20XX年
私達人間が、妖怪は実際に存在すると知ってすぐの頃。
もちろん、まだそんな生活に慣れない人間は、妖怪を恐れ、避けて生活をしていた。
そんな時代にあった話
海璃
大牙
恋人の声に驚き、隣の部屋から顔を覗かせる。
海璃
大牙
??
私達母貝業者は海の上の小屋で仕事をしている。
恋人の海璃は、そんな時代遅れな仕事を手伝ってくれていた。
??
海璃
可愛い顔、女の子らしい体、魚のような下半身。
海璃
??
海璃
大牙
大牙
海璃
大牙
海璃
大牙
海璃のような若者は、私達のような歳をとった人間よりも慣れるのが早かった。
20も、離れているのだから。価値観の違いは多いだろう。
海璃
大牙
大牙
その上私は昔から足腰が弱く、ずっと杖をついて生活してきた。
パシャッ
??
大牙
??
慣れている訳では無い、が
こんなに馴染みやすそうなものだとは思っていなかった。
海璃
大牙
海璃
大牙
海璃
??
そんな事があって1ヶ月
あれから毎日人魚が来て、私たちの日常は少し変わった。
もちろん、仕事場が明るくなったのもある。
それともうひとつ、まだ甘いものが食べたいのか、魚や、時々見たこともないような貝を持ってくるのだ。
初めは食べていいのか分からなかったが、その子が毒味をするかのように食べて見せた。もちろん人間と人魚の体は違うが、次第に私達でも大丈夫だということが分かった。
でも
海璃
大牙
海璃
海璃
海の危険を自分は知っている。だから近づくつもりなんてなかったはずだった。
大牙
海璃
大牙
海璃
海璃はひどく怯えているように見えた、私はいつも鈍感と言われる。また何か傷付けたのだと思った。でも止まらなかった。
大牙
大牙
言いかけて海璃に肩を掴まれた
海璃
海璃
海璃
大牙
海璃
大牙
海璃
海璃はある時とキレている時はタメ口になる。
大牙
海璃
そしてキレた時の海璃は結構めんどくさい。
大牙
大牙
海璃
大牙
海璃
大牙
海璃
大牙
海璃
海璃が机に置いてあった菓子を掴んで走っていく。
大牙
海璃
俺の足が動かないのを知っていて飛び出していく、本気なのだ
海璃
大牙
海璃
海璃
タメ口になるある時とキレている時、そのある時というのは怖がっている時だ。
大牙
海璃
怖い、怖いよ大牙さん
ひとりは怖い
だから待ってて、俺はちゃんと帰るから。
海璃
??
海璃
海璃
??
海璃
??
海璃
??
海璃
海璃
??
こんなに早く歩いたのはいつぶりだろう
大牙
大牙
そこには、信じられない光景が広がっていた。
潰れた建物、辺り一面まっさらなはずなのに
まるでそこだけ台風が通らなかったのかと思うほど、綺麗なままの建物があった。
どうか無事でいてくれ、私は杖を投げ出して走り出したくなるほどそう願っていた。
ガラッ!
大牙
海面を揺らす人魚と、床に寝そべる恋人
大牙
海璃
海璃
大牙
私は思わず海璃に抱きつく
海璃
大牙
??
大牙
海璃
大牙
はるか遠く、 人間と妖怪が共に暮らす世界
そこに、二人の男と人魚がいたという。
その三人はいつまでも幸せに、海と共に生きていた。