登下校時は必ずグラウンドを通るため、サッカー部の練習風景が自然と目に入る。
モブ美
モブ子
大量の女子たちが釘付けになっているのは勿論豹馬。
美しい赤髪を靡かせてグラウンドを駆ける彼は、漫画の主人公のようだ。
普段はただの女顔美人だけど、サッカーしてる時はちゃんとかっこいい。
それはずっと前から知っている、幼馴染の特権。
休憩に入った豹馬が私に手を挙げる。
サラッとかっこいいことすんな、と思いながら小さく手を振り返す。
練習に戻る彼の背中を見送って、私も帰ろうかと歩き始めた瞬間、背後から誰かに飛びつかれた。
結愛
雨歌
結愛
沙羅
彼女達の名前は小林結愛と矢崎沙羅。
2人共中学からの友達で、高校ではクラスは違うが仲が良い。
結愛
雨歌
沙羅
結愛
雨歌
彼女達はしつこく私と豹馬をくっつけようとしてくる。
結愛
沙羅
雨歌
一瞬感じたもやもやは、小さく丸めてゴミ箱に捨てないと。
翌日
千切 豹馬
雨歌
千切 豹馬
授業が始まる5分前に豹馬は教室に入ってくる。
朝練が終わったあとなのだろう、額から流れる汗が輝いている。
手の甲で汗を拭う姿はもう色気大爆発。
雨歌
千切 豹馬
雨歌
千切 豹馬
そう言って豹馬は私の頭をちょん、とつついてから席についた。
仮にも好きな女の子に暴力を振るのは良くありません。()
千切 豹馬
雨歌
千切 豹馬
理科の先生はできない生徒にお構い無しに授業を進める。
中1の頃に理解を諦めた私にとっては鬼のような存在である。
雨歌
千切 豹馬
豹馬は全てを見透かしたように笑いながらノートを渡してくれる。
彼のノートは苦手な私でもわかるくらい丁寧にまとめてあり、理科のテスト前はいつも頼りにしている。
豹馬の得意な英語と私が苦手な理科以外は教えているので等価交換である。
雨歌
千切 豹馬
雨歌
千切 豹馬
雨歌
千切 豹馬
…まずい、 言い返せない。
…そっちがそうするなら、こっちもそうすればいい。
雨歌
千切 豹馬
雨歌
千切 豹馬
雨歌
千切 豹馬
雨歌
千切 豹馬
…なんか、前もこの下りあった気がする。
理科のテストの点数は100点満点中65点だった。
豹馬のノートと、1、2時間目を内職に当てたおかげだ。
理科とは卒業を機に縁を切ると決心するほど苦手なので、半分以上取れたし私にしては上出来。
雨歌
千切 豹馬
雨歌
地獄の理科を終えたあとは体育。
結愛
沙羅
雨歌
迎えに来た沙羅と結愛と一緒に体育館に向かう。
結愛
雨歌
沙羅
男女合同。
絶対男女でチーム作れって言われるやつじゃん…
ふと、真っ先にチームを組もうと言ってくるであろう赤髪が脳裏によぎる。
結愛
雨歌
沙羅
雨歌
結愛
そう言われて会話が変な終わり方をしたと思えばそういえばね、とまた会話が始まる。
結愛
雨歌
結愛
雨歌
沙羅
雨歌
結愛
沙羅と結愛が繰り広げている惚気話に適当に相槌を打ちながら思考を巡らせる。
佐藤君と中村君って豹馬と3人で仲良かったよね…
それでいて沙羅と結愛といい感じ?
まずい…。
私が作った脳内パズルの全てのピースが揃ってしまった。
結愛
一つ。
千切 豹馬
二つ。
佐藤
中村
沙羅
結愛
はい、完成。
私、沙羅、結愛、豹馬、中村君、佐藤君。
千切 豹馬
得点係をしていた豹馬が指を指して聞いてきたのは、仲よさげに談笑をする結愛&佐藤君、沙羅&中村君。
雨歌
千切 豹馬
雨歌
目の前では他のグループが白熱した試合を繰り広げていた。
千切 豹馬
不意に聞かれた質問に、ドクンと脈を打った。
雨歌
千切 豹馬
雨歌
その提案には無視を選択して、白熱している試合を眺めていた。
千切 豹馬
私の心の内を察したように、豹馬も口を閉ざして試合の方を見た。
コメント
2件
「はい、完成」がジワったんですが どうしてくれるんですか()