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コメント
3件
儚い… いい話やなぁ…
感動です
主
nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 警察官パロ⚠️ 黄様若干翠様に嫌われ⚠️ 敬称に違いあり⚠️ パクリ禁止⚠️
主
主
主
18,欠けた歯車、再び廻る
談話室の窓際、古びた時計の針が静かに進んでいた。
誰もいない空間に、ただ風の音と心臓の鼓動だけが響く。
須智は椅子に腰を下ろし、テーブル越しに美琴を見た。
互いの間には、もう沈黙の壁はなかった。
それでも、最初の一言を紡ぐには少しの勇気が必要だった。
一呼吸、息を整えて、須智は口を開いた。
俺が警察学校に入ったあと、毎日のように連絡取り合ったよね。
訓練がどんなに厳しくても、みこちゃんに話す時間だけは、俺にとって救いだった。
今日の授業のこと、上官の口癖、食堂のまずいご飯の話まで、何でも話した。
血の繋がりはないけど、ほんとに兄弟みたいだった。
——あの頃の俺は、純粋に夢を信じてた。
警察官になって、みこちゃんと肩を並べて仕事する日が来るって。
それだけで、どんな訓練も耐えられた。
学校は違ったけど、みこちゃんも警察学院に進んだんだよね。
報告書に書いてあった。
……本当に、頑張ってたんだなって思ったよ。
美琴が小さく笑った。
その声は、少しだけ痛みを含んでいた。
でも、本当は——ただ知りたかったんだ。
“君のことを、ずっと見ていたい”っていう俺自身の願いだった。
……みこちゃん、覚えてる?
あの日のこと。
捕まった日のこと。
……覚えてないかも。
本当に、今でも信じられない。
ここに居ることも。
なんなら、本当に俺がやったんじゃないかって錯覚し始めてる。
その言葉に、胸が締めつけられた。
ううん。
みこちゃんは冤罪だよ。
本当に。
証拠はあるけど都合がよすぎる。
刃物もないのに、16人も殺せるはずがない。
俺は1番近くで君を見てきた。
心から優しい君が、そんなことするはずない。
そして、言った。
ずっと隠してた言葉を。
その言葉に、美琴はしばらく黙って、それからぽつりと呟いた。
少し照れたように笑ってから、美琴が言った。
俺ね、その日、学院の課題で残ってたんよ。
発端は、俺が悪かったと思う。
連続殺人事件は前から起きてた。
俺の住んでる地域の近くで。
教授から“外出は控えろ”って言われてたのに、“家が近いから大丈夫や”って、聞かんかった。
結果がこれや。
懲役百年の死刑囚。
でも……須智くんとまた会えた。
最初は忘れられてるかと思ったよ。
長いこと顔見てなかったし。
けど、あの時、手錠を掛けてくれたのが須智くんやったんやな。
……ほんと、須智くんで良かったって思った。
その声を聞いた瞬間、胸の奥がじんと温かくなった。
俺は笑って、それから小さく息を吐いた。
言葉の後に、短い沈黙が落ちた。
そして、二人同時に、ふう、と息を吐いた。
そう言って笑う俺に、須智くんもにこりと笑い返す。
その笑顔を見て、なんだか昔の夏が蘇った。
夕暮れの道、蝉の声、笑い合う俺たち。
壊れたと思っていた歯車が、再び音を立てて動き出す。
そんな感覚だった。
須智くんの声が、まっすぐ俺に届く。
その言葉に、気づけば涙が頬を伝っていた。
止めようとしても、止まらない。
須智くんは優しく微笑んだ。
まっすぐな声だった。
子どもの頃から変わらない、真っ直ぐすぎるほどの正義の声。
俺は震える手で目を拭って、笑った。
須智くんは頷いた。
言いながら、自分でも笑ってしまう。
叶うかどうかなんて分からない。
でも、言葉にしなきゃ始まらない。
そう思った。
須智くんは少し黙ってから、穏やかに言った。
その一言で、胸の奥の錆びついた何かがほどけた気がした。
18・了
主
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡190
主
主
#からぴち
#何でもあり