ミスターレッド
ミスターレッドは労働場へ向かう為、来た道を再び戻っていた
ミスターレッド
先程のフードの人物を脳裏に浮かべる
常にニヤニヤ笑っていて……ヘラヘラしていて…
正直に言うと、一見頭のおかしい部類の人間に見える
だが、この数日間見てきた人間の中ならば
話が通じるだけマシと言えるだろう
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
先程の人物に今までしてきた行動の全てが見られていたと思うと、恐怖で身震いしてしまう
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
レッドは歩いて来た道を振り返る
人の気配はない
ミスターレッド
再び前へと視線を移し、一歩一歩進んで行く
ミスターレッド
レッドは深くため息を吐く
ミスターレッド
ミスターレッド
労働をしない限りは食べ物は手に入らない
空腹で死なない為には参加するしかないのだ
ミスターレッド
レッドは憂鬱ながらも労働場へと足を進めた
ミスターレッド
ミスターレッド
少し早歩きをしていた事もあり、すぐに労働場へ到着する
ルカとソウヤの姿は見つからない
労働場の入り口近くに姿は無い
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
レッドは突然に突きつけられた事実に絶望し、立ち尽くす
???
誰かがレッドの肩をポンポンと叩く
???
???
レッドの耳に声は届かない
???
頭を思い切りバシンと叩かれる
ミスターレッド
ルカ
ミスターレッド
ミスターレッド
ルカが頬を膨らませながら此方に言った
ルカの後ろに誰かがオドオドと立っている
黒髪の少年……ソウヤだ
ミスターレッド
レッドがソウヤに目を向けると、偶然目が合う
ソウヤはすぐに目を逸らす
ソウヤは気まずそうに地面を無意味に見つめている
ルカ
ルカ
ミスターレッド
ソウヤの事が気に掛かりつつ、レッドはルカに返事をする
ルカ
ルカは鼻歌を歌いながら箱運びの労働場所へと歩いて行く
レッドとソウヤだけが取り残される
爽やかな青年
ミスターレッド
ソウヤはオドオドしながら此方と挨拶を交わす
爽やかな青年
ソウヤは何か伝えたそうに此方を見ているが、何も伝えてこない
僅かな時間、気まずい空気が流れる
僅かな時間ながらも、酷く長く感じる
ソウヤは目を逸らした後、すぐに
爽やかな青年
爽やかな青年
そう言ってルカの方へと歩き出した
ミスターレッド
ミスターレッド
レッドはソウヤの背を見つめる
引き止める事もできぬまま、ただただ見つめ続ける
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
レッドは暫くソウヤの背を見つめた後、2人の元へと歩き出した
ルカ
ルカ
ルカは手をメガホンの様な形にし、此方に叫んでいる
ミスターレッド
レッドは少々早歩きをしながらルカの元へと歩く
ソウヤは此方から目を逸らしながら労働をしている
だが、時折此方にチラチラと視線を向けている
その様子をレッドもチラチラと見ている
ルカ
ミスターレッド
ルカ
ルカ
ミスターレッド
ルカ
ルカは納得したのか、これ以上根掘り葉掘り聞いてくる事は無かった
ルカ
ミスターレッド
レッドはソウヤから視線を外し、一先ず労働を始める
地獄の労働が再び始まったのだ
降り注ぐ太陽の光、炎天下の元
レッドは地獄の箱運び(✝️☠️carrying the box of death☠️✝️)を始めるのであった
重量およそ15キロの箱を永遠と運び続ける
聞いただけで目眩のしそうな労働だ
だが、今のレッドは箱の重さで苦しんでいる訳では無かった
あまりにも気まずそうな表情をしているソウヤが何度も目に入り、気になってしょうがないのだ
ミスターレッド
ミスターレッド
ソウヤは何も言わず、無言で作業をし続けている
因みにルカはというと、そんな気配を察する事も無くニコニコで作業をし続けている
レッドはソウヤに声を掛ける事ができず、ただそんな様子を見ている事しかできなかった
労働を始めて30分程
いくらソウヤの事が気に掛かるとはいえ、腕にかかる負担の苦しみが気にならないというか訳では無い
レッドの腕は再び限界を迎えようとしていた
ミスターレッド
ルカ
ルカ
ミスターレッド
ミスターレッド
ルカ
ミスターレッド
レッドは地面に倒れ込むかの様に寝転がった
ミスターレッド
こんな状況であろうとレッドの面倒くさい精神は無くならないのだ
ミスターレッド
その時、何処かからレッドに視線が向けられていた
レッドを蔑むような、そんな冷たい視線
レッドはそんな視線に気がついていない
ルカも視線には気がついていない
レッドとルカの元に足音が迫る
爽やかな青年
ソウヤは目を伏せながら黙々と作業をし続ける
だが、どうしても昨日の出来事が脳裏によぎってしまう
目の前で暴力を受けるレッド
そんなレッドを助ける事もできず、ただ傍観する事しかできなかった自身
思い出すだけで自身に途轍もなく腹が立ってしまう
どうして自身は変わる事ができないのか
何故いつも守れないのか
何故自分自身の保身に走ってしまうのだろうか
そんな疑問が頭を埋め尽くす
爽やかな青年
自身への自責をし続ける
何故こんなにも弱い人間なのか
何故いつも自分自身の事しか考える事ができないのか
何故こんなにも最低な人間なのだろうか
自身を責め続ける
だが、責め続けたところで何も変わらない
何も
爽やかな青年
ふと視界にルカが映り込む
ルカは箱を持っておらず、何処かへと歩いて行った
労働が終わったのだろうか、身軽な足取りで何処かへと歩いて行く
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
目の前にある恐ろしい数の箱を見回した
終わる気配は一切無かった
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
ソウヤは再び箱に手をつけようとする
その瞬間
ミスターレッド
レッド叫び声が耳に届く
爽やかな青年
反射的に叫び声の方へ視線を向ける
レッドが誰かに絡まれている
レッド絡んでいる者の風貌は、一目見ただけで分かった
中級兵だ
爽やかな青年
全身が震える
恐怖で脳が支配され、動けない
中級兵はレッドに何かしようとしている
レッドは中級兵から伸ばされた手を跳ね除け、抵抗している
爽やかな青年
足が少しも動かない
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
体の震えが止まらない
それと同時に数々の記憶が蘇る
目の前で散って行ってしまった家族、仲間
どれも、自分が守る事ができなかった所為で
皆、自身の目の前で消えて行ってしまった
爽やかな青年
涙が溢れ出しそうになる
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
ソウヤの体は最早脳の信号を拒否している
ソウヤは少しも動く事ができなかった
結局、何もする事ができなかったのだ
何も
何も
その瞬間、誰かがソウヤの手を引く
赤髪が視界に映り込む
ミスターレッド
爽やかな青年
突然の出来事に反応する事ができない
背後からは中級兵の怒号が響き渡る
レッドは人混みを掻き分け、必死に逃げる
レッドの手にはしっかりとソウヤの手が握られている
ソウヤは引かれるがままにレッドに導かれた
ミスターレッド
何処まで走っただろうか
無我夢中で走っていたので、少しも思い出す事ができない
いつの間にか、労働場の端くれにまで到達していた
爽やかな青年
爽やかな青年
ミスターレッド
ミスターレッド
爽やかな青年
2人とも息が切れており、思い切り呼吸を繰り返す
暫くすると呼吸も安定し始める
レッドが再び話を切り出した
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
レッドは苦笑しながらそう言った
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
会話が途切れる
再び気まずい空気が流れ、ソウヤの視線が宙を泳ぎ始める
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
ソウヤは完全にレッドから目を逸らす
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
ミスターレッド
ミスターレッド
爽やかな青年
レッドが声を発した事にソウヤは驚き、一瞬硬直する
ミスターレッド
爽やかな青年
ミスターレッド
ミスターレッド
爽やかな青年
ソウヤは俯き、黙り込む
爽やかな青年
ソウヤはそう一言呟き、再び黙り込む
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
爽やかな青年
ミスターレッド
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
辺りが静まり返る
正確には、自身の周りのみに沈黙が走る
聞こえてくるのは、海の波打つ音のみ
きっとこの波も、あの高い高い島を囲う壁にぶつかって戻ってきた波なのだろう
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
ソウヤは俯く
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
爽やかな青年
爽やかな青年
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
ミスターレッド
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
ソウヤは目を潤ませ、少し笑った
ミスターレッド
ミスターレッド
レッドもニカっと笑い返した
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
ミスターレッド
爽やかな青年
ソウヤは自分で言って恥ずかしかったのか、照れながら若干目を逸らす
ミスターレッド
ミスターレッド
爽やかな青年
爽やかな青年
ミスターレッド
ミスターレッド
爽やかな青年
ミスターレッド
レッドはニヤリと笑う
爽やかな青年
ソウヤも明るく笑い返す
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
ソウヤはレッドに手を差し出す
ミスターレッド
レッドはソウヤに応えるようにソウヤの手を…………
???
レッドの肩に手が回る
ミスターレッド
その瞬間、レッドの体が強張るのが感じられる
この声……この喋り方…
レッドは恐る恐る自身の肩に手を回した人物の顔を確認する
警官帽の様な物を被った男
そこには、自身を昨日痛めつけた中級兵の姿があった
ミスターレッド
中級兵
中級兵
中級兵
ミスターレッド
レッドは肩に回された中級兵の手を跳ね除ける
中級兵
爽やかな青年
ソウヤの体は完全に硬直し、動けそうには思えなかった
ミスターレッド
ミスターレッド
ミスターレッド
中級兵
中級兵
中級兵
中級兵
中級兵は昨日と同じねっとり此方を舐め回す様な気色の悪い笑みを浮かべている
ミスターレッド
中級兵
中級兵の拳が此方へと飛ぶ
ミスターレッド
咄嗟に腕で防御するが、後ろへ倒れ込む
視界の隅にソウヤが映り込む
ソウヤは細かく震え、硬直している
ミスターレッド
レッドは再び起きあがろうとするが、中級兵に蹴り上げられる
視界が白々しくなる
ミスターレッド
中級兵
中級兵
中級兵
中級兵が再び此方を蹴り上げる
ミスターレッド
呼吸ができない
声を出す事ができない
何度も蹴り上げられる
何度も、何度も
ミスターレッド
何度も、何度も蹴り付けられる
昨日と同じかそれ以上の力で
ミスターレッド
ソウヤに目を向ける
小刻みの震え続けている
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
この瞬間もレッドは殴られ続けている
何度も何度も
中級兵
ミスターレッド
中級兵
中級兵
中級兵
中級兵はレッドの事を鋭く睨みつけている
ミスターレッド
中級兵
中級兵
中級兵
中級兵
中級兵は低い声で威圧感を出している
中級兵
中級兵は腰の辺りの何かを漁っている
中級兵
中級兵は腰の辺りから何かを取り出す
中級兵の手に持つ物は、赤い夕焼け色をギラリと反射させた
ツヤリとした漆黒のそれは、レッドに死を突きつける
ミスターレッド
中級兵
中級兵
中級兵はレッドの脳天に銃口をピッタリとつける
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
引き金を引く時が刻一刻と迫る
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
ソウヤの声が辺り響く
中級兵の視線がソウヤに突き刺さる
中級兵
爽やかな青年
ソウヤは自身の口から出た突然の声に驚く
体が震える
口も震える
でも
動ける
自身の強い気持ちが自身の身を動かす
爽やかな青年
声がこれまでに無いほど震える
今にも涙が溢れ出してしまいそうだ
爽やかな青年
震える口角を無理やり上げ、挑発する様な笑みを浮かべる
きっと、上手く笑えていない
でも
中級兵
敵を煽るのにはもってこいだったらしい
中級兵が此方へ歩み寄ってくる
ミスターレッド
レッドが必死に叫んでいる
レッド、僕の事なんか守らなくて良いよ
僕が守る番だから
爽やかな青年
爽やかな青年
中級兵
中級兵
中級兵
爽やかな青年
震えが消えていく
きっと死を悟ったのだろう
ああ、最後の最後で誰かを守れそうだ
中級兵
中級兵
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
ミスターレッド
ミスターレッド
爽やかな青年
爽やかな青年
中級兵
中級兵は歯軋りをし、此方を睨みつけている
相当腹が立っているのだろう
中級兵
中級兵
中級兵
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
ミスターレッド
レッドは声が枯れてしまいそうになる程叫ぶ
中級兵
中級兵
中級兵がソウヤの脳天に銃を突きつける
ミスターレッド
ミスターレッド
爽やかな青年
レッドはソウヤの元へ全速力で駆け抜ける
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
爽やかな青年
バンッ
銃声が響き渡る
ソウヤの脳天を銃弾が突き抜ける
その瞬間、赤い血飛沫が飛び散る
皮肉な程に、美しい紅色の血が舞い散った
ミスターレッド
あまりの衝撃に、周りが見えなくなる
音が聞こえなくなる
だが、真っ赤な血飛沫だけは色濃く目に焼き付いている
中級兵
中級兵
中級兵
中級兵は悲鳴に近い様な叫び声を上げる
そしてすぐさま何処かへ走り去る
もう何も聞こえない
何も見えない
心の中に広がった感情がが視界を包み込む
「さようなら」
ソウヤは確かにそう言った
ソウヤの声はもう聞こえない
それだけでこの状況がどんなものか容易く理解できる
だが、認めたく無い
ソウヤはもう居ないなんて信じたく無い
ルカ
ルカの声が微かに耳に響く
だが、声に応える事はできない
あまりの衝撃の出来事に脳が追いつかない
頬に熱い何かが伝う
その瞬間、視界が暗転し倒れ込んだ
コメント
8件
ソウヤ……自分の命が消えるギリギリまでレッドに感謝を伝えれるところがすごい!感動しました!あと中級兵は許しません
うわぁぁぁ……(語彙力) ソウヤさん…… 最期にレッド君守ったのかっこよかったです…… とりあえず中級兵は絶対に許しません 自分で○しておいて「○しちゃった」とはね…… この中級兵には今までで一番腹が立ちます 最後になりましたが小説の展開がかっこよすぎます
本当にステラさんのストーリーは凄い…泣きそうだよ😢 兄貴のことを守り抜いたソウヤがかっこよすぎた……😭😭