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君に似合う色

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君に似合う色

1 - 久しぶりのくるあび。直接的にハロウィン関係ないけどハロウィン話といいはる。角砂糖一個分の甘さ。

♥

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2023年10月26日

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コンビニの陳列棚の前で、にらめっこする俺に声がかかる。

来栖三成

まだ決まらないのか?

俺に声を掛けてきたのは、来栖の兄貴。

中々、決めきれない俺に対し、来栖の兄貴は今にも溜め息をつきそうな程に、顔の全面に呆れを滲ませていた。

阿蒜寛太

だって、口紅の種類がこんなにあるなんて思ってもみなかったんです

リップの箱片手に泣き言を溢す。

化粧品の陳列棚には、リップスティック、ティントリップ、リップグロス、リキッドルージュの計4種類の口紅が並んでいた。

種類だけならまだ良かったが、そこに色味の違いまでプラスされるので、更にややこしい事になっている。それなら、一色に絞れば良いだろと思うかも知れないが、同じ赤色でも発色が全て違うのだ。その中から、自分に似合う色を探せなんて無理ゲーである。

阿蒜寛太

決める決めない以前に、どれがどうなのかさっぱり分からないんです

普段、化粧をしない身としては何が何やらさっぱりで、一つ一つに、どういう違いがあるのかさえ分からない。

阿蒜寛太

何で俺がこんな目に~

来栖三成

泣き言言ってもしょうがないだろ

来栖三成

ハロウィンに託(かこ)つけて、変装した変態集団が花宝町で暴れるんだから、獅子王組としても見逃せねぇんだろ

そう何を隠そう、今回俺が口紅を選ばなきゃいけなくなった原因は、一週間後に迫ったハロウィンのせいである。

ハロウィンの時期になると各地で、普段の鬱憤(うっぷん)ばらしか知らないが、暴徒化(ぼうとか)する奴が出てくる。

そして、俺達のシマである花宝町も毎年、被害にあっている。

暴れるのが一人ならまだ良いが、多数の人間が寄せ集まって暴徒になると厄介で、人数が多ければ多い程、鎮圧(ちんあつ)するまでに時間がかかり過ぎてしまう。

だから、今回は結託される前に潰してしまおうという話になった。よって、親父から、組員全員にハロウィンに仮装して参加するように、命が下されたのだ。

生まれてこの方、 ハロウィンみたいなイベントには縁がなかった。

ハロウィンに縁がなかったのは、何も俺だけではなく、兄貴達も同じだった。たった、一人、犬亥の兄貴を除いて。

犬亥鳳太郎

なんだお前ら、ハロウィンもした事もねぇのか?

犬亥鳳太郎

ただ仮装して歩けばいいだけだ。決まり文句のトリック・オア・トリートを言えば菓子が貰える

流石は一児のパパだ。娘の幼稚園行事などで、体験した事があるようだ。

ただ一つ気になるのは、お菓子が貰える発言をした際に、明らかに視線が俺を向いた事だ。いや、確かに俺は、この中で一番若いですけど、お菓子を貰って喜ぶほど子供じゃないんですけど。

犬亥鳳太郎

どうせ、体験した事のない奴ばかりだろうと思って、お前らの為に、籤(くじ)を作っといたぞ。感謝しろよ?

犬亥の兄貴が、籤が入った箱を取り出した。

そして、順番に籤を引いていく事となった。

籤の結果、柳楽の兄貴はオーソドックスな白布のお化け、龍元の兄貴はエジプトのファラオ、伊武の兄貴はアラブの石油王、月麦の兄貴は狼男、鮫洲の兄貴はスフィンクスの着ぐるみ、橘花の兄貴はストⅡのガイルだった。

橘花の兄貴の籤だけは、意図的に橘花の兄貴が引くように仕向けられていた気がするのは、果たして俺だけなのだろうか?

犬亥鳳太郎

俺はドラュラだ

そして、俺の番が回ってきた。最後の籤を引いて、紙を開くと、そこには魔女っ子と文字が書かれていた。

籤の結果、俺だけ女装する羽目になったのだ。

衣装は鮫洲の兄貴が、全員分手作りしてくれる事になった。しかし、小物などは各自調達なので、ちょうどシマの見回りついでに立ち寄ったコンビニで、仮装用の化粧品選びをしていた訳なのだが、選択肢の多さに思いの外、難航(なんこう)中なのだ。

来栖三成

阿蒜、ちょっとこっち向いてくれないか

未だ口紅一つ決めかねている、俺に来栖の兄貴から、兄貴の方へ顔を向けるように指示された。

そう言えば、独特ではあるが、来栖の兄貴も口紅をしていたなと思い出し、もしかしたら、何かアドバイスをくれるかもと勝手に期待して、俺は来栖の兄貴の方へ顔を向けた。

来栖三成

顔を横に向けた瞬間、目を閉じた来栖の兄貴の顔が、俺の視界にドアップで映ったかと思えば、次の瞬間、唇に柔く、温かい物が当たる。

阿蒜寛太

んン!?

時間にして、たったの数秒の出来事だった。

来栖の兄貴が俺から離れると同時に、唇にあった柔かな感触と温度が消えていった。

来栖三成

やっぱり、お前にはこの色は似合わねぇな

そう言って、来栖の兄貴は、兄貴の口紅の残る俺の唇を、親指の腹で拭った。

阿蒜寛太

え?え?え?

咄嗟の出来事を処理しきれる程、俺の頭はハイスペックに出来ちゃいない。

俺はだだただフリーズしたまま、来栖の兄貴の顔を見つめるしか出来なかった。

未だ混乱している俺を他所に、来栖の兄貴は商品棚から、一本のティントリップを摘まみあげると、俺の手を開かせて、手の上に置いた。

来栖三成

ほらよ、阿蒜には、この色が似合うぜ

阿蒜寛太

え、あ、ありがとう、ございます・・・

来栖三成

ちょうど、今のお前の顔色と同じ赤色がな

来栖三成

・・・先、外に出とくぞ

何の事はないとばかりに、来栖の兄貴は店の外に出る為に、颯爽(さっそう)と俺の横を通り過ぎようとした。

通り過ぎ様に、来栖の兄貴がぼそっと一言だけ、俺だけに聞こえる声量で囁いた。

来栖三成

それ300回キスしても落ちないリップだから、俺のオススメ

ついに俺の頭は情勢を処理しきれず、オーバーヒートを起こし、ぷしゅ~という謎の煙を頭から吹き出しながら、コンビニの床に座り込んだ。

おわり

あとがき 鮫洲ちゃんも可愛いよね。久々に、いぶあびでハロウィン話でも良かったけど、口紅のシーンを入れるなら、どうしても来栖の兄貴しか相手がいないので、今回はくるあびになった。狼男に美味しくいただかれる、つむあびでも良かったっちゃ、良かったんだけどな。 のだかぶ、野田ニキ吸血鬼、ハロウィン話が読みたいな~。なぐかぶ、あおかぶ、くがかぶでもいいけど。 当の本人は書けるけど書く気はない模様。そう言えば、ドンキーのコスプレコーナー、何故かキョンシー率高いのな。今年の流行りだろうか?キョンシー好きだし、キョンシーな華太ちゃんも可愛いだろな~( ‘༥’ )ŧ‹”ŧ‹” 流行りにちなんで、面白小耳情報。ファッション関係の話になるけど、毎年その年に流行る色や服のデザインって、実は二年前から決まってるって知ってました? INTERNATIONAL COMMISSION FOR COLOR(国際流行色委員会)と呼ばれる国際機関によって、二年前の6月と12月にシーズン別の世界共通の流行色が決められます。この会議で、国の社会情勢や人々の心理を加味して、500色から20~30色にイメージカラーを絞ります。そして、世界共通色選定後に、日本国内向けのトレンドカラーが選定されるようになります。ここで服のデザインなども決まります。実はこの話は、ショップの店員さんが、何故か力説してくれたんですよね。行きつけの店とかでもないのにな。まじで意味不やった(ಠωಠ) pixivで素敵なのだかぶ、わなかぶ作品を読んだらインスパイアされて、創作活動が進む、進む。されど、リクの消化は遅々として進んでない模様(;゜0゜)激しめ18禁って何だ?華太を和ニキの顔の上に乗せれば良いのだろうか( -᷄ω-᷅ ).。oஇ まあ、大まかな構想は練れてるんだけど、一つの作品を集中して書くのが苦手やから、どれもこれも中途半端な状態でメールボックスに溜まってる。 リクが進んでないけど、きどかぶで書きたい話あるんだよね。そっちまで手を出すとなると余計回らなくなる。でも書きたい。

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