落ちる駅

終電車の中で眠ってしまい目を覚ますと、

見知らぬ女性が俺の肩に頭を乗せてもたれかかるように眠っていた。

見ると黒髪ロングでかなり可愛い。

貞子とかの不気味な黒髪じゃなく、綺麗な感じ。

正直言って悪い気はしなかったので、しばらくそのまま乗っていた。

二駅、三駅を過ぎ車両には俺と、

俺にもたれて寝ている女性の2人だけになった。

そう思った俺が体を動かしかけると、

目を閉じ頭を肩に乗せたまま女性が言った。

さらに続けて、

初対面の人に言われて不思議だったけど、

女の子にそんなこと言われて理由を聞くほど俺は野暮じゃない。

黙って肩を貸してやった。

でもさすがに自分の降りる駅が近づくと心配になってきてさ、

と聞いてみた。

すると、

と聞き返してくる。

また意味不明な答え。

ひょっとして、この娘は俺の降りた駅で飛び降り自殺するんじゃないだろうか？

どうしても気になったので彼女に、

と言ってみた。

と脅迫めいたことを言ってくる。

仕方がないので、

と言ってあげた。

彼女は嬉しそうに

その言葉に俺はゾッとしたが、今は彼女は落ち着かせることが優先だ。

自殺を食い止めたい一心で俺は、

といった。

その時電車が揺れた。

そして彼女の方を見た俺は、彼女の不可解な言動の全てを理解した。

しかし、もう遅い。

降りたら彼女は落ちる。

そして俺もまた落ちるのだから。

解説

彼女の首は何者かによって切断されており、

男性に支えられるように置かれている。

彼が降りると首が落ちて転がってしまう。

だから降りない。

降りたら貴方も落ちてねと約束させられた彼の結末は………。