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夏瞳(ナツメ)

夏瞳(ナツメ)

─好き。

…と、夏瞳からマジトーンで告げられたのは、

いつも通り、一緒に下校中のことだった。

紗樹(サキ)

…え?

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

…お、おう。サンキュ?

なんでそんなに真剣なのかが分からず、

とりあえずお礼を言っておく。

夏瞳(ナツメ)

夏瞳(ナツメ)

…違う、

夏瞳の声は、未だにマジトーン。

何をそんなに真剣になる必要が…

夏瞳(ナツメ)

俺の言ってる好きは、

夏瞳(ナツメ)

そういうのじゃないの!!

急に夏瞳が、俺の両肩を掴む。

紗樹(サキ)

…な、夏瞳…?!

咄嗟のことで、状況も分からず、

俺はただ、空中で行き場の無い手をあたふたさせた。

夏瞳(ナツメ)

夏瞳(ナツメ)

…っ俺は…

何故か、夏瞳が、

背伸びをし、俺と目線を合わせた。

そして、肩を掴んでいた片手を離し、

代わりに俺のネクタイを引っ張り─

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

─っっ!!

流石の俺でも、

何をされそうになっているのか分かり、

思わず夏瞳の口を片手で抑えた。

紗樹(サキ)

っちょ、夏瞳!?

紗樹(サキ)

おまっ…何しようと、

元々の混乱に、さらにパニックが重なる。

─ところでコイツは、

紗樹(サキ)

(…な、なんで急に、)

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

(キスなんて、しようと…)

夏瞳(ナツメ)

俺の言ってる好きは、

夏瞳(ナツメ)

紗樹と同じ好きじゃないんだよ…!!

夏瞳(ナツメ)

鈍感!!!

唐突に飛んできたディスりに、

またもや思考回路がパニックを起こす。

紗樹(サキ)

(ど、鈍感…?!)

紗樹(サキ)

(俺が…?)

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

…な、なんでだよ?!

夏瞳(ナツメ)

夏瞳(ナツメ)

「LIKE」じゃなくて、

夏瞳(ナツメ)

夏瞳(ナツメ)

…「LOVE」って言ったら、

夏瞳(ナツメ)

夏瞳(ナツメ)

伝わる?

俺のパニックを察したのか、

夏瞳が噛み砕いて説明してくれた。

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

…お、おう。

紗樹(サキ)

伝わっ…

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

…え?

…理解は、出来たと思う。

紗樹(サキ)

(でも、え…?)

夏瞳が、

俺の事を、

恋愛(ラブ)な意味で、好き…?

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

…ごめん、

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

なんか…追いつかない。

夏瞳(ナツメ)

夏瞳(ナツメ)

…まあ、だろうな。

夏瞳が頬を染め、

伏し目がちで、どこか切なそうに微笑む。

そして、目を閉じ、

…深呼吸して、再び目を開けた。

夏瞳(ナツメ)

夏瞳(ナツメ)

…ゆっくりでいいよ、

何か吹っ切れたような、

強い琥珀色の瞳が、俺の視線と交わる。

いつになくホンキな視線に…

頬は赤らんだまんま。

夏瞳(ナツメ)

紗樹(サキ)

ホントに…告白してるヤツの表情だった。

夏瞳(ナツメ)

お前が、その気になるまで、

夏瞳(ナツメ)

─何万回だって、好きだって言ってやるから。

…翌日。

紗樹(サキ)

…ってことがあったんだけどさ…

初葵(ハヅキ)

な、なるほど。

放課後、

俺は幼馴染である初葵に、

数学を教えがてら、この事態を説明し、

助けを求めてみた。

紗樹(サキ)

お前くらいにしか、

紗樹(サキ)

こんなこと話せないし…

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

ど、どうしたらいいと思う…?

…ただ、コイツはどうやら─

初葵(ハヅキ)

初葵(ハヅキ)

…え、何、結婚しかなくない?

紗樹(サキ)

お前話聞いてなかっただろ。

─巷でいう、「腐女子」らしい。

俺は分かりやすく溜息を吐き、

しらーっとした目で初葵を見た。

紗樹(サキ)

お前ってやつは…

初葵(ハヅキ)

じ、冗談だって!!

初葵(ハヅキ)

そんな目で見なくても、

初葵(ハヅキ)

大事な友達に、結婚強制させるわけ…

紗樹(サキ)

はァ…

紗樹(サキ)

半分くらい本気だったくせに…

初葵(ハヅキ)

あ、バレた?

紗樹(サキ)

うるせぇバカ、

紗樹(サキ)

真面目に考えてくれ

初葵(ハヅキ)

はいはい…w

とりあえず、

今脱線しかけの話題を呼び戻す。

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

あぁあー!!!

紗樹(サキ)

でも、マジでどうしよ…

初葵(ハヅキ)

ほんとだよね…

初葵(ハヅキ)

夏瞳も、よくこのタイミングで告ったね。

紗樹(サキ)

…?

紗樹(サキ)

このタイミングだったら、

紗樹(サキ)

なんかあるのか?

初葵(ハヅキ)

…え?

初葵(ハヅキ)

だって、紗樹と夏瞳って…

初葵(ハヅキ)

初葵(ハヅキ)

明後日の1泊2日の校外研修、

初葵(ハヅキ)

─同じ部屋だったじゃん。

紗樹(サキ)

こー…がい…

紗樹(サキ)

けん…しゅー…

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

─っあ!!!!

すっかり忘れていた俺に対し、

今度は初葵が溜息をつく。

初葵(ハヅキ)

はァー…

初葵(ハヅキ)

ほんと、紗樹って、

初葵(ハヅキ)

天然っていうか、鈍感っていうか…

紗樹(サキ)

ドンカン…

紗樹(サキ)

…それ、夏瞳にも言われたわ。

初葵(ハヅキ)

うっそ、

初葵(ハヅキ)

夏瞳も相当拗らせてたんだなぁ…

紗樹(サキ)

…は?

紗樹(サキ)

ど、どういうことだよ?

…話が見えない。

初葵(ハヅキ)

とりあえず、

初葵(ハヅキ)

ちょっと警戒してみたら?

初葵(ハヅキ)

…親友警戒すんのは、

初葵(ハヅキ)

ちょっと辛いかもしれないけど。

紗樹(サキ)

警戒、ねぇ…

初葵(ハヅキ)

初葵(ハヅキ)

…うーん、紗樹はさ、

初葵(ハヅキ)

やっぱり夏瞳とは、

初葵(ハヅキ)

友達で居たいの?

紗樹(サキ)

うーん…どうだかなぁ…

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

…正直、よくわかんねぇ…

恋もしたこと無ければ、

ましてや男同士。

そう簡単に、

全ての答えが出るハズもなく、

初葵(ハヅキ)

…まあ、でしょうね。

初葵(ハヅキ)

とりあえず、

初葵(ハヅキ)

またなんかあったら、いつでも話してよ。

初葵(ハヅキ)

なんでも聞くよ!

なんやかんや、

コイツはすごく良い奴だと思う。

紗樹(サキ)

おう、ありがと初葵。

相談して正解だった。

初葵(ハヅキ)

初葵(ハヅキ)

…てかさ、

紗樹(サキ)

初葵(ハヅキ)

欲を言えば、

初葵(ハヅキ)

2人の部屋のベッドシーツになりたいんすわ。

紗樹(サキ)

お巡りさんコイツです。

初葵(ハヅキ)

だがしかし、

初葵(ハヅキ)

駆けつけたお巡りさんも腐の住人

紗樹(サキ)

世も末じゃねぇか

やっぱ前言撤回で…。

夏瞳(ナツメ)

それでさ〜…

紗樹(サキ)

ははっww

あれからは、驚く程に何も無く、

…普通の、今までと同じ帰り道。

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

じゃあ俺、こっちだから…

夏瞳(ナツメ)

おう。

夏瞳(ナツメ)

夏瞳(ナツメ)

…紗樹、

ただ、一つだけ、

変わったのは、

夏瞳(ナツメ)

夏瞳(ナツメ)

…好き。

紗樹(サキ)

─っつ、

毎日、

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

…うん、

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

…また…明日。

夏瞳(ナツメ)

うん、またな。

「好き」と言われるようになった─。

【BL】好き好きリターン

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コメント

32

ユーザー

ねぇなんでこんなピュアなの書けるの?お願いピュアさを分けて

ユーザー

お巡りさんも腐の住人だと…!? 最高じゃないか( ◜௰◝ )

ユーザー

腐女子の血がさわg((殴

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