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樹(じゅん)
樹(じゅん)
コレクターの友人に 連れていかれたショップは 輸入家具や人形が所狭しと レイアウトされた過去世の空間
樹(じゅん)
しばらくすると琴音は 1つの骨董品に目をつけた
琴音(ことね)
琴音が目を付けている ロッキングチェア(イス)は 孤独なオーラーを放ち使い古されたオーク―の色合いがなんとも 言えない光沢を魅せていた
彼女は何度も背もたれを撫ぜた
~ァ…レ…ドォォ…~
同じ言葉が流れるBGMも 空気に溶け込む
樹(じゅん)
ー見られている― その瞬間背中のあたりに 視線を感じた
見渡すとレジに年老いた オーナー以外他には誰もいない
樹(じゅん)
アンティークは霊が寄ってくる ことを経験している 腕を掴まれたり足首に絡まれたりの過去を思い出し 警戒しながら振り返った…
樹(じゅん)
背後にあるサイドボード アンティークドールと目が合った
金髪の巻き毛 朱色のドレス 視線…
凝視…ァ…レドゥ…
ブルーグリーンの 目に捕えらえた瞬間背中を バッドで殴られた強烈な痛みが 放射線状に走る
樹(じゅん)
神経を一撃されたようで 体中が動かなくなったのだから
琴音(ことね)
オーナー
驚いた友人の声に 引き寄せられたオーナーは 青い顔をして咄嗟に私の背中を摩る
オーナーが背中を摩るなんて ただ事ではないと感じていた
樹(じゅん)
左の肩甲骨のあたりが… 殴打されたように ズキズキ傷んだ…霊障…だ
三次元ではない痛み 鉛のような重い大きな力 肩にずっしり覆いかぶさってくる
急激に…突然…物凄い力に制され 呪縛に金縛りのようにされ 身動きができないのだから
オーナーの上品な女性は 震えながら人形に手を伸ばし 人形が纏っている赤いベルベットの服をゆっくり脱がせた
樹(じゅん)
ちょうど俺が痛みを感じた 左肩の下あたりに 蜘蛛の巣のようにテープが 貼られている
痛々しい背中から今にも血が 滴り落ちそうに見えた
オーナーが背中を撫でると 不思議と痛みがひいた
樹(じゅん)
琴音(ことね)
樹(じゅん)
オーナー
オーナー
オーナー
オーナー
そんな言葉を背後で聞きながら このアンティークドールが 俺の処に来たいという念を 送っていることを感じ
必死で払おうと体中の神経で 否定した…情が移ると 取り返しのつかないことに なるのだから
オーナー
引き取ってほしいという オーナーに無理だというサインを 送りながら何度も 首を振っていた
そして俺は人形の顔を 見ないで一目散にショップの 外に出た
樹(じゅん)
琴音(ことね)
樹(じゅん)
人形から放たれていた 「ア・レドゥ」のフランス語は 「助けて」なのだと知ると いつまでも身震が止まらなかった
そして友人にはそんなBGMは 聞こえていなかったらしい
樹(じゅん)
樹(じゅん)
樹(じゅん)