10年後 大学院を卒業し 父の会社の仕事に ある程度慣れた頃。 父に頼まれ とある建物に向かった。
スタッフ
美琴
とあるスポンサーを 契約している所に 今後の内容について 話し合いに来た。 大手スポーツ道具を生産している 私の会社の道具を使っている 実際の選手の意見を 聞かせてもらうことになっている。 持ってきた資料に目を通していたら 扉が開いた。
田中
美琴
田中
美琴
球団職員さんと 名刺交換をして 早速本題に入ろうとしたら とある選手が入ってきた。
田中
修也
聞き覚えのある 名前で記憶を遡ろうとする。
田中
修也
美琴
顔を見ると 10年前に助けた男性だった。 こんなところで会うとは思わず 呆気に取られる。
田中
美琴
田中
美琴
気を取り直して 今日の本題に入った。 これからの練習に使う 道具の設備などを 擦り合わせていく。
会議が終了し ロビーまで案内してもらった。
田中
美琴
田中
美琴
建物から出て 大きな交差点に出る。
美琴
修也
美琴
修也
突然何を言い出すかと思ったら お礼の言葉だった。
美琴
修也
美琴
修也
美琴
近くの喫茶店に入り 飲み物を頼んだ。
修也
美琴
図星だったようで 言葉に詰まる彼。 沈黙を破るように 頼んだ飲み物がやってくる。
美琴
修也
美琴
修也
美琴
修也
美琴
修也
彼が話しにくそうにしてたから 話題を振ると 普通に答えてくれた。 10年前のような 優しい口調で 喋ってくれる。あの日に 封じ込めた恋心が 蘇りそうな気がしたけど 住む世界が違いすぎて 躊躇してしまう。
修也
美琴
修也
美琴
修也
突然のカミングアウトに びっくりして固まってしまう。
修也
美琴
修也
美琴
修也
美琴
あの後 修也くんとは別れ 会社に戻った。 上司と社長である父に 今日の結果を報告し 家に戻った。
美琴父
美琴
美琴父
美琴
生前に母さんに 何か言われたのか 納得した様子の父。
美琴父
美琴
美琴父
美琴
美琴父
美琴
美琴父
便箋を開けると 中には手紙が入っていた。
美琴父
美琴
美琴父
手紙に目を通すと 母さんの優しい字で 私に向けメッセージを書いていた。 私に夢があるのに 跡継ぎを進めたせいで 苦しい思いをさせてしまったことを 悔やんでいたらしい。 私の事だから 溜め込んで将来の思いや恋心を 押し込んでしまうかもしれない。 けど自分の素直な気持ちを そのままで生きて欲しい。 それが母さんの本当の願いだったらしい。
美琴父
美琴
美琴父
美琴
美琴父
美琴
美琴父
美琴
美琴父
美琴
美琴父
美琴
美琴父
美琴
美琴父
美琴
美琴父
美琴
10年前 彼と別れた後の 父の言葉は 私の恋心を全て 見透かしていたらしい。 もちろん彼の気持ちも全て。
美琴父
美琴
母さんの手紙の通り 素直に生きることを 肝に銘じた。
美琴
美琴父
美琴
美琴父
美琴
美琴父
美琴
彼との会話を思い出す。 過去と変わらない 優しい眼差しと口調が 繰り広げる私への思い。 一方私は住む世界が違うと決めつけ 思いを塞ぎ込んでしまった。 彼の健気な気持ちを 胸にしまいこんで 部屋に向かった。