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あれは去年の文化祭
俺は悪友と共に屋上に侵入し
土嚢を積み上げて
小さな山を築き上げた
そして蝋燭を大の字に並べ
拡声器でこう宣言したのだ
紫
紫
どうしても五山の送り火を
文化祭で再現したかった
だからしてみた
もちろん
めちゃくちゃ怒られた
2週間の停学処分を食らい
田舎の母ちゃんは泣いた
桃
桃
桃
桃
桃
頭を1周するように桃が移動し
熱弁する
褒められているようで
けなされている
だが
これで合点がいった
同じ学校に通いながらも面識がなく
ノリで何でもしてくれるとの噂の
馬鹿は復讐劇にうってつけの
人材と睨んだらしい
誰が馬鹿か
紫
紫
紫
桃
桃
紫
桃
桃
どうやら
俺の知らぬところで
住所が共有されているらしい
郵便受けに変な手紙が
届いていたのはこのせいか
そういえば
この前は
生きた鯉が突っ込まれていた
勿体ないので
勿体ないので刺身にして食べたが
しっかりと腹を下して地獄を見た
桃
桃
桃
ものすごく酷い評価を口にしながら
桃が万遍の笑みを浮かべる
俺は自分でも情けなくなるくらい
単純なので
こんな顔されると
住所なんて安い物だと思ってしまう
減るもんじゃないし
紫
紫
桃
桃
そう言いながら
桃はぺこりと頭を下げる
部屋で見せた闇の深さと
今のような明るい表情
相反した要素が
目まぐるしく切り替わる姿に
どこか歪な印象を受けた
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