藍喰の歴史が相川に刻まれていく
年月が過ぎ、当主も代替わりした
新しい当主は、こう言った
「この一族は狂っている」
その当主は百喰一族を抜けて、 たった数十年の藍喰の歴史は終わった
その代わり、再び相川の歴史が始まる
けれど、百喰一族から 簡単に逃げることはできない
今までの神使という役職は手放し、 藍喰の稼業は続けたまま、 ひっそりと生き、血を繋いでいた
冬真
一族の人間なら、たしかにこの額を 持っているのは頷ける
冬真
愛華凛
藍喰家、その名と異なる姿の持ち主
そして、一族の輪から逃げた者達
愛華凛
冬真
冬真
冬真
今賭けられているのは、 総額60億1000万
愛華凛
愛華凛
合計1001枚、100億1000万
カナタ
冬真
同じ百喰だからといって、流石に ここまでは追いつけないわよね
愛華凛
カナタ
愛華凛
少し呆れ半分で、そう答える
お金がないんだから、 これ以上何もできないというのに
カナタ
そう言った後、制服のポケットから、 カッターナイフを取り出したカナタ
愛華凛
カナタ
さらに左腕の袖を捲って、刃を出した カッターを、そこに強く押し当てた
愛華凛
カナタ
カナタ
カナタ
傷口から机に液体が垂れて、 ぽつりぽつりと紅い華を咲かせていく
それを全く気にも留めず、 私の方を見て、ニヤリと嗤ったカナタ
カナタは今、ただ空喰に 反抗しているだけじゃない……
ただ純粋に、ギャンブルを楽しんでる
今まで聞いてきたギャンブルもそう
最初にしていたポーカーから、 ずっと追いかけていて、今気づいた
異常なまでの、ギャンブルへの執着心
まるで小さい子供が無邪気に遊ぶかの 様に、ただただ楽しんでいるカナタ
今となっては、それは恐怖だ
赤石萌々花
冬真
平然とした笑みを浮かべて、 冬真が言う
人生って、そんな簡単に 賭けていいモノ……?
カナタ
カナタ
愛華凛
カナタ
カナタ
愛華凛
私は、カナタがいないと生きられない
……間違いでは無い
だからこそ、怒りが込み上げてくる
愛華凛
カナタ
カナタ
カナタ
カナタ
愛華凛
カナタの血は……いつも、 一滴で1億賭けられていた
カナタ
カナタ
愛華凛
カナタ
愛華凛
カナタ
愛華凛
事実を認めたくなくて、 思わず声を荒げてしまった
カナタ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
そよよ
コメント
1件
めっちゃめっちゃ面白ーい! また突発でこのクオリティ…スゴすぎる… まふくん…お金持ちすぎる…… そらるさんもかっこよかった… 生徒会長…焦ってたなぁ……… そらるさん頑張れ!!! 続き楽しみにしてます!