2ブロックの準決勝が終わり、ついに私たちの最後の試合。
まぁ、いわゆる決勝。
沙羅
結愛
雨歌
乗り気じゃなかった結愛も、佐藤君と同じチームのためかやる気満々。
佐藤君も中村君も、沙羅と結愛にかっこいいところを見せようと張り切っている。
雨歌
結愛
沙羅
千切 豹馬
背後から私の頭に顎を乗せてきたのは紛れもない、千切豹馬。
雨歌
千切 豹馬
雨歌
バシッ!
男子高校生のポテンシャルは底知れずのようだ。
中村
佐藤
うちのチームの得点源は殆ど男子。
特に豹馬。
この赤髪、もう5点スパイクを決めている。
モブ美
モブ子
モブ奈
豹馬のファンが見に来ているせいで相手チームはかなりアウェイだが、それでもバレー部の人が2人いるため、負けじと食らいついてくる。
バレー部女子
私もバレーをやっていた身として負けたくないが目立ちたくないためアシストだけする。
結愛
いえーい!とハイタッチをする結愛と佐藤君。
沙羅
その横には気になる人と話せて嬉しそうにに笑う沙羅と中村君。
間違いなくこのコートでは男子3人が輝いている。
眩しい、サングラスが欲しい。
この事はどうやら口に出ていたようで。
後ろからあの赤髪に手で目隠しをされた。
千切 豹馬
雨歌
私に拒否されてちぇー、と言った豹馬はまた自分のポジションに戻る。
…横顔が相変わらず美しいこと。
千切 豹馬
雨歌
千切 豹馬
雨歌
サーブを許可するホイッスルが鳴る。
こちら側のサーブで、沙羅がサーブを打った。
バレー部女子
バレー部の子がレシーブをして、多分素人の子がトスをする。
雨歌
綺麗な放物線を描いてボールがバレー部女子の元へ。
アタックを打つと見せかけて…フェイント。
佐藤君のところにボールが落ちる。
反応が遅れた佐藤君は、体勢が崩れつつも上に上げる。
佐藤
千切 豹馬
雨歌
佐藤君がレシーブしたボールをカバーしにいった豹馬は、ライトから私のいるレフトまで美しい弧を描いたトスをする。
雨歌
恐らくこれがラストプレー。
あと2点。これを取ってしまえばマッチポイント。
あまり目立ちたくなかったけど、トスをされたからには仕方がない。
…あの時みたいに、右、左。
…前の試合でもスパイクは何本か決めたし、足の心配は要らないだろう。
大きく足を踏み込んで。
右左、と私の足は宙に浮いた。
ネットから手が伸びている。
ブロックが空いている場所を探して、ゆっくり。
あの時みたいに、腕を全速力で振って。
ボールの中心に、手を当てる。
バシッ!!
相手コートの線上に、私が打ったボールが打ち付けられる。
雨歌
”あの時”と同じようにならなくて良かった、とほっとしたのも束の間。
瞬きをして目を開いたら、目の前は地面だった───。
─千切side─
試合は自然と男子同士の戦いになる。
たかが体育の授業なんだが、俺は負けず嫌いだからそれなりに活躍している。
俺と佐藤、中村。
常に男子が得点源。
たまに雨歌が得点を取ることもある。
雨歌のプレーはこれといった凄い特徴はなく、試合でもあまり目立っていない。
まあ、やってても全員が全員才能があって上手いわけじゃないし。
雨歌
雨歌からのトスを受け、相手コートにボールを打ち込む。
サッカーには劣るが、バレーはバレーで凄く楽しい。
打ったボールは相手コートの線上に叩きつけられた。
雨歌
いえい、と嬉しそうに走ってきた雨歌とハイタッチをする。
俺とハイタッチするために走ってきたとか。
つくづく可愛いな、こいつ。
千切 豹馬
雨歌
味方サーブで試合開始。
相手が上手く繋いで、此方にスパイクが来る。
…と思ったのだが、フェイントで佐藤の反応が遅れる。
佐藤
千切 豹馬
体勢が崩れつつも上がったボールを俺がカバーして雨歌に上げる。
雨歌
相手のバレー部女子は雨歌のスパイクを止めるためにブロック体制で構えている。
目にボールを焼き付け、勢い良く助走する。
そして雨歌は鳥の如く跳び上がり速く腕を振り相手コートにボールを打つ。
雨歌の打ったボールは相手コートのエンドラインに打ち付けられた。
なんだ、ちゃんと上手いじゃん
そう思ったのも束の間。
雨歌が着地した瞬間、鈍い音と共に雨歌は左足から崩れ落ちた。
コメント
2件
言葉の使い方が好き(*´`) 雨歌ちゃん大丈夫か?!