鬼の甘さ

喧嘩をしたのはさほど、15分ほど前

その理由は驚くほどに滑稽だった

体調がよくも無いのに黙っていたから

熱が37.0で体にもあまり異常は見られなかったので、そのまま実況を撮った

だが、撮っていた内に38.0にも達していたようで見事に気づかれた。

ちょっと…声が枯れてただけなのに

家に来てまで問い詰めるってさ…

ソファから見える窓の景色を眺めて溜息をついた

まだ怒ってるのか気になった俺は自然と声を出していた

まだ怒っているようで見向きもせずに伝えてくる

俺はぱっとマスクの上から口に手をやる

また、喋ってしまった。 これは…やばい

ドンッ

その威圧感に俺はコクリと頷いた

その時だった

あ、あ…くしゃみまで…してしまった 怒られる…。

けれど、予想と反して、 その様子を見かねたキヨ君は寝室からいまのより分厚い毛布を取り出して

ふわりと優しくかけてくれた

そうすると、鼻をつまんできてさっきよりも真顔で声を張り上げた

ガチャリ

三時間後

なんだか、いい匂いがする

暖かいような、柔らかいようなそんな匂いがした

意気揚々と言ってやるが体は正直で

まだ熱が残っているのかぐらりと揺れてしまう

すとっ

まだ怒っている様子の彼に、俺の体はキャッチされた

そして隣に座ったそいつがこちらを向いてでこぴんをかましてきた

ぱんっ

弱々しく返事をすると｢待ってて｣といって奥から匂いの正体のものを持ってきた

ご丁寧にあーんしてくれたと思ったのにいきなりそいつは俺の口にぶっ込んだ

意味が分からない。 だけど…けど…認めたくないけど…

そのお粥は今まででいちばん優しい味がして美味しかった

にまにまと笑ってくる

なんだコイツ、気色悪い

そう俺が聞くと急に顔を赤らめてぼそぼそと喋った

俺に聞かれないとでも思っていたのだろうか

聞き取れなくてもう一度聞き返す

その妙に赤くなった顔をみて疑問を感じながらも

今日の対応は優しさだったのかなと考えてまた眠りについた

了

ここおそさん リクエストありがとうございました！ 喧嘩要素すくなかったですね… 解釈違いあればおっしゃって下さいm(_ _)m