紫紅
最近、 部屋の掃除をしたらアルバムが出てきた。
懐かしいなぁ、と思って友達を呼んで、二人でお菓子を食べながらページをめくっていた。
紫紅
女子友
そんな風に盛りあがっていたのに…
友達がふいに手を止めた…
女子友
紫紅
女子友
そう言いながら、 アルバムの中の一つの写真を指さした。
指さされた写真には、小さい頃の私と、知らない男の子が並んで写っていた。 背景は明らかに私の実家のリビング。
でも、 その男の子に見覚えは一切なかった。
紫紅
女子友
ページをめくるたび、 知らない男の子との写真が増えていく。
誕生日会
運動会
家族旅行…
どの写真でも、 男の子は私のすぐそばにいるのに、 私は一度も彼を見ていないような表情だった。
女子友
友達が少し声を落とした。
女子友
言われて見ると、 本当にどの写真でも距離が同じだった。
私の肩の高さにぴったりとくっつくように。
まるで——
そこにいるのが当たり前のように。
紫紅
そう言ってスマホを取り出し、 実家の母に電話した。
数コールで母が出た
紫紅
写真の説明をすると、 電話の向こうで母がしばらく黙った。
そして、少し震えた声で言った
母
妙な言い方だと思った。
紫紅
母
母は言い淀み、息を吸い直した。
母
一瞬、静寂が落ちた。
紫紅
思わず声が震える。
母は答えず、最後にひと言だけ言った。
母「その子、家族じゃないのよ」
通話が切れた。
私たちは放心してアルバムを見返した。
ページの端が、 微かに破られたような跡がある。 そこだけ妙に新しい。
横で美紀が、小声でつぶやいた。
女子友
女子友
女子友
女子友
私は返事ができなかった。
ページを戻すと、 最初の写真の男の子の笑顔が、 なぜかさっき見たときより、 少しだけ…近くに見えた
紫紅
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解説。