セミの鳴き声
肌に刺すような強い日差し
眩しいほど輝く太陽と
シャリッといい音を出してアイスを食べる
楽しそうな君
夏はいい季節だ。
僕がこの病室で夏を迎えるようになって
もう4年が経つ
ここからの眺めは悪くない
君は毎日のように
見舞いに来てくれる
本当はね、知っているよ
君が
この病院に入る前に
深呼吸して無理やり笑顔を作っていることも、
お医者さんから
悪い知らせを聞いても顔に出さなによう頑張っていることも。
君は僕のために
色々なことを我慢してくれたね。
ありがとう。
「あつはなついねぇ」
「夏は暑いねぇ」
君は必死で僕を笑顔にさせようとしてくれた。
なんでそんなに優しいのかな。
君が食べるアイスはいつも
僕が元気だった頃に僕が好んでいたアイス
僕が食べられないから
わざわざ食べてくれてるんだろ?
分かってるよ。
君が本当は1番
不安だってこと。
僕が心配だってこと。
僕はそんな君が心配だよ笑
でも、きっと大丈夫。
君は僕が居なくても
幸せになれるよ。
僕なんかより
もっといい男が居るからさ。
僕が居なくなったら
僕のことなんか忘れて
幸せな家庭を築いて。
夏になったら
またいつものアイスを食べて
僕みたいな人が居たなぁ
って、少しだけ思い出して。
それだけでいいんだから。
僕はあっちの世界で
君の好きなアイスを持って
待ってるからさ。
君が僕の
最期の恋人で
本当に良かった。
愛してるよ。
さようなら。
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