『卒業したら、 都会に行くんです』
鏑木 湊
思ったより塩らしい対応で、 特に慌てる様子もない
ここで何か言われても困るが、 完全塩というのも尺に触る
鏑木 湊
勝手にひとりで納得しているところ悪いけれど、都会に行きたい訳ではない
田舎も都会も…、私には合わない
青井 凪
青井 凪
こうやって別れと出会いを繰り返して、 平凡な毎日が続く
これが幸せなのだろうか
青井 凪
青井 凪
いつもはチャリで飛ばして帰るけれど、 湊先輩から「一緒にゆっくり帰らないか」 と引き止められた
鏑木 湊
「それ以外ないだろ」 は流石に失礼だなと思いながら自転車を手で押す
目の前には綺麗な海、
この海が素直に綺麗だと言えない私は、 心に何が引っかかっているのだろうか
鏑木 湊
青井 凪
これは即答
都会と田舎では、 都会の方が職業の幅が広がる
田舎でしか出来ない様な職業なんて極小数の職業しかない
私が質問の意図を考え込んでいると、 湊先輩が先に口を開いた
鏑木 湊
青井 凪
私がまだ小学6年生の頃、 写真家になりたいからと言って田舎に引っ越す事にした
両親が無くなったから、 一人暮らししている兄2人のどちらかの家に住むことになったのだ
1人の兄は大都会に住んでいたのだけれど 「写真家になりたいから」 という理由だけで田舎に決めた
隣の湊先輩を見ると、1人表情を曇らせて考え込んでいる
青井 凪
最初「卒業したら、都会に行く」 と伝えた時は塩対応だったけど、 実は色々考えてくれている所が
困る反面、嬉しかった
鏑木 湊
鏑木 湊
違う
今すぐにでも 湊先輩が居るから、今でも上手くやれてる と伝えたい
青井 凪
鏑木 湊
心の中で考えていた言葉を遮ったのは湊先輩の一言だった
鏑木 湊
鏑木 湊
部活を忘れていたなんて絶対嘘に 決まっている
湊先輩が部活を大事にしているのは、十分過ぎるほど分かっている
私のために無理やり時間を作ってくれたようにしか思えない
青井 凪
湊先輩、
期待してもいいですか
コメント
6件
は?好き なんそれ、感動系?めっちゃ好き